ちろりん村は有機野菜・無農薬野菜・自然食品・安全食品の販売と宅配をしています。

アトピーと薬害


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アトピーはアトピーコーナーとしてそれだけを専門に扱おうと思っていたが・・・どうやら薬の害と切り離しては語れない様な気がする。無農薬野菜や自然食品に興味をもって30年、ちろりん村が始まる前に四国の山の中で約10年自給自足生活を薬と無縁にすごしてきた。その結果かどうかは分からないが5人の子供は誰もアトピーにはならなかった、妻は粗食にして偏食なし、私はあまり自慢できる食生活とは言えない。骨が折れるか歯が折れないかぎりは医者にも行かず、家の回りに生えている物を食べていた。まあ早い話が石器時代のような暮しだった。このコーナーでは食べ物だけに囚われず、広い大きな視野でアトピーの問題に取り組んでみたい。

『病院で産むあなたへ』

(クスリ漬け出産で泣かないために)

現在進行中の隠れた薬害・陣痛促進剤の被害報告

薬の危険性が指摘され、具体的な被害情報もあるにもかかわらず、国民にそれが知らされず、国は危険回避に必要な手段をとらないで薬が使われるにまかせた。そのために被害をいたずらに拡げてしまった、というのは、日本の薬害事件に共通のパターンである。そのことを今、私たちは「薬害エイズ」問題を通してとくと学習させられているところだが、その同じパターンで、現在、もうひとつの薬害が進行しつつある。被害はすでにかなり拡がってしまっているもようだ。本書はその事実を体験で否応なく知らされてきた人たちが、自ら調査してきたものと体験をもとに、危険を多くの人に伝えるために書いたものである。

薬は陣痛促進剤。病院でお産にごくふつうに使われている合成ホルモン剤である。本をまとめた「陣痛促進剤による被害を考える会」は、この薬の被害者とその仲間で作る小さな市民団体で、1988年に結成された。

陣痛促進剤は、その子宮収縮作用によって人工的に陣痛を誘発、あるいは促進するのに利用される。本来はお産の経過になんらかの異常がある場合に使われる薬だが、これが、施設分娩が90パーセントを越える70年代初め、産科に計画分娩が導入されて、薬のいらないお産にまでどんどん使われるようになった。計画分娩は、休日や夜間を避けて平日の日中にお産を済ませるために、薬で分娩のタイミングを操作するもので、病院側の都合を優先した医療である。むしろ陣痛促進剤がこれを可能にしたというぺきだろう。

当然ながら薬の消費も売り上げも飛躍的に伸び、薬価差益や診療報酬や人件費の節約やで病院の経営も楽になるわけで、その意味では病気の範疇に入らないお産というのは、大きな穴場だったということか。だがこれも当然のことに、薬の乱用がおこり、事故が続発するようになる。安易な投与と投与後のずさんな監視で、異常な子宮収縮がおそって、子宮破裂や胎児死亡などに至るのである。 本書が明かす事故の様子を見てみよう。これは「陣痛促進剤による被害を考える会」が今までに集めた被害のまとめである。

被害症例120。うち際だったものを拾うと、子宮破裂33人、頸管裂傷11人、膀胱破裂3人、弛緩出血4人など。これによって母親17人が死亡、2人が植物状態になっており、子供は死産21人、仮死産92人で、仮死産のうち31人が出生後に死亡、41人に脳性マヒ、2人にてんかんなどの後遺症が残っている。すさまじい数字というほかない。

だが、これは被害を受けた人から直接この会に寄せられた症例の集積であって、実際の被害総数ではない。この奥には膨大な数の被害が隠されていると、これをまとめた人たちは見ている。しかもこの症例の範囲でなら、事故は70年にはもうおこっており、それは70年代半ばから80年代、90年代と増え続けているという。

おさえておきたいのは、この薬害の実態を知る材料が、小さな市民グループが集めたこのデータしかないということである。今のところ、これが唯一の碓かなデータだ。

事態はなぜ放置されたままなのか。国や医療集団が全く気づいていないというのではない。日本母性保護産婦人科医協会(略称「日母」)という全国的な産科医の団体がある。ここは、20年以上も前から、増える産科の医療被害訴訟のなかでも特に陣痛促進剤によるものが増えていることに気づいて、何度も冊子を発行して全会員に注意を促し、正しい薬の使い方を指導してきている。また厚生省には「被害を考える会」の人たちが、会の結成以前から、文書や直接交渉の形でくり返し実情を伝え、実態調査などを求めてきた。

けれども「日母」の情報は会員の産科医以外には全く知らされなかったし、厚生省は、国には軽微な副作用しか情報があがってきていないという理由で、92年以後2回、能書(薬の添付文書。効能書き)文書を改訂したほか、なにもしなかった。能書改訂は、事故を減らす役にはたたなかった。本書はそうした経緯を含めて、医療の体質や医療行政、薬事行政や薬の性格までおさえながら、事故がおこり続ける構造と背景を明かそうとする。そこには、なにも知らされずにお産にのぞみ、思いもかけない事故で子や妻を亡くした人たちが、長い年月をかけて調べ回るのでなければ、なにひとつわからないという現実が語られている。

タイトルが示すとおり、本書はこれから産む人たちに向けて書く形をとっているが、それは「やはり産む側がしっかりするしかない」というのが、10年をかけてこの人たちが行きついた答だからだろう。薬害にあわないためには自衛するほかないということだ。しかしまずこの本は、医師と厚生省のお役人と薬を作り売る人たちに読まれる必要がある。

これを書いている途中の二月中旬、厚生省がようやく陣痛促進剤の副作用症例調査を、全国の4000医療施設を対象に行なったことが報道された。その結果92年の能書改訂後に、それと見られるものが23症例出ており、母親2人、子供7人が死亡していることがわかったという。調査は本書発売後に行なわれたもようだが、さすがに厚生省も本書を無視できなかったということか。そうだとしたら確かな破壊カというべきだろう。なにかが動くのであればいい。

ついでだが、本書発行元の『さいろ社』は、一貫して患者の側から医療ものを扱ってきた、大阪の小さな出版社である。もう、こういう小さな出版社しかこの種の本を出せなくなっていることをいっておきたい。あるいは、こうした本が出せる出版社が、日本にもまだあるというべきなのかもしれない。
(ふくもと えいこ・フリーライター)


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