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やはり差が出る自然の力
玉じめ=二百年前の原型「石うす・金輪」


鹿北製油では、明治時代に使っていた旧式の製油機である玉しぼり機を復活させ、原料のゴマやナタネなども無農薬の物を使い、化学薬品を全く使用しないで作っている。

機械化されたものに比べて半分程度の量の油しか取れずコスト高になるが、微量ミネラルを豊富に含み、健康に良いことから、口コミや健康雑誌などを通じて、全国に愛用者は多い。昭和59年から取組始め、今では「伊佐しぼり」の商品名で全国に知られるが、当初は普及に苦労の連続だった。

昭和24年の創業当時は、石うすを使った明治時代の玉しぼり法を取り入れていたが、40年代後半から効率的な機械化を進め、玉しぼりの機械は処分していた。このため、県内各地を半年がかりで探し回り、揖宿郡の農家に眠っていた「明治五年」製の玉しぼり機を探し出した。

「玉しぼり機を使ったのはいいものの、最初はなかなか油が出なかったのです。父のかすかな記憶を頼りに何度も挑戦した結果、やっと油がにじみ出てきました。その時の何とも言えない感動は今でもはっきり覚えています」

この「伊佐しぼり」のナタネ油を、関東、関西などで開く鹿児島物産展に出品し販売していったが、思うようには売れなかった。このため、ナタネ油だけではやっていけないということに気付き、古代から日本で食用油とされていたゴマ、椿、エゴマなども手がけることになった。


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