〜“二卵性双生児作品”へのオマージュ 〜 And Make It Better あとがき

…漸く,やっと完成にこぎ着けました(喘)。力入れたい箇所には遠慮なく大ゴマを使い,予想以上にページ数がかさんでしまいました。
4ヶ月もの間,飽きることなく温かく見守ってくださった皆様には,深くお礼申し上げます。

たった一夜と翌朝という短い時間の流れ,一軒の平凡(?)な家庭の中だけが舞台。そして,登場人物は一組の若い男女とその母親のみ   それこそ,“四畳半フォーク”ならぬ“六畳間まんが”(苦笑)。
中休みを挟んだとは言え,よくも,まあ1年の3分の1もかけてチビリチビリと描き続けたものです。途中投げ出さずに続けられたり一応ストーリー作品らしくなっていたりしているのは,取りも直さず,オリジナルのあたラムやあたるの母さんが持っているキャラの濃さ・懐の深さのおかげに他ならないでしょう。

本拙作を通じてのテーマらしきものについては,今までにコラムや日記等を通じて何度か拙文上にて言及しております。
開設当初からの常連様には,もう繰り返し申し上げるまでもなく,また自分でもこの場で繰り返すことは『も〜えぇわ』な気持ちなので(^^;),その辺りを詳しくお知りになりたい・今一度確かめたいと仰る奇特な方がおいでましたら,是非「諸々,徒然…」のコーナーにて番外編以外の拙文をご一読或いは再読いただければと思います(笑)。

ある部分なんとも不遜な態度ですが,本作を描き始める前段階で全体像を取りまとめる際に,『自分が今まで当サイト上に表してきたうる星に関する想いや分析,そして拙作未来編に繋がる自分なりに持っている考え。それらを“見える形”として再構成するつもりで描く!もうこれ以上は自分の力では無理だというところまで』…このように考えて描き進めたことだけはお解りいただけると幸いです。


本拙作,完成までには予想外の時間を要しましたが,始まりから終わりまで一通りの展開=全体像は,先にも述べた通りスタート段階で既に頭の中でまとまった形になっていました。そのイメージについて『「めぞん一刻」の匂いを纏ったうる星(と言うより,あたラム・ストーリー)になるだろうな』と感じてはいましたが,絵が上がるにしたがい益々その印象が自分の中で強まりました。
シチュやストーリー自体うる星側よりもめぞん寄りですし,キャラの動きも“動ではなく静”のめぞん的なものです。
実際,創作を進めるに伴って,“より良い方へ進む”という本拙作のバックボーンを日常的な情景の中で表す時,めぞんの作中で醸し出されていた“あの空気”が自分には馴染んでいるということに気付いていく自分がいました。

めぞんキャラの登場する拙作(まんが)でサイト上にアップしてあるものは2作のみ。“「がんばってくださいね」響子さん”ではメインですが,オンリーは1作も存在していません。めぞんの形をした二次創作は皆無に等しいと言っても過言ではないでしょう。
にも関わらず,それだけめぞんの影響が強かったのは,うる星と同時期に連載され,物語の完結をやはりうる星と同じようにリアルタイムで経験していることを自分の中で無視することが出来ません。めぞんという作品の持つ不思議な魅力…日常性の中での展開という,うる星とはある意味そして大きく対照的な位置に立っているように思われがちです。が,その実,登場するキャラにある“エネルギーのぶつかり合い”という視点では,うる星と甲乙つけ難い佳作,ちょうど二卵性双生児のような関係にあると当方自身は思っています。

自分の中のそんな作品の捉え方からすると,本拙作はうる星へのオマージュでもあると同時に,めぞんへのオマージュでもあると言えるのかもしれません。



「あの時言っとったのは,このことか?」
「ん,何のこと?♪」

とは申せ一番萌える作品がうる星,キャラがあたラムであることは言うまでもありません。
自分で描いておきながら   というより自分で描くからこそ,全ページ・どのシーンにも『おまえらな〜っ♪』とまでに,二人が“ちちくり合う”のが辛抱堪らん当方のビョーキ心をそれはもう『これでもかーっ,どうじゃあぁっっ///』とまでに詰め込んでおります。体質によっては,感染の恐れなきにしもあらずですから,十分ご注意ください(笑)

ここから先,奇特な方がお出でましたら,“マイ・フェイバリット・ポイント”も含めたこぼれ話的話題に暫しの間お付き合いください。

【きっかけは3ページ分のネタから】
初めに降りてきたアイデアは,24〜26Pの「あたる母“凝固”」シーンのみでした(笑)
それが,某管理人様との対談からイメージがどんどん膨らみ,遂にはBMGと拙作未来編の世界を結び付ける今までの集大成的なポジションに(@▽@;) “あの時の嫁姑話”がなかったら,このストーリーも笑い話だけで終わっていたわけです。
対談してくださった管理人様,未来編を作る切っ掛けを授けてくれた某管理人様。このお二人との出会いがなければ,本作は生まれなかったと言っても過言ではありません(^^)。
本当に,本当にありがとうございます…

【難しかったのは…】
ストーリーの繋がりをつけるという点で2カ所。
その1:3〜4P。 BMG以降この話までの“それまでと大差なさそうで,でも着実に進展している”二人の日常や仲が垣間見えるようにようにしたつもりです。特に,4Pでは意識的に全コマに二人とも入れ,当方が考える“じゃれている”雰囲気を狙ってみました。そう!誰が何と言っても,アレはじゃれ合ってます。彼らは無意識のうちでしょうけど(^^;)
その2:12Pで,それまでの思い出をしっとりモード全開で語ったラムに,“敢えて”「デコぴた・すかし」を入れるあたる(^^;) あのシーン,単純な甘い話だとそのままキスに流れ込んでも不自然ではないのですが,それでは当方の思う“うる星らしさ”が全くと言っていいほど希薄になってしまいます。あたるらしさとラムへの想いが見え隠れする展開を当方なりに考えると,あのように。「抱きしめたいが,このままでお前に“捕まる”わけにはイカンのじゃ!え〜い,間を取って   」なワケです(実はもう一つの深い想いも抱いているのですが,ここでは伏せておくことにします^^)。あのシーンのあたる,あれでいて結構あれこれと考えていたりするのです(笑)
セリフとしては,17Pのラムの言葉でした。あたるの想いを受け入れた上で,ラム自身の意志も見えてくるような言い回し…。自分がラムと同じ立場に立ったことないから(…^^;),殊の外見つけ出すことに苦慮し推敲を重ねました。
絵的に最大の難関だったのは,18・19P。これについては,もはや説明は不要と思います(*^_^*;)


【楽しかったのは…】
下絵・ペン入れとも描く線のヘロヘロ具合にいつも七転八倒し続ける当方,描くこと自体いつも苦しみを味わいながらの作業なのですが,それでも今回かなり楽しみながら仕上げた箇所が幾つかあります。
まず,先の難しく感じた部分でも取り上げたP12。流れに棹さすとまでは行かなくても流れを阻害しないパロを盛り込めましたし,何よりデコぴたシーンを挟んでのあたラム双方の心境や表情の動きには,自分一人でウケてました(苦笑)
何ともなさそうだけど面白かったのがP32・33です。
P32では,韻を踏むことによって生まれる言葉のリズム感をあたるのセリフや擬音で意識しましたし,3コマ目のあたる母の行動とセリフは,某慣用句を視覚化出来たつもりにもなってます(既に誰もが使われている手法なのは承知の上^^;)。
そして,P32から33にかけてのあたるの返答とラムやあたる母の反応との“ギャップ”。ここでは,まだ「諸々,〜」や日記上にも記していない,るーみっく作品から感じる面白味の一つを僅かながらでも表現出来たかなと,またまたトンでもない自画自賛(笑)
会話を交わす中で起きている双方の微妙な意識や感覚のズレ。竜之介と加代さんとの間の「お父さん,おひとり?」のように,茶化すのではなく互いに真面目に考えているだけに,見る側にはどこか可笑しく思えるところといったようなものを意識はしているのです,あのシーンの遣り取り(BMGでは,この種のことが捻れた上に積もり積もって宇宙を巻き込む痴話ゲンカにまでなってしまったわけですが…^^;)。
この類のシーン,拙作でも過去に1Pまんがでは意識して盛り込んだことが2回ばかり(“フール・オン・ザ・昼”でのラムとらんま,“時代を越える思い違い”でのラムと犬夜叉)ありましたが,恐らく最初で最後になるであろう長編ものの本作でも取り上げられたことには,「納得できる絵を描ければOK」とはまた異なる満足感を味わえた気になっています。あくまでちっぽけな自己満足ですが(^^;)


先に記したように,幾つかのシークエンスを繋いだ上でひとつの話を作り上げ,それが合わせて30ページを越えるような長編を描くことは,これからは恐らくないでしょう。そこまでやろうと思える気力が今はもう燃え尽き寸前ですし(^^;),創作に限らず全ての生きる活動を支える源になる体力そのものが,たとえどんな手を尽くしても衰えていく一方なのは,しっかりと目に見えてますから…。
ただ,描きたい作品の方は,未来編ばかりとは申せ次々と湧いてくる始末(笑)。果たしてそれら全てを皆様にご覧いただけるように出来るかどうかは“?”なのですが,兎も角,これからも尺取り虫はモソモソと前へ進んでいきたいと思います(^^)。

最後になりましたが,本拙作の制作途中で陥ったスランプに際し様々な形で励ましてくださった方々,当方のあたる像の築き上げにご助言くださった管理人様方,そして,本作のイメージを広げることに繋がる対談をしてくださった某管理人様と未来編を生み出すエネルギーを授けてくださった某管理人様には今一度   ,『本当にありがとうございました!御陰様で漸く,小さいながらも“自分なりのうる星の世界”が見えるようになってきました』   このように,お礼とご報告申し上げ,後書きを終わりたいと思います…。

  (2004年3月13日)

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