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○地域包括支援センターの土曜日開業        東京都足立区

 

1.視察意図

 

 昨年から今年へ、年末年始は9連休でありました。

 カレンダーを見ると1227日が土曜日。行政関係はこの日から休みとなります。

 介護サービスを受けたい人がいて、認定を受け、12月最終週にもし申し込みが受け付けられれば、年頭からサービスを受けられたところ、土曜日に包括支援センターが開いてないことから、9連休明けの新規申請となり、サービス開始は1月後半から、というケースがあったのを知りました。

 土曜日に地域包括支援センターが「受付」業務をやってくれていたら、という切なる願いでありました。

 それまで私はまったく不勉強でしたが、県外各地では、土曜に開業しているところが少なからずあるということを知りました。統計データによると、全国で4割程度が土曜日も業務を行っていると知り、さらに驚きました。

 その内情として、行政が直営でやっているところは基本的に土曜日閉庁。民間事業者ではおおむね開業、という実態がわかりました。

 この制度の創始からたどると、香川県下では行政が直営するのがもともとのスタート。だから香川県に住んでいると、「土曜は休み」ということに何の疑いも持たなかったのです。

 私は市内のある介護事業者の方から、ネットからプリントした1枚のホームページを見せていただきました。それが東京都足立区の地域包括支援センターのものでした。

 3月定例会での私の代表質問で、こうした全国の実情とともに、丸亀市において、土曜開業をする考え、せめてこのような長期休業の年末年始とGWだけでも対応できないか、という質問をしました。当局の答弁は、家庭内暴力など緊急の事案には市役所守衛経由で高齢者支援課長が対応している、との内容で、私の提唱する土曜開業への前向きな返答は得られませんでした。

 質問のあとになりましたが、別の視察が日曜日に開催されることに絡め、まさしく「土曜開業」を行っている土曜日の同区地域包括支援センターに伺うことにしました。

 

2.土曜開業の内容

 

○行政側の主管課は区高齢サービス課。市社会福祉協議会が受託し、基幹センターを運営する。傘下に25のセンターが区内各地に活動している。

 

外観。こども支援センターなどが入る複合施設

 

建物1階に社会福祉協議会、その一角がセンター

 

○いただいたチラシには「高齢者の総合相談窓口」とあり、ワンストップ化が図られている。また説明をしていただいた担当長の方の名刺の裏側には大きな活字で名前が刻まれていて、高齢者に名前を覚えてもらおうという工夫と意欲がにじむ。

 

○基幹センターには職員が10人配置されている。基幹以外のセンターは基本的に34名の配置。医療法人や特別養護老人ホームとの併設などの形態。

 

○窓口受付は月~土曜日の午前9時~午後5時。定休日は日曜日、祝日、年末年始。平成18年のスタート時から、土曜日も運営していた。

 

○夜間など緊急時の対応として、職員が1週間のローテーションで携帯電話を担当する。夕方の閉館時に、携帯への自動転送をセットする。

 

○土曜日に相談に来る人は、平日は勤務などで時間が取れない人。「土曜日にゆっくり母の介護について相談したい」といった方が来る。

 

○年末の対応として、12/31まで、電話は受け付ける。ケアマネは12/31まで、かけつけて対応してくれる。

 

○土曜日の出勤は2人。土曜出勤で月曜日に代休。市役所に用事があるという場合には、月曜代休を使って済ませられるから、職員にとってはむしろ便利と感じている。

 

○迷子の高齢者が発生したという場合、民間のホームや介護事業所が24時間の対応をしている。行政と民間事業所が連携している。経験や実績の豊かな民間事業者と提携して、安心の運営が可能。介護について、民間事業所の専門スタッフが出動するほうが、シロウト職員よりも適切に対処できる面もある。市に通報があっても、民間ヘルパーが動く、というシステム。さらに定期巡回や訪問看護などと提携して、多面的なフォローが可能になる。

 

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3.感想

 

年度末の慌しい土曜日に訪問し、ご迷惑をかけました。事務所では、センターのスタッフ10人に加えて新年度から、地域包括ケアシステムの業務も担うこととなるため10人の増員。そのためのフロア引越しなどで大変な日でありました。

土曜日に営業することでスタッフの勤務形態に負担がかかる、との心配は、今日の市民ニーズと勘案して、無理なことではないと感じました。月曜日という平日に休めることをむしろ便利と感じておられる、そこがそもそも前向きです。

土曜日に開業するということと、市役所のひとつの課であるというところとの兼ね合いで、直営方式での土曜日開業は悩ましい面もあります。が、全国で、このようなサービスの差があっていいのか、考えさせられます。

同時に、民間事業者の豊かな経験をフルに活用し、行政と連携してサービスを機動的で満足度の高いものにしていることに感銘を受けました。

行政がサービスを行う、という、固定した観念にとらわれていてはいけない、そのことを戒めのように学ばせていただきました。

指定管理者の制度が定着し、「それは公務員がやらなければならないのか」「もつと充実のサービスができるのでは」「コストも下げられるのでは」との発想が当たり前の時代となりました。公共施設の管理のあり方も、「利益を生む」「将来負担を減らす」という徹底した発想が求められ、その先端にPFI方式による公共施設の建設と運営も導入されています。

このような時代背景で、「土曜日は閉庁」と言っていられるのか、ケアマネさんは土曜日も走っている、土曜日にしか来られない市民もいる、そしてこれからは24時間365日の地域包括ケアシステムの時代が到来…と考えたとき、土曜日の開業はもはや「標準装備」の時代に入っているとしなければならないのではないでしょうか。

今回の視察を糧に、これからも角度を変えながら、行政当局への提案を続けてまいりたい。

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