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○幼保一体化と「あんぱーく」            愛知県安城市

 

1.視察意図

 本年度教育民生委員会として視察。

 国では2省のタテ割りを克服できないことから幼保の統合もままならず、地方行政をやきもきさせているが、先進地ではすでに具体的な取り組みが行われている。安城市の幼保一体化の取り組みと、子育て支援の総合施設である「あんぱーく」について視察させていただいた。

 

2.安城市の幼保一体化

 ・平成19年、議会で「就学前の子育て支援を総合的に検討する組織体制が必

  要」と答弁。

 ・幼稚園と保育園の窓口一本化に際し、先進地の豊田市を参考。幼稚園に関

  する事務を保育園担当部局に補助執行させる手法。手順として、@教委か

  ら市長に協議書 A市長から承諾書 B教委事務の補助執行に関する規則

  の制定。214月、こども課設置。

 ・メリットとして、乳幼児施策を総合的に計画・実施できる、幼保の保育・

  教育内容指導の均衡化を図れる、ことが挙げられる。

 ・デメリットとして根拠法が異なることからの煩雑さがある。

 ・「幼稚園・保育園教育課程指導計画」を策定。養護面、教育面の両面にわた

  り、民間施設も参考につくった。

 ・幼・保・小連携会議を発足。初めは行政主導。やがて個別自発的に開くよ

  うになりも、現在は年に1回、報告をもらうことにしている。

 ・組織の構成

  市長部局に「子育て健康部」。子育て支援課、子ども課、健康推進課の3

  構成。子育て支援課は「あんぱーく」の中に。子ども課の傘下に保育所23

  幼稚園4が入る。幼稚園・保育所両方の資格を持つ。

 

3.子育て支援総合拠点施設「あんぱーく」

 ・231月末開所。旧安城保育園が移転し、その跡地施設を改修。

 ・それまでの「つどいの広場」の移転の必要。また既設の子育て支援センタ

  ーに専用室がなく、その必要からも「総合拠点施設」の設置を検討。

 ・ここに子ども課子育て支援係、ファミサポ、つどいの広場、子育て支援セ

  ンターが入居している。

 ・県の「安心子ども基金」を活用。

 ・託児室、絵本情報コーナー、相談室、調理室、多目的ホール、あそびの広

  場、サークル活動室などを備える。

 ・月曜〜土曜日開館、830〜5:15 あそびの広場930〜3:30

 ・事業内容

  親子の交流の場の提供、交流の促進、父親サロン、相談対応、情報提供、

  講習会開催、サークルやボランティアの育成・支援、児童クラブ・児童セ

  ンターの指導や支援

 ・つどいの広場「ほっとスペース」

  NPO法人「おやこでのびっこ安城」に委託。月〜金と第24土曜日に開

  設。利用は無料、希望者に飲み物代100円。930〜3:30

 ・市図書館と端末がつながり、本の貸し出しを行う。

 ・育メン広場。第3土曜日 10001130開設。父親の仲間作り、子育て

  への関心を高める、母親の負担軽減。23年度91185人が利用。

 ・赤ちゃん広場。第4水曜日 10001130開設。遊び、読み聞かせなど。

  同年齢の子を持つ親が集い、話したり相談したり、ほっと一息できる場所。

  23年度5501106人が利用。

 ・パパ講座。年3回、第5土曜日。イクメン講座、絵本ライブほか講演会。

 

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4.感想

 子育て世代からすでに遠のき、自分の周辺に子育て真っ最中という方々の声もあまり聞かれない、申し訳ない私の状況です。父親として、子育てには及第点をまったくもらえないパパでもありました。

 それでも幼稚園と保育所が、縦割りのまま地方行政の中でそれぞれに交流するでもなく、組織の上でも意識の上でも、まったくべつべつに運営されていることが不合理な状態を招いていることはわかります。

 そこに、少子高齢化の到来、さらに長引く不況で「育メン」のキャンペーンとはうらはらに父は仕事から帰宅せず、さらに母も仕事に行く覚悟を迫られる、そんな世情で、行政の子育てシステムがこれまでのままで良いはずもありません。

 安城市の取り組みはこうした危機感から具体的な行動を起こしたものであり、たしかに事務の煩雑さはあることながら、その改善は国の施策に待つほかはなく、ほんとうに本格的な国「腰上げ」を心待ちにしながら、地方にできることを懸命にやっているという印象でした。待っていては日が暮れる。親も子も卒業してしまう。地方が発信するこの姿勢が重要だと思います。

 なお近接する市民交流センターも、教育民生委員会の所管事項ではありませんが、参考までに見学させていただきました。というのも、「あんぱーく」などNPOや市民ボランティアによるところが大きく、何より、市民の集いやすい環境、そのエネルギーを発揮できる場所、まちづくりは市がやるのではなく市民がやるのだという意識を醸成するために、これこそが必要不可欠なものなのだと、そのことを議員諸氏にも実際に感じていただきたく、私が提案してお邪魔したものです。

 いきいきと集う市民がいるところ、国の縦割りを克服するパワーが盛り上がっておりました。

 

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