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〇芦原温泉駅西口賑わい施設「アフレア」の運営    あわら市

 

 令和6年11月7日 午前10時〜11

 

1.視察意図

 

 丸亀城の北側に位置する大手町「四街区」。市民会館建設の進む中、市長が表明して(仮称)物産館を建設する方針が出され、その位置と設計コンセプトについて議論が始まったところです。

 城内のお土産店が小さく古い。しかし城内にこれを建て替えることは困難。また観光客が気軽に立ち寄れるような「うどん店」などがなく、お客さんがいわゆる「おカネを落としてくれる」場所がない。これが実情です。

 これまで市民会館特別委員会からも豊岡市などを視察しました。そこで学んだのは行政が直接に「商い」をするのではなく、民間ノウハウを前面に押し出して、「従業員に給料を支払えるだけの稼ぎを目指す」ことを前提に、来場客に満足をいただける品ぞろえやサービスを用意すること。これはこれからの行政が計画するハコモノに欠かすことのできない視点です。

 この視察の前日には坂井市にある現存天守のひとつ、丸岡城の管理が「一般財団法人」によって行われている実情を視察しました。丸岡駅からタクシーを使って視察に間に合いましたが、数少ないとはいえ丸岡城からバスが出ており、視察を終えた夕刻のバスを待って芦原温泉駅まで直行できました。明日の視察期日を待たず、夕刻の「アフレア」も見学することができました。まずはそのもようを画像で紹介します。

 

駅西口。隣接しているというより西口そのもの。

 

掲げられている館内図。アフレア内を通って改札へ。

 

ホールは3層吹き抜け。高校生が宿題をしている。

 

大きなサイネージでは坂井市長が賑やかに登場しPR

 

 

 

各種レンタサイクルも完備。駅ピアノも。

 

見上げれば温泉駅ならではのモニュメントが。

 

施設内1階はフードと奥に土産コーナー。

 

2階は入浴気分を演出した展示とくつろぎ空間。

奥にキッズコーナー。

 

壁面いっぱいのスクリーンでまちを紹介。

 

2階カウンター席からホールを見渡せる。

2.視察概要

 

〇この施設の建設概要については別紙資料を参照。

〇令和5年3月開業。運営形態について、指定管理者を公募することも考えたが、市役所が法人を作ることに決定。市の子会社的な位置づけ。ほかに「まちづくり会社」を作る案もあった。公益財団にするのも一案だが、この施設に公益的な要素はない。そこで市が100%出資の一般社団法人とした。

〇「にぎわい交流施設」として、月に1度はイベントを開催する。待ち合いどころとしても活用してもらう。駅前のにぎわいを創出する、などをコンセプトに。現在、年間85000人が来場している。市内あちこちの方面に足を延ばしてもらえるよう、スタンプラリーも企画。イベントは民間組織「まちづくりセンター」が企画してくれている。

〇職員構成。プロパー3人、市役所職員派遣3人の計6人で構成。市職員は定期的に入れ替わる。プロパーの内訳として、もと観光課職員、観光協会職員各1人が入っている。

〇朝7時から午後10時までオープン年中無休。シフト制で職員対応。

〇ほかに市民有志で「アフレア活性化委員会」を構成。さまざまな意見、アイデアが飛び交う。初年度、アイデアを出し合い、翌6年度には一部を継続させ、その他をプロポーザルに移した。7年度はすべてプロポーザルで行うことにする。

6年度事業の中には「子どもしごとパーク」あり。7月開催。将来を見据えたリクルートの意図もある。警察、消防のほかクロネコヤマトやCOOPも参加してくれた。全20社参画。

〇別紙運営構成図。

 あわら市    指定管理    一社 アフレア

                       構成する社員は

                         ・あわら市

  連携      株式会社三丹本店       ・あわら市商工会

          商業部門を出店契約      ・あわら市観光協会

委嘱 あわら市観光協会  →運営→  観光案内所

       

アフレア活性化委員会 …イベントプレーヤー、市民、まちづくり団体で構成

 

 

 

〇これまでの事業の成果。(  )は集客数。

指定事業

・ストリートパレット(2600) スケボー、スラックラインなどで世界から誘客。

・あ!わらってるマーケット(3000) 市内の事業者大集合

・フルーツ王国あわら 初夏のフルーツパーラー(2日で8200) 春版も

・あわらカクテルフェス(2日で6900) 60種類のフルーツカクテル

・いちほまれフェス(2日で7000) ブランド米「いちほまれ」をPR

・まちなかアウトドアフェスタ(2日で5000) アフレアと河川公園をつなぎ、  

 10種類以上のアウトドアコンテンツを楽しむ

AWARAアソビンピック(2日で5400) 未就学〜小学生に遊びの探究。市内遊

 びスポットへいざなう

・青春きょうそうFESTIVAL(2日で8100) 坂井市と2市で共催。高校生が実

 行委員となり各校自慢のパフォーマンスを披露

・新幹線フェスタ(2日で6400) 北陸新幹線沿線4県のご当地グルメと小学生

 の「新幹線ウェルカムダンス」、クイズラリーで新幹線機運高める

・新春もちもちランド(2日で13600) 餅つき体験や一升餅背負い選手権、食べ

 くらべ

・あわら温泉おもてなしフォーラム(2日で5100) 温泉「女将の会」「青年部」

 が日本酒などふるまい。2日目は伊東温泉と連携し「枕投げ大会」

・あわらのいいとこ探し 通年。動画「あわら物語」20作品をサイネージで放

 映。おすすめスポットを紹介する「あわらマッチングガチャ」制作

自主事業

・歌舞伎「前進座」ワークショップ

・福井県立大学創造農学科と共催、スプレーギクをアピール

・アフレアマルシェ 商工会と連携し11事業者が出展

・新春初遊び NPO法人の協力で正月に帰省した子どもたちが集い歓声

・レンタサイクル、電動アシスト4種とキックボードも

・カプセルトイ販売

・季節ごとの館内装飾、七夕、ハロウィン、クリスマス、お正月

貸館事業

・市教育委員会音楽部会 合唱やフルート演奏

・金津祭前夜祭

・学生ダンスイベント

・写真展・講演会

・アウトリーチ・コンサート、音楽祭

・湯けむり映画祭授賞式

 

3.感想

 

 注目点は2つ。どういう運営形態が丸亀市の城、市民会館、物産館などに適切なのか。今が思案のしどころです。別添、アフレアの形態決定に至るまでの比較資料が重要です。株式会社、一般社団法人、一般財団法人、公益社団(財団)法人、任意団体という5種の特質について検討されています。観光入り込み客だけでなく市民にも開かれ、使われる施設。食のエリアの業者選定にはオープン後もさまざま苦難があったように伺いましたが、待ち合わせ、くつろぎ、お土産、キッズ、物産展示、観光案内的な要素と、欲張ったさまざまなシカケの上に、年間を通じて絶やさないにぎわいの創出。これにふさわしい運営形態を、従来の枠にとらわれず、しかも既存の概念を破って創り出すことが重要です。

 もう一つは市民参画。「アフレア活性化委員会」が、これには少なからず貢献していることを知りました。丸亀市の場合、率直に言ってここが決定的に心配です。「市役所とその職員が市民の方に足を向けていない」。それを痛感するからです。それで、視察の場面で詳細にイベントの内容を伺ったわけではないが、本文に、いただいた資料からすべての、これまでの事業を網羅しました。市民、観光客、隣の坂井市との連携、若い人たち歓声、お正月に帰省してきた子どもたちの歓びまで、肌に感じるようです。

 視察前日の夕刻にここに到着し、まず釘付けになったのは大きなスクリーンに流れる動画です。本文中にもある「20作品」がそれで、短い動画に必ずはさまって1行のメッセージがしめくくるのです。きらきらした子どもの走るシーンの後には

 

 

といった具合です。

 視察の席上、「あれ、カッコいいですね」と驚嘆を表しました。こういうことにとても長けた「市民」がいるとのことです。ポイントは、アフレアの職員がそうした市民の皆さんと同じ高さの目線であること。それをお話の端々で痛感しました。そうした協力、いや協働があってこそ、我らの「物産館」もきっと市民に支えられ、使われ、愛されることでしょう。この観点を、何としても物産館を設計する部署、運営する人に限らず、市長のもと、市民との協働の部署の皆さんに理解、共鳴してもらいたいのです。

 「こういうことには国から補助金が出ないから」「出るから」という視点に終始せず、市民の皆さんといっしょに!! との心意気を市役所職員が身に付ける、行動する。これが物産館成功の要諦である。このことを視察の結論とします。

 

 

ここはあわら市なんですけど、スクリーンには隣の坂井市長が大暴れでした。


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