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CCCが展開する「学校総選挙プロジェクト」

 

 本社が入るビル

 

.視察の概要

 

 令和4年10月7日

 CCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)マーケティング㈱本社

 「学校総選挙プロジェクト」を企画推進する担当者と面談

 プロジェクト責任者、プランニングディレクター 石井大樹氏

 同 プランナー                内藤亜弥氏

 

.視察の詳細と感想

 

 CCCは「マルタス」の指定管理を担う会社。「学校総選挙プロジェクト」など社会的な活動を展開している。

 夏の参院選を前に放送されたNHKの投票率向上にまつわる番組に、このプロジェクトのリーダーが出演していて、出演者それぞれに投票率向上への提案、取り組み例を紹介していく中、同社が展開する渋谷のTSUTAYAでは選挙の政見放送を模したデザインのプリクラを設置しようとのアイデアが披瀝されていた。プリクラ画面は政見放送のしつらえ。候補者の名は「渋谷ハチ子」と名札にある。こういう柔らかい発想が必要なのだと番組で深く共鳴した。実際には日程や費用が合わず実現できなかったが、このプロジェクトでは選挙にとどまらず、学校の校則、LGBTQ、環境問題など多彩なテーマを取り上げ、いわゆるZ世代の人たちの目を社会に向かわせる、そのようなコンセプトで事業を全国展開している。現在、このプロジェクトの機関紙が届いている高校は全国に4800校。ただ投票率を上げるということを目的とするのでなく、なぜ低いのか、それは若者に選挙が分かりにくい、話しにくい、声が届きにくいからだと分析。それぞれの段階に応じたアクション、すなわち解説、対話、オンライン投票、その後の発信というプロセスをていねいに辿り、若者が「自分の判断ができるようにする」「分からないけど知りたいという若者が集う場を設ける」などの企画を展開している。

 選挙のたびに、若者の投票率が低いと話題にされるが、その心を尋ねてみると「社会に貢献したい」との志の多さでは若者が群を抜く。これはオトナたちに責任があるのだとの結論にいたる。ゆえに、単に「投票に行こう」と呼びかけるだけにとどまらず、校則をはじめ「問題意識を立ち上げる」ところから取り組むところに希望を見いだす。選挙は大事と分かっている。でもまちがって投票するのが怖い。先生には聞きにくい。友達にも話しにくい。何と思われるか心配。話せる人がいない。ここに課題がある、と。さらに投票に行ったが結果として「声は届かない」と実感したら、もう投票に行こうとは思わない。

 そこで「学校総選挙プロジェクト」。別紙の手順で、「分かりにくい」を「分かる」に、「話しにくい」を「考えが深まる」に、オンライン投票を体験しながら「声が届きにくい」を「届く体験」にしいく。

 その候補者や政党は「どんな人(政党)?」「何を言っているの?」ステップを踏んでいく。

 議会質問で選挙管理委員会に向けて「投票率が上がるように努力せよ」的なことが指摘されてきたが、「こうすればいいですよ」との回答がここにあるのではないか。選管に向かっていうことではないのだ、と気づかされる。ではどういう手順で民間会社のこのノウハウを丸亀市に引き込むことができるのか、そこまでの話には至らなかった。

 2019年の参院選で、投票済証を提示するとTポイントがもらえる、という仕組みをやってみた。丸亀市ではまずこの投票済証の発行そのものが投票の不公平につながりかねないとの見解で発行に至っていない。投票所出口でうちわが配布され、また告示期間中のバスが無料になるなど努力されている。ここから一歩踏み込むかが課題となる。選挙に行くと「選挙割」の特典を出す自治体もある。千葉市では大学生が、この「選挙割」に参加してくれる店を開拓してくれているという。

 世界が民主主義と専制主義との二極分化し、国連も力及ばずの実情で心配は尽きない。気の毒なのは未来に生きる人たちである。実はこのプロジェクトに関わったCCCのスタッフがいま、マルタスにいると聞いた。5階建ての市役所と2階建てのマルタスがつながっているのは意味あることだ。ぜひ民間、市民、行政がこのテーマのもと、渡り廊下でつながってほしいと願う。勉強をさらに進めて、民間ノウハウの具体化を研究してまいりたい。


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