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〇高知市市民文化プラザの指定管理手法           高知市


   令和5年1120日   高知市市民文化プラザ

 

1.視察意図

 

 丸亀市で建設が始まった新市民会館について、その管理運営をになう指定管理者がこのほど選定されました。期間は5年ですが、その先を見据え、私たちがこれまで議論してきた、この施設に掛けられる期待をどう具現するか、そのあり方はどうあるべきかについて、ひとつの参考として共同企業体形態で行っているこの施設の運営手法を学ぼうと伺いました。

 

2.視察の概要

 

 指定管理を受けた団体は「文化プラザ共同企業体」。5()がそれぞれの「強み」を生かして運営する形をとっている。その5()とは、(株)四国舞台テレビ照明、四電ビジネス(株)、三菱電機ビルテクノサービス(株)、(株)シアターワークショップの民間4社に加えて市文化事業団の5者で構成している。幹事は四国舞台が担い、かるぽーと建物内に入り、事業団も別のフロアに入っている。

 なお「かるぽーと」内の構成は、地下13階駐車場、12階部分に大小ホールと2スタジオ、1リハーサル室、総合案内、企業体事務室。35階に横山隆一記念まんが館と企画展示室、7階に市民ギャラリー5室、811階には中央公民館が入る。8階に市文化事業団と文化振興課が入る。大ホールは1085席、プロセニアム型。小ホールは移動式200席。

 運営全体は事業団が担い、4社がそれぞれの専門分野を担当。建物施設の管理を四電が、エレベーターとエスカレーターのメンテナンスを三菱が、運営管理とコンサル業務をシアターワークショップが担う。四国舞台は高知を拠点に40年の舞台ノウハウを持つ。シアターワークショップは30年以上、全国150館以上の施設の管理、市民参加に関わっている。H21年スタートのかるぽーとの管理運営を担うべく前年H20年に設立。

 

3.感想

 

 丸亀市においてもいよいよ新市民会館の運営を担う事業者が選定されました。これまで、可児市の「アーラ」に大きな啓発を受け、単なる文化芸術の殿堂でなく市民を巻き込み市民を取り残さないとのコンセプトで設計が進んできました。かつての旧市民会館はホールの使用がなければ玄関の鍵がかかったまま。結婚式場をはじめ、たくさんの会議室を持つ設立当時としては時代を見越し、大いに先進的な設計であったのであろうと思います。時代の流れは速度を増し、一口に「市民会館」といってもそこに求められる役割、機能は大いに変化しました。それは運営手法も同様で、公共施設の運営の手法に、民間委託、第三セクター、企業との様々な共同手法も派生し、ここに指定管理制度が定着しました。しかしその中身を見ると、利用者の要望や苦情が真に反映されているのか、心配もあります。これまで、どれほど新市民会館への熱い思いが語られたでしょうか。しかしグランドオープンを経てみると、次第に運営が硬直化し、時代を先取りする運営やサービスが本当に取り込まれるか、私は一抹の心配をしています。そんな中で知ったのが「かるぽーと」の5()による共同企業体を設立しての運営という手法でした。数十年に及ぶノウハウの蓄積。全国展開の実績。これに加えて、ITAIの時代に、果敢にトレンドやニーズを敏感に嗅ぎ取るセンスがこれからは欠かせません。このほど新丸亀市民会館の指定管理者の第一交渉権を決定するプロセスには、11人の審査人による厳正かつ客観的な審査を経たとの説明であり、これに疑義をはさむつもりはありません。その指定管理期間はまず5年間であり、私はその先に、こうした企業体方式を取り、全国レベルの実力を備える指定管理者というあり方も選択肢としてあり得るのではないかと、視察の結果、考えるところです。かるぽーとの建物内には指定管理者だけでなく、公民館機能も持つことから市役所の文化振興課も入っており、つまりここは役所の一部でもあるわけです。市と指定管理者の距離が近く、機敏で緊密な連絡対応ができているのではないかと想像できます。わが丸亀市の事業団も市とは大変に近しい位置におり、活動形態がとても柔軟であると承知しています。しかしともすれば、そこに「官民」「受託者委託者」との立てわけまでも曖昧で、メリハリがつかないことになっているのではないかという心配も私はしています。よく、アップデートできてないことを称して「昭和の時代だ」などと言います。昭和の公務員だ、昭和の議員だ、昭和の発想だ、などと。これまで様々な局面でお世話になっている丸亀市民にとって大切な役割を果たしてきた市事業団ですが、これから指定管理を担いながらも、しっかりとその使命を自覚し、他からの刺激も受けて、日々アップデートする存在であってほしいとの強い願いを抱いています。


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