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○「議会広報のリニューアル」セミナー        東京都

 

1.    開催概要

 

テーマ 議会広報のリニューアル~何をどう変えていくか~

講師  エディター・広報アナリスト 吉村 潔氏

日時  平成30724日 10:0017:00

会場  アットビジネスセンター池袋駅前別館

 

2.    受講意図

 

本年度、議会広報広聴委員会の副委員長に就任。編集作業は、議会事務局が旧来の構成に則ったルーティンな紙面作成を行い、委員会が提案されたそれを追認、あるいは画像の良し悪しなどに意見を付けるといった作業内容が多いように感じられていました。議会だよりは読まれているのか。この問題提起をあえて行い、委員の皆さんに提案しながら、可能なところまで改善を実現したい。その意識を共有しようと、このたびのセミナーに受講しました。

 

3.    午前のセミナー「総論」

 

○市広報の傾向。読みやすくわかりやすく。「読む」から「見る」へ。イベントは広報に載せず、スマホやウェブで伝える。広報は企画モノになる傾向にある。表紙に特定個人や商店がシリーズで取り上げられたりしている。昔はこういうことはなかった。議会広報も「広聴」を前面に、若い人を引っ張り込んで、いっしょにやろう。これまでのテキストベースではしっくりいかなくなってきた。そこでリニューアルを考える必要が出てきている。

○リニューアルの7手法。①幅広い世代の読者に向けて②リニューアル事例③コンテンツ別の変化④広報への住民参加⑤議会報告会・意見交換会ほか⑥特集を組む⑦デジタル広報。

 

①幅広い世代の読者に向けて

○スタバは広報上手。プラスチック廃止の時流に敏感に反応、プラストロー廃止を表明。タイミングがうまい。すべてのメディアに取り上げられていた。職員を非正規から正規に、との方針も。後手でも早すぎてもダメ。議会も、大学との連携などタイミングにこだわることで広報がうまく機能する。

○議会、行政、市民の3者が「よりよい関係」を築くためのアプローチ。①議事公開の広報→説明責任を果たす②議会と行政の争点を示し、地域課題を共有する③議会活動への理解と関心を高める④住民参加の多様な機会と仕組みをつくる⑤進んで手に取り、読みたくなる議会だより⑥子育て世代、若年世代も共感できる広報へ。④から⑥が特に大事。「議案第1号から第60号まで説明します」では、誰も読者がついてこない。

○「傍聴に来ませんか」にも一工夫を。

○議会広報は必要か? の調査結果。66.2%の圧倒的多数が「議会だより」から議会情報を得ている。以下、新聞16.4、議員や会派の広報紙11.2、議会HP5.9

、議員4.4、ネット中継1.8…と続く。議会のHP5.9%ではいけない。さらなる工夫を。Webでも議会だよりが見られている割合が多い。議会だよりの紙面も、Web、スマホで見られることを意識すべきだ。

○四日市市の「議会の議論や活動を市民によりわかりやすくするために必要なことは」のアンケートで、「議会だより」の充実37%、議会報告会の充実22%、議会HPの充実17%、傍聴機会の拡大(夜間・土日開催)11%、ネット中継の拡大10%。議会報告会は全体の54.3%が開催している。

○日本ではスマホとパソコンの世帯保有率が2016年に逆転した。そのことを意識すべき。

○メディアそれぞれの長短。

・会議録 ()会議内容をありのままに記録した公文書。開かれた議会の象徴の一つ。()閲覧できるまで時間がかかる。自分から見に行く必要がある。(課題)ウェブでの委員会も含めた完全公開、ユーザビリティの向上、動画との連携

・広報紙 ()情報の信頼性・特別感。閲覧性と一貫性。自宅に無料で配布される。()発行までに時間を要する。ページ数に限りがある。(課題)発行までのタイムラグを埋める情報価値。情報の選択・編集。ウェブ・スマホとの連携強化。

Web ()速報性がある。情報量の制限がない。更新・修正が簡単。()閲覧する環境が必要。自分から見に行く必要がある。(課題)閲覧したくなる魅力がある議会サイトへ。コンテンツの充実、視覚化。広報紙との連携強化。

 

②リニューアル事例(Before/Afterを比較=レジメ)

○袖ヶ浦市議会。市民グループが座談会に登場する。

○伊達市議会。地元高校美術部の生徒がロゴデザイン。「ほっとだて」の題字。

○山鹿市議会。高校オープンキャンパス。

○八尾市議会。八尾高校書道部→八尾北高校写真部、書道部、美術部が登場→山本高校美術部と担当を回す。表紙と中身に関わる。「教えて議員さん」「高校生のことももっと知ってほしい」の記事。高校生にアンケートを実施。議員も意識が変わる。QRコードから動画と結び「電子広報」へ。

○ほかに白糠町議会⇒レジメ。

 

③コンテンツ別の変化事例=中身のリニューアル

○柏市議会。「かしわ Gikai-plus」。議案の掲載も「選択と集中」。欲張って詰め込んでない。ピックアップして予算紹介。防犯カメラ600万円など。裏表紙には条例改正の紹介で図式。紹介で普通は終わりだが、期待される効果も書き込む。行われた質疑も紹介する。情報は、“出し方”が変わっている。

○久慈市議会。「議案第○号」の紹介でなく「駅前はどうなる?」と争点を出す。何で? どこが問題なのか? を分かりやすくクローズアップ。説明だけでなく質疑、討論も入れて分かりやすく。「分かりやすさ」と紙面としての「見やすさ」を両立。住民にとって関心のある情報をクローズアップする。日程通りに並べてもダメ。

○多摩市議会。決算・予算のサイクル化。左ページには会派ごとの意見を並べ、右ページには決算提言とその反映内容を掲載。行政の広報とはちがう予算決算、議会ならではの評価、視点を色濃く。

○ほかに東卸市議会、精華町議会、京都府議会の例⇒レジメ。

○小林市議会。視察報告を活かす紙面。現状、課題を提起→視察先の優れた点→これで終わりが多いが、さらにこれをどう生かすか、を記述。3項目を3色カラーで。

○所沢市議会。「子どもの貧困対策」のテーマを掲げ、課題→視察→提言という構成。QRコードで視察の詳細につなげる。

○大津町議会。HPに質問や請願を行った「その後」の行政の対応を載せる。

○軽米町。「検討します」の答弁の後を追う検証、シリーズ「追跡」。

○須賀川市議会。政務活動費の使用内容を開示。

○安曇野市議会。政務活動費の詳細と視察報告を併せて載せ、詳細へQRコードで導く。

 

④広報への住民参加

○千葉市の「ちばレポ」。

○厚木市の「スマ報」。

○三芳町議会。町民の顔を載せる。これをきっかけにして読んでくれるように。行政に関心を持ってくれるように。健診に来た親子を紙面に載せて親しまれる。

○地元の高校生・大学生とのコラボの例。十日町市議会は高校写真部、松阪市議会はデザイン部、白山市議会は短大美術科の学生の力を借りる。

○ふじみ野市議会「あなたの意見を聞かせてください」のコーナーを設け、市民からコメントをもらい、紹介。

○東広島市議会は議員が市民にインタビューする記事。2㌻構成、座談会なら3人が限界。こうした形式だと行政や議会に対する苦情や要望が出ない。

○富士川町議会「町民の活動を訪ねて“おじゃまします”」、利府町議会「いきいき活動」のページ。裏表紙に市民活動を紹介すれば読んでもらえる。

○加美町議会「モニター座談会」で「読者層を広げる広報紙づくり」を特集。

○丹波市議会。高校生による「読んでみたくなる作戦会議」。高校別に開催。アイデアをもらい、読者拡大。主権者教育にもなり、フレッシュな感覚を取り入れ、議会だよりを知ってもらう効果がある。よりカジュアルな紙面づくりになる。

○大津町議会。「議会だより改善」をテーマに高校生や町PTAと意見交換会。

○須賀川市議会。「大学生が考えました~議場案内パンフレット」。

 

⑤議会報告会・意見交換会ほか

○瀬戸市議会。若者の政治参加をめざし「議会と大学生の協働プロジェクト」。観光、環境、社会保障について討議。12月の一般質問中に学生意見盛り込み、それを学生が傍聴する。こうして単なるグループワークに終わらせない。

○可児市議会。年間サイクルを組んでの大掛かりなキャリア教育支援に議会も参画、貢献している。「地域課題懇談会」を毎年夏、高校生、大学生、商工会議所会員等と議員とで開催。冬には高校生が意見書を提出。

○多可町議会。高校生の声を意見書にまとめ、町に提出。

○東御市議会。議会報告会開催のもようを参加した人の視点で。写真セレクトに注力。「こんな意見が出ました」に止まらずフォローまで。カジュアル感。

○那須塩原市議会。議会報告会で出された意見を「ポストイット」風に張り付けた紙面。

○ほかに大刀洗町議会、六戸町議会、所沢市議会、上越市議会、鳥羽市議会の例⇒レジメ。鳥羽市議会「わたしの議会。」フットワークが軽い。

○広報が成果を出せば、議会にも反響与える。

 

⑥特集を組む

○予算、決算(甲州市議会)、委員会って何をするところ?(さいたま市議会)、在宅医療(磐田市議会)、災害(東峰村議会)など。関心のあるものを。

 

⑦デジタル広報。

○可児市議会、大分市議会、新居浜市議会、倉敷市議会、長与町議会、長久手市議会、調布市議会、町田市議会ほか⇒レジメ。

○新居浜は一般質問を別窓にして会議が探しやすく。倉敷は情報をすべて公開。動画と会議録を1画面で表示し、とても親切。

○無料アプリの活用、PDFさえ作れば配信してくれる。若い人へ議会の通り道を作る。QRコードは一般化。Uチューブぜひ活用を。スマホで読める議会だよりを工夫。

 

以上7項目のまとめ

   思い切った紙面の刷新→議会で何かが起きている!?

   定例会情報の編集→争点を抽出(選択と集中)+わかりやすい

   広聴活動の広報拡大→議会報告会・懇談会等

   広報への住民参加→意見交換・コメント・インタビュー等

   若い世代とのコラボ→表紙・広報の改善・政策づくり等

   情報公開の拡大→資料・政務活動費・会議出欠状況等

   電子広報の拡充→スマホやタブレット対応・動画配信等

 

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4.    午後のセミナー「クリニック」

 

○事務局が作ると平均点になる。

○企画は議員が、レイアウトは職員がやるとしても、議員主導で。

○職員はトップ面で特集を組みたいのだけれど議員が代表質問だと譲らないと嘆くケースも。これはアカデミーに参加していた職員の声。

16㌻仕立ては合理的で経済的。

以下、セミナー参加メンバーの地元「議会だより」をクリニックしていく。

 

○瑞穂市議会。議会のプロセスまで書いてある○、会議日程順は×、表紙がおとなしい×、タイトルも静か×、もっとメリハリを。バス式典の写真はお年寄りや子どもが乗り込んでいるシーンをアップ気味にし、メッセージ性ある写真に。表紙が一番大事だが、23㌻は開いてすぐで次に大事。几帳面だが読むのがキツい×。字は時間軸だ。写真は一瞬だ。読者が中に入って来やすいよう、大きなタイトルに。字と写真で構成せよ。議案審査がページ途中から始まっている×。ページの頭から始めよ。○八幡平市議会は大きなタイトル○、件数表にまとめる○、予算以外のトピックス○。目を引き分かりやすい。「意見交換会まとめ」はそっけない×、いっそのこと議員による座談会にしては? 一般質問のレイアウトはいいが議員名にはルビを。上下のすき間がキツい×、上が空いている。右上のスペースを上手に使って。1問目と2問目を縦の点線で区切って窮屈×、ふつうに流せばよい。「○○○について」とのタイトル×、質問趣旨が見えるタイトルに統一するように協議せよ。賛否一覧の表、全会一致のものはまとめ、案件の一行解説を入れる。

○加賀市議会。モニターの声を採用している○。出欠表は○だが場所を取りすぎ。全員出席なら必要がない。別のことに使って。情報の見せ方が「議会サイド」だ×。特に3㌻、条例案の名前と短い解説。活字ばかりで目に入ってこない。絞り込み、写真、チャート、図を入れ、市民サイドに。タイトルは「こんにちは 議会です。」表紙は良いのに○概要が見づらい×。次の定例会のお知らせとFBのお知らせのある裏表紙も○。4㌻はQRコードもありQ&Aは親切で○。一般質問のページ、質問議員がコメントする「議員のひとこと」は○。一般質問で議員別のタイトルを付けているのは議員を尊重しているのだろうが2問入れているのはキツい×。限りあるスペースで2問分まとめるのは難しい。字詰め(1行の長さ)がギリギリ×。これより長いと読めない。色使いが読みやすい○。14㌻「意見交換会」は表紙と連動していて○。意見交換会はHPと連携を。コンテンツとしてまずまず○。

○山鹿市議会。高校4校で毎号回しながら表紙を依頼。ここから中学、小学へ。学校提供の写真を使用。次の定例会案内を出すといい。インデックス○。委員会審査のページが良くなった。見出しが目に入ってくる。白地を取ってあるからよく見える。「意見等について」のページは写真のネームを大事に。「議会報告会の様子」ではなく「スライドを使って見やすくしました」など。一般質問の質問者の顔写真の向き×。ルールがある。質問タイトル「…について」は×。質問の趣旨が伝わるタイトルに。だよりの中に市民の顔が見えることが大事。

○能美(のみ)市議会。「手話条例を可決」の表紙○。タイトル「のみだより」○。特集がある○。これらは今の方向になっている。色については、赤と青は使わない方が良い。ユニバーサルデザインでも使わない。色弱の人が見づらい。ナマっぽい×。オレンジがおすすめ。見出しが「立って」いる○。本文と見出しの大きさの違い。これが大きいことを“ジャンプ率が高い”という。強い書体○。3㌻「特別委員会を設置しました」の見出しは本文の下に。手話関連で2つの情報があるが離れている。なるべく近づけるように。12㌻は適度な空き○。窮屈感がない。しかし13㌻はキツキツ×。12㌻、Qの本文までが色付き×。Qの見出しのみ赤にして本文はスミ()で。太字だけでわかるので、色まで変えなくていい。行間・字詰めについて次ページ「フラメンコ」の記事参照。12ポだと行間6ポで読みやすい。罫線との間の空白も確保し、プラス写真を。委員会報告はQRコードでwebへ。14㌻の特集はアタマに持ってきても良い。相手人数が多すぎ×。名前を出せない。人を絞って記名に。

○北上市議会。表紙写真は公募。以前は高校生作品だった。応募が少なく要検討。撮影者の名前とコメントが入っている○。市民参加のひとつとなる。公募をやるならギャラリーにしてはどうか。また年間を通じて上手な一人に撮ってもらうという手もある。表紙の風景写真がおとなしい×。市民の顔が出るほうが良い。3㌻はヨコ書きだがヨコでないほうが良い。数字は見やすいが。タイトル「子育て世代の負担軽減に重点」は市当局の見出しっぽい×。議会の主張であるような表現に。質疑をもっと見えやすく。2㌻一般会計は市のものよりわかりやすいが「チェック機関としての立ち位置」で表現すべき。金額の数字は千円で切り捨てて良い。563,500万円は○。新聞では“,”を入れず3500万円とするが、入れた方が読み取りやすい。56㌻分かりやすい○。議案番号や正式名称は小さくしていて○。何がどう変わるのか、をタイトルにしているのが○。本会議→委員会→本会議と日程順でなくワンストップの流れが○。ジャンプ率では久慈市が○。白いスペースを取ると見出しが目に入りやすくなる。明朝書体は弱い。最近は新ゴチックを本文に使う。読みやすい。昔は、本文は明朝と決まっていた。ゴチックのほうが、文字が大きく見える。この点は能見市議会が○。

○白河市議会。オーソドックスにまとまっている。表紙左下の空白が×。全面を使って迫力を出そう。白いところには文字を入れよう。3㌻「当初予算の主な事業」は「議会の注目する事業」などに。数字を目立たせる。6㌻の委員会審査。条例名の正式名称はたまんない×。見出しで目を引いているのが甲州市議会。議会で決まって何がどう動くのかを示す。18㌻意見が出ているのが○。19㌻議場写真の背景に文字は読めない×。討論、この分量なら見出しが必要×。裏表紙のカレンダー○。

○野木町議会。ゆるキャラ2体。議長席に座らせて町民にインパクト与えてスタートしている。45㌻は文字ベースになっている×。インデックスにするなどわかりやすく。オレンジ使用は○。行政と同じタイトルは×。群馬県榛東(しんとう)村議会は議会目線の見出し。10㌻見出しに工夫を。議会にとって大きなことはもっとアピールすべき。11㌻キャラを目立たせていて○。1617㌻一般質問とても○。写真迫力ありとても○。下の「質問事項」のカコミは段組みに影響させない×。問答の文字を1ポ小さく、ゴシック体は○。2問目の見出しがない×。入れるなら1問目を小さくして、ケンカしないように配する。裏表紙の議会スケジュールは抽出して主なもののみにし、写真を。予定のほうは○。

○阿波市議会。答弁の記事は理事者がチェックしている。A3ウラオモテの紙面、地元紙に折り込み。年4回、1日に。これでは新聞購読者が減っているので×。チラシと戦争で×。地元紙未購読の人には別にポスティングをしているとのこと。チラシとの戦争にはトップ記事を強くして勝つ。4ページ建てとして、表紙はワンテーマでチラシを「蹴倒す」イキオイを。質問は内側のページに。議員の名前と顔はわかるが内容がわからない×。見出しが必要。読者をナビゲーションするように。タテ一列な構成は好ましくない×。滝沢市議会のレイアウトは均等で使いやすく、バランスが良い。流し込みの手法で分量をフォーマット化している。

○利府町議会。9年連続トップ10入り。表紙カラーは「楽天」カラーだ。この色が「議会の色」として定着している。330字を守る。すべて議員が執筆。レイアウト、表紙写真も議員が担当。「中学生にもわかる」「短い文章」に気を付けている。「…について」はやめる。「見る広報」を心がけている。表紙の女の子は背後がボカされ、自然な表情で○。写真の力を活用している。次のページもビジュアル○。校舎建替え特集も○。10㌻予算審査は明解、簡潔、関心があるものを拾える。一般質問1ページ1人は読みやすい。32㌻議会報告会は大きく○。31㌻「活動レポート」も○。33㌻「いきいき活動」、地域活動をクローズアップし、議会に関心を呼び込む。出た人にも喜ばれている○。サクラは発行時にはタイミングが悪かった。裏表紙に「住民の声」、30年度のテーマは○。全34㌻はすごい。でも123円と低コスト。

○丸亀市議会。「特殊勤務手当」「待機児童」の付帯決議の情報が飛び飛びに出てくる×。本会議に出てきて12㌻にも出てくる。つながりに配慮を。2㌻の特殊勤務手当は10㌻で初めて出てくる。まとめてクローズアップする手法も。文字組みは読みやすいが、組み方を工夫して。代表質問のページは○。11㌻予算特別委員会は何に関する質問なのかがわかるように。「読んでくれる」を前提としないで。見出しにしなくてもせめてテーマを入れる。そこに読者は反応する。1415㌻「議案内容」羅列は読む人いない×。抽出、拡大、フィーチャーを。情報は飛び飛びにせずまとめる作り方に。多古町議会の審議結果は色を違えて議案名+解説でメリハリ。「どれもこれも」では平板になる。「山あり谷あり」に。

○ここでレイアウトの基本の話。文字は削れる。できるだけ読みやすく。そのために余白を活用。久慈市、春日市のバランスは○。タテ組みとヨコ組み。人間の心理、目線の動きに配慮、写真の配置に工夫。左右ページを揃えるのが基本。見やすくキレイ。見出しには余白を取ると読みやすい。情報を適切に分ける。タテ組みとヨコ組みで分ける、線で分ける。色もフォントもシンプルに。アップル社のHPを参照。赤、オレンジはエネルギッシュ。青、紫はクール。夏はこちらに。同系色と反対色の調和で紙面をまとめる。広報かわにしが○。カラー紙面だからといって使い過ぎない。多用すると目立たせたいところが目立たなくなる。

○白川村議会。毎号、表紙が○。裏表紙は内容が面白いがキツキツで×。見出しは大きく、本文は2段組み、行間を広げて分量を2割減らすと良い。2㌻予算審査。理事者から回答を得た、ということを見出しにしてはどうか。4㌻文字数多い×。「○○費にいくら」の羅列×。もっと整理して。加美町議会はコンパクトで○。1112㌻の質問は「塊(かたまり)」に見える×。行間を開け、ポイントを下げて見出しを入れる。見開きで文字量を整える。スミ()のみのページはスミもアミも活用して。白糠町、横瀬町のものは読みやすい。

○富士宮市議会。今回から横書きに。最近増えている。タイトルに写真が負けている×。ちょっとおとなしく。多摩市議会も「虹」だが、白っぽいので下の写真を殺さない。2㌻常任委員会に「委員長のコメント」○。次に続くコメント内容を。雫石町のものはスッキリ。白抜き、数字、見出し○。45㌻「ネットで見よう」が裏表紙にあるが一般質問にくっつけるべき。ルビ○、行間○。見出しがキツい×。1819㌻は会派によって書き方が違う。説明だったり、そっけなかったり、バラバラ×。統一性を出すべき。全体に定例会以外の情報が少ない×。もっと広聴要素を。

○丹波市議会。「5分で読める」「若いお母さんをターゲットに」○。「読モ」=読者モニター会議。チャレンジしている○、毎号特集○、議会と市民の距離を縮める○、次は何だろう、と期待させる○。全20㌻でトーンが落ちてない○。高校生の期待○、市民も登場の裏表紙○。議会が市民に浸透するアクションだ○。67㌻のホワイトスペースが有効、上下で話が違うとわかる○。見出しが具体的○、鉛筆マークで「カイセツ」○、QRコード○、ページを開いてすぐにわかる作り方○。知りたいニーズに応えている。11㌻審議結果に一工夫。茶色で討論が行われたことを示す○。18㌻「市議会つぶやき川柳」○、「ラジオ発信」○、スマホ発信「マチイロ」○、「傍聴にお越しください」の記事もわかりやすく○。「議会進化論」○。小見出しをもっと目立たせて。「読モ会議」を今後とも継続して。

○鈴鹿市議会。通年議会導入。次号から紙面一新の予定。ヨコ組みは洗練されていて文字ベースなのに読みやすい○。写真のテーマ性をもっと×。今後の日程○。2㌻「通年議会がスタート」にはサブタイトルがあれば良い。知らない人はよくわからない。スッと入ってくるように工夫を。臨時会の概要が2㌻と3㌻に泣き別れ×。避けたい。通年議会で1ページを使い、2月臨時会を1ページで収めると良い。45㌻「3月議会概要」の「カッコの説明」が分かりづらい×。6㌻分科会。Q&Aなど差をつけて。京丹後市のものは内容の本意が分かりやすい。問題点が見出しでわかるように。本文を読まなければ分からないのは×。質問を議員ごとでなく「テーマありき」で。「各議員の別は何ページにあります」というように編集された出し方を。意見の集中、傾向が見えるように。

○三郷町議会。カテゴリに分けた予算説明。金ヶ崎町プラス各地からのコメント。歳入歳出ではグラフだけでは見られないものを出す。

○四日市市議会。ショッピングセンターで議会報告会「シティミーティング」。これは議会改革の最先端なのに「だより」前面に出てなくて残念×。23㌻、広報というより議会の資料だ×。よく書いている、内容がせっかく良いのに読まれないと意味がない×。丁々発止もあっていい。9㌻の意見募集コラムが○。その後どうなったかも出せばいい。2425㌻のシティミーティングはトップに。見出しは重要。本文を想像できるものにして、ナビゲーションにする。見出しがないと「全部読め」となり、読み飛ばされてはもったいない。「見出し」とは「見い出す」ことだ。

○豊島区議会。タブロイド判、新聞折り込みと区内施設でのラック置き。年2回は全戸配布している。国立市議会はトピックス、次回のカレンダーを、千葉市議会は常任委員会特集を。トップページの作り方が重要。タブロイド判なので新聞的な割付が多かったがワイド面活用でパンチを出している。「チラシと戦うパンチ力」が必要だ。一般質問は流し込み的で×。ページ内で収めるように。イラストよりもできるだけ写真に。イラストでは情報に地域性がない。大学との連携がない×。今後検討を。

○まとめ。知れば知るほど議会はオモシロイ。市民ともっとコンタクトを。「議会だより」がそのリード役を果たせ。

 

5.    感想

 

丸一日のセミナー漬け。終わってみると頭がジーンとしています。セミナーを主宰する会社などからの案内チラシを眺めて日程をにらみ、「これにしよう」と決めるのですが、打率10割、私はこころのところ「イマイチだった」というセミナーに遭遇しません。

 今回も、午前は詳細なレジメでの「議会広報の大切さ」と「今日的なニーズ」をしっかり学習。そして午後は参加者地元のナマの「だより」を示しながらヒヤヒヤものの受講。褒めたりけなされたり。しかし「なるほど」と一理あります。

 報告の本文には簡略に「ここが○、ここが×」と表記しました。○の指摘が圧倒的に多かった丹波市議会。とりわけ、「市議会つぶやき川柳」は出色。ひとつ引用して見ます。

 

 練り上げた 一般質問 いざ登壇

 

こういうのもあれば

 

 今日もまた 女性議員に いじられて

 

という柔らかめなのもあります。議会や議員がぐっと身近になるでしょう。

 長時間に及んだセミナーの結論は「市民ともっとコンタクトを。「議会だより」がそのリード役を果たせ」ということでした。「読むならどうぞ」という冷たい態度を脱却して、議員が心を砕く。事務局職員に任せていたらどうしても「波風立たず」の作風? になってしまう。しかし編集委員同士での合意形成はとても難しい。そのトラウマから、わが丸亀市議会の「だより」も進化が止まっていた、との感があります。

 ここに思い出すだけでも、倉敷市議会のHP、動画と会議録を1画面に表示する親切設計に至るまで、紙面だけでなくWebに連動した市民サイドに立つ議会広報、さらに広聴の生き生きとした姿を、今回のセミナーで各地の状況を教わりながら身につけました。それにしても前半の講義での「Before/After」の衝撃。

ちょっとした気づきと工夫で、紙面は目を覚ますように蘇る。そこに向けて私たち議員がまず「目を覚ます」ことが必要だと改めて実感。「広報が成果を出せば、議会にも反響与える」とは至言です。

だよりの中に市民の顔が見えることが大事。それは紙面のトレンド、というのを越えて、「地方の時代」は「地方議会への住民理解と参画の時代」だからこそ、こんにち、議会だよりの重要性は増している、ということであり、責任は大きい。

「読んでくれる」を前提としないで、とは、わが丸亀市議会の「議会だより」へのクリニックで指摘いただいた言葉。「議案内容」羅列のページは読む人がいない、と手厳しく。「どれもこれも」では平板になる。「山あり谷ありに」と励まされると、俄然、やる気が起こります。

 議会と市民の距離を縮める。ただ議事の紹介だけでなく、わが町の市議会は活発だ、元気だ、と評されるアピールのツール。市民の暮らしの中にある議会。それをさらに目指さねばなりません。

 「“見出し”とは“見出す”」ことだ、とは、新たな発見でした。色使い、フォント、行間、余白、写真、そして見出し。それらの総合力を身につけて、地方政治がきちんと市民の胸にある、そんな姿を創り上げてまいりたい。


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