○自治体総合フェア2012講演レポート@

「住民自治と議会改革」   山梨学院大学法学部教授 江藤 俊昭氏

 2012.5.24 東京ビッグサイト

以下、私が受講したメモから抜粋します。文責は内田にあります。

 

○災害と議会

・災害時には、一般的に、議会は「ジャマ」となる。

・芦屋市議会は阪神大震災の時、議会の対策本部を立ち上げた。

 午前9時集合。市の本部や市長との連携ののち、地域に戻った。

 自分の選挙区に戻るのではなく、10分割された自分の担当エリアに。

3.11で陸前高田市議会。2年前に議会基本条例を制定済み。条例中で

 @議会報告会開催を義務づけしていた。

 A議決事件追加の規定を設けていた。

 これに基づき、8月に住民懇談会を開催。1011月に議会報告会を開催。復興計画に

 住民の声を反映させることに貢献。

 11月に議決事件に「復興計画」を追加。緊急時にも議会基本条例が生きた。

 

○地方自治の制度下、「議会はすごい権限を持っている」。

・水戸黄門主義を期待する市民の心。橋下、河村氏など「黄門型」の政治家が去った後

 は、どうなるのか。誰かに頼む、それが市民の望む姿か。特別な人に任せるという考

 えをやめよう。

・憲法上、議会とは議事機関。デリバレイティブ・オルグ。和訳すれば「討議する機関」。

・議会は本来、「とんでもない」権限を持っている。だからこそ説明責任がある。

・これからは本来の「利害の調整、統合」という機能、本来の政治の機能を発揮する議

 会でなければならない。行政は、決まったことを実行する機能を持つ。

・市民がそもそも「A案だ」「B案だ」と固まっているのではない。議会が公開で議論す

 るのを見て、市民は「Aかな」「Bかな」と考えていく。関心のないところ、自治はあ

 り得ない。

・ある議会は政務調査費を廃止。政務調査をしないということなのか?

 

○「追認機関」から「議事機関」へ

・議会に多様な意見がある。多様性があるとはアンテナの感度がいいこと。議論によっ

 て修正、妥協、第三の道も開ける。意見は変わるものだ。なぜ質問しかしないのか。

・理事者はヒマだから議会に来ているのではない。自治法121条に「出席を求められた

 ときは」とある。素直に読めば、出席してないのが普通。呼べば来る。

・議会基本条例制定ラッシュで「バクハツ」の状態。従来と違う議会運営がなされてこ

 そ。

 

○議会基本条例と総合計画

・多治見市モデル。実効性ある総合計画のために首長任期に合わせる。4年、8年、三

 鷹市は12年。個別計画と連動させる。

・総合計画に議会がどう関わるか。多治見市、草津市を参考に。議決なき総合計画は行

 政計画である。公開で議論することが実効性を高める。

・自治基本条例に組み込まれる方式がベターなのでは。

 

○行政改革と議会改革

・行政改革の論理は効率性重視。議会改革の論理は地域民主主義の実現。

・議会改革は議員のためではない。多摩市議会を参考。

・ボランティア議員を進めれば、富裕層、時間のある人、「バッジで儲けよう」という人

 たちの議会となる。

 

受講しての感想

 

このレポートをHP用に整理しなおしているのは受講から1年余りを経た2013年の8月です。3月にわが丸亀市議会でも議会基本条例を制定。5月に初の議会報告会も開催し、その直後のセミナー受講でありました。

丸亀市議会ではその秋にも報告会を開催。制定初年度に、議長選挙もあり、基本条例に基づく立候補制も実施されたし、図らずも、市民が議会に出席して説明するという、これまでにも想定していなかったことが保育所案件から現実のものとなりました。

そして年度があらたまり、議員選挙があり、新しいメンバーで議会がスタートしました。

まだまだ基本条例の効果は未知であり、もちろんこれで終わりなのではありません。議会改革のあるべき姿を飛行機で例えるなら高度を保った安定飛行でなく、どんどん上昇していく、そんなイメージを、現在私は持っています。

ここで振り返った江藤教授の講義は、今、これら私たちのたどったここまでの1年を後押ししてくれるものであったとの印象です。そして「さらにアクセルを踏み込め」と声援を送ってくれているように、私は感じました。大風が吹きすさぶ中で方向を見失うようなときに、教授のアドバイスが的確な羅針盤になってくれるように思います。「議会改革」の本質を常に確認しつつ、高いテンションで燃え続ける、そんな自分の心にさらに薪を加えられたような心地がしています。

丸亀市では今春、首長が交代するという劇的な事態がありました。

また同日の議員選挙でも27人中7人が新人という激しい新旧交代があり、私自身の立ち位置も大きく変わっています。

ここに「復習」した教授の言説をもう一度心に刻み、秋の議会報告会に向けて、鋭意改革のリーダーシップを取ってまいります。

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