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議会改革・伊賀市

 

1.これまでの改革の流れ

 

H16、合併。市民の声が行政に届きにくくなったとの声。

○新市まちづくりの主役は市民。まず自治基本条例制定への気運が熟した。

○自治基本条例が制定。その中に分野別の役割が明記され、議会もまた改革の

 必要に迫られた。

○当初「議会活動が忙しくなるから」などの理由で改革に消極論もあった。市

 民への説明会で議会に対する不満が出たこと、バックに自治基本条例があっ

 たことで、乗り切ることができた。

○議会基本条例制定にあたっての3つのポイント

 ・市民との関係はどうあるべきか

 ・行政との関係はどうあるべきか

 ・議決に対する責任

○制定にさいし、まず議長の強い決意があった。H18.4、所信表明で、

 ・政務調査費改革、・基本条例制定、・定数議論、を公約。議長となる。議長

  の任期内、H18年度中に結果を出さなくてはならない。

○議会のあり方検討委員会を設置。「市民とともに一から作る」をモットーに、

 56会場、83団体、約500人の市民と意見交換。

 683ヶ月間、毎晩のように市民と意見交換会を展開。厳しい市民からの

 声とともに、「この会は有意義だった」との声も。

○流れとして

 素案→タウンミーティング(市民の参画)→パブリックコメント(文言修正)

 議員全員懇談会(議員間議論)→議員発議→可決

○議員全員懇談会はH19.7から7回実施。反対議員あり。

 11.5時間をかけ、1条ずつ解釈しながら議論した。

2/28上程。議員34人、除く議長、33人、賛成22、反対11で可決。

○素案提示から可決までの間に変更された点

 ・議会モニター制度は反対が強く、実現しなかった。

 ・あとは文言の修正程度

 

2.7つの特徴

@議会報告会を義務づけ(7)。毎議会ごと、38会場となる。

A一問一答方式導入と反問権付与(8)

B重要政策に対する7項目の明確化(9)

C政策討論会の開催(12)

D出前講座の開催(13)

E表決態度の公表(18)

F議員定数・報酬の改正(20.21)

なかでも議会報告会が最大の眼目。大きな活動となる。市民にとっても議員にとっても良いことだ。

議員が勉強熱心になった。質問しっぱなしのあり方を改善。質問したことについて市民から質問されることになり、レベルアップにつながった。

反問権の付与により、質問に際してもよく勉強し、対案を持って質問するようになった。

 

3.議会報告会の開催要領

○小学校区単位、班編成をして行う。

 班編成は 4人×2

      5人×4

○報告だけでなく意見交換など7項目を実践。

 H19年度は38回開催、778人が参加。

 H20年度は37回開催、729人が参加。

 H21年度は36回開催、741人が参加。

 H22年度は37回開催、841人が参加。

 

4.政策討論会の開催要領

○これまで駅前再開発について、医療問題について、などを議題。

○議題の提案者からの説明ののち、議員で自由討議を行う。

 

5.出前講座(委員会活動)

○市民からの要請を受けてまちに出かける。

 総務、教育民生、産業建設の常任委員会、議会運営委員会、広報委員会

 

6.市民等との議員研修を開催

○年1回、他の市議会との研修もある。

○議員と事務局職員が出席する。

 

7.感想

 

 説明をいただいた、最後の部分をここに記したいと思います。「条例制定で何が変わったのか」。

 まず市民からは、「まぢかに議員が来て意見交換をする。議員の顔がよく見えるようになった」「こうすることで議員が責任を持った発言をするようになる」。

また、これまで、市民からは役所と議会との区別もよくわからなかったが、「その違いがはっきりした」。

 次に議員自身からは、「(選挙母体の地区以外の)他の地域の課題がわかるようになり、政策提言に役立つ」。

 今後の課題として、議員間議論のさらなる徹底、報告会から政策形成サイクルへの発展。マンネリ化にならぬように配慮。そのために議長が、自治会を回っているとのこと。

 さらに議長の意見として、これから「会派」を政策集団として活用し、会派による事業仕分けも考えていきたい、議会事務局の独立化も視野に入れたい、など、まことに意欲的な展望が聞けました。

 説明をいただく中でくれぐれも、「いつの間に作った?」「誰が勝手に作った?」と言われないように、とアドバイスをいただきました。

 マンネリ化、という言葉はありましたが、前述のとおり、年間30回を超える回数をこなしている議会報告会の来場者数に陰りはなし。その下ではたいへんなご苦労もあるのでしょうが、とても意欲的な姿勢だと思いました。

 どことも「満場一致で成立」かと思いきや、今回の先進地視察の端緒となったここ伊賀市議会では賛成22対反対11だったことを知り、私たちは一様に驚きました。反対を押し切って、というのでなく、7回にわたる全員懇談会の中で議論を煮詰めつつ、おそらくは合意形成に腐心もされながら、最終的に、このような表決結果となったのでしょう。けれども市民からの声に背中を押されるように、議会報告会に出ない議員は現在、一人もいらっしゃらないとのことでした。

 わが丸亀市議会の改革の道程はこれからどのような軌跡を描くのでしょうか。ケンカ腰ではない、この基本条例制定のプロセスでも多くのことを学び体得しながら、制定の時点ですでに、大きく議会が変貌しているのではないか。伊賀市の姿を拝見して、そのような予感もしたところです。

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