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議会改革・四日市市

 

1.四日市市の議会改革の特色

 

@「議員政策研究会」

平成12年度、「市政活性化推進等議員懇談会」が発足。執行部を交えず、議員だけで自主的に意見交換、情報交換を行う場。

平成17年度、これを「議員政策研究会」に改編。さまざまな課題に対して共通認識の醸成を図り、政策立案機能の向上に資する。

これに分科会を設置。2122年度は、

・議会基本条例分科会(希望者全員)

・市民協働促進条例分科会(定員18人)

23年度からは次のとおり分科会を改組

・議会改革分科会(定員29人)

・総合交通政策分科会(定員25人)

これらを通して議会基本条例につき、他市の研究、有識者講演(江藤俊哉氏)、検討項目出し、議論、原案まとめ、を行った。

A正副議長選挙における立候補制

立候補制導入は平成12年。翌年には内規を制定、22年からは選挙時の所信表明に対する質疑を行うことを可とした。「市議会役員選考委員会設置要綱」。ネットでも配信。

B市議会モニターの設置

自治基本条例に連動、議会への市民参加の一環として平成16年に設置。

定員50人、現在42人。市民センター館長に推薦依頼する方式。

会議を傍聴してもらい、意見を出してもらう。アンケートにも答えてもらう。議会だよりや議会ホームページにも意見を掲載する。

モニターからの提言に対しても対応する。結果を公表する。

無報酬。交通費や記念品は可能。現在は年度末に記念品。任期1年、再任可能。再任1年限りの運用。「市議会モニター設置要綱」

Cシティ・ミーティング

地域に出かけて議会活動を説明・報告。市民の要望を把握する場でもある。

平成18年、11/311253日、テーマを@共通の「防災対策」と、A3会場別のテーマを決めて開催。

平成20年、大学で開催。

平成21年、高等学校生徒、商工会議所会員、青年会議所会員を対象に開催。

平成22年、3会場で18年と同様に@共通テーマA個別テーマを設けて開催。

D「通年議会」

平成23年度からスタート。定例会を年1回とし、会期を通年とする。休会中も議長の権限で会議を再開できる。緊急案件にも素早く対応、常任委員会は常設となる。

5月に開会議会。ほかに定例月議会を69112月に開く。

E「文書質問」

議会期間中を除き、文書により執行部に質問を行える。

内容は一般質問に準じる。議長経由し、執行部に送付。執行部から回答。質問書と答弁書は議会事務局で保存、全議員に配布、HPで公開。

 

2.感想

 

視察に赴き、「よっかいち市議会だより」昨年12月定例会号、今年の3月定例会号、そして5月開会議会号の3種類を恵与いただきました。それぞれ今年2/55/56/5の発行。最後のものが、聴きなれないと思います。

前述のとおり、四日市市議会ではいわゆる「通年議会」制度を採用。5月に、通常で言う「臨時会」にあたる「開会議会」を開くと、年度末までずっと議会は「開会」状態。市長が「議会を招集するいとまがありませんでした」とは言えない状態が年間ずっと続きます。市長による「専決処分」が一部自治体で横行し、全国的に話題となりました。年間4回の定例会の制度の下では、閉会中の例えば8月、何か突発的なことが起きたとしても、今の規定では常任委員会を開くことができないのです。現状ではこれを、委員会協議会、委員会勉強会と名づけて、しのいでいる格好です。これを真っ向から改善するために、四日市市は「通年議会」という選択をしました。よくぞ決断されたものです。

私が視察訪問で学んだ印象からは、まだ慣れないこともあり、現に丸亀市で専決の横暴、というような事態があると感じていないので、「うちも続こう」という気持ちには傾きませんでした。「少し様子を見させていただこう」、個人的には、このような印象でした。

四日市市の議会改革の意識は深く、歴史も古いものがあります。平成12年度には、後に議会改革の中核となる議員政策研究会の母体となった「市政活性化推進等議員懇談会」がすでに発足。「執行部を交えず、議員同士で議論を」という風土が、すでにそこにあったことがわかります。同時にその年から、正副議長選挙における立候補制が整っていたというのは、私どもが今、改革を議論しているのと10年の開きがあり、先見性に敬意を表したいと思います。今、ここで「通年議会」を先取されたのも、そうした気概に支えられてのことかも知れません。

四日市市を視察して、特記事項とすべきは市議会モニター制度、文書による執行部への質問制度、それから通常いわゆる「議会報告会」を「シティ・ミーティング」と称し、大学生、高校生、商工会議所・青年会議所などターゲットを絞った開催を試みるなど、まことに意欲的なことです。また、私どもの特別委員会でも懸案となっている、「広報公聴」に関するセクションをどのように位置付けるかの問題についても同市議会の例が参考になるように思います。さらに、議会事務局組織について、「広報公聴係」を設けたことも注目に値すると思っています。予算・決算についてそのための常任委員会を設けることとしていることも、今後念頭に置いておきたいと思います。

これを書いているのは10月です。7月の暑さの盛りに訪問した5つの市議会について、資料を再読しながら、書いている、というより勉強しています。いよいよ臨場感ある場面に来た丸亀市議会改革に、極めて重要な、参考になる視察でありました。

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