視察日時 令和5年11月15日 午後1時30~3時
視察場所 キッザニア東京 館内と事務所
1.視察意図
日本の教育システムは、世界からも注視される優れたしくみとされてきましたが、ここに至り、いじめ、不登校、ひきこもりといった生徒の側の諸課題だけでなく、教員のなり手不足、部活の教員圧迫など、運営側にもさまざまな課題が顕在化しています。子どもたちが受けるべき真の教育とはどうあるべきかが問い直されなければならないところです。
しかし失礼ながら、学校現場は昨日の延長、去年の延長に終始し、地域の応援に期待する、部活への手当てを若干上げるなどの糊塗策から脱していないように見えます。現場で改革しようにも法の縛りがあり、国には現場を知った上での具体的な処方箋がありません。私は、子どもたちがこれから生きていく人生の現場そのものに触れ、学校には行けなかった、行かなかったが自分を信じて生きていく力は自らつけたと自己肯定できるような育て方こそいま必要とされているように思います。
その一つの選択肢として、東京、甲子園、福岡で展開されている職場体験のテーマパーク「キッザニア」を訪問し、そのコンセプトを学び、丸亀市の子どもたちにこれから何か参考にさせてもらえるものはないか、探りに伺おうとおもいました。シリーズ化して新書を刊行している。その第3弾、準備号から通算4冊目になる本が市職員の人材育成基本方針を取り上げた内容になっていると知った。どうしてそういうことをしたのか、何がねらいなのか。そこには、一般通例的な自治体の「人材育成方針」と異なる何があるのか。そこを学びたく、視察をお願いしました。
2.視察の概要
まず写真を掲示しますが、これらは私が一般質問するにあたり、公表してよいものをキッザニアご当局からご恵与いただいたものです。
パビリオンと呼ばれる館内のそれぞれのスペースにカメラを向けて私もその光景をたくさん撮影させていただき、輝く子どもたちの表情を捉えましたが、この報告書が公表されるものであることから、ここにはご恵与の画像のみ載せます。
〇キッザニアは、「こども達が憧れの仕事にチャレンジし、楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる”こどもが主役の街”。「エデュケーション」と「エンターテイメント」を兼ね合わせた「エデュテイメント」の概念のもと、「生きる力」を育むことをコンセプトにしている。国内3か所、世界にも展開。資料には具体的な国名地名がありますが関係者外秘扱い。来場者数も同様。
〇館内に入るにあたり、私もネクタイ、上着を取るように促されました。”仕事”に集中する子どもたちに背広姿の者が闖入することで邪魔をしないようにとの配慮から。
〇働く体験をするだけでなく、その報酬として「キッゾ」という単価のお給料をもらえる。これで館内に準備されたサービスを受けたり買い物を楽しんだりできる。
〇大型商業施設「ららぽーと」の3階にあり、館内は薄暗い夕方という設定。エントランスは空港のチェックインを模していて、ここからすでに体験の場になっている。食品開発、デパート、警察署、劇場、病院、出版社などが点在し、さながら町の中で働いている感じを演出している。日本のどこの街でも見かけるあの看板、ロゴマーク。そしてスタッフのいでたちに着替えて本格的な仕事体験にいそしむ。
〇説明の中になかったが、資料によると英会話対応や「こども議会」などの企画もある。
〇常設の施設展開だけでなく”地域活性化型”プログラムも用意。小学1年~中学3年生を対象に、地域の仕事20~30プログラム、2日間で設計。効果として、地域企業の認知度向上、観光客誘致で地域活性化、地元愛の醸成・定住促進、参加事業者のモチベーション向上、未来のステークホルダーとのリレーション構築、とある。開催実績、全国で11会場が紹介されている。会場ごとの詳細な実施例、実施後のアンケート結果あり。その抜粋集より。
・地元の身近な企業の仕事体験はすごく良かった。
・「こどもを個として、働く仲間として尊重する」という基本スタンス自体が、これまで体験してきた仕事体験イベントとは全く違っていました」
〇これとは別に1企業・1団体”探求型”プログラムもある。特定の1社に勤めての「一日体験」。
〇ほかに大型イベントとのコラボレーションやモータースポーツとのコラボなどの展開例も紹介されている。
3.感想
「キッザニアに行ってきました」と知人に語ると、意外にもこの丸亀で「私も行ってきました」「ぼくも家族と」と、その人気ぶり、知名度に私が気付かされる一幕もありました。オープン当初、ずいぶん話題になったことを記憶していますが、それ以降、思い出すことがありませんでした。
「半日学級制度」という考え方は、昭和の初期に著された書物にすでに出ています。小学校で教鞭を執った教育者、牧口常三郎がその著「創価教育学体系」の中で語っているものです。公明党の私がことさらに支援団体、創価学会の初代会長の言だからことさらにアピールしているわけではありません。冒頭「視察意図」で述べたとおり、日本の教育システムが大きく軋みの音を立てているこんにち、学校現場はあまりに身近すぎて大きな変革を唱えるのにはなじまない。さりとて国もまた学校現場の声を単なる「数値」のようにしか捉えてない恨みがあります。この日の午後、キッザニアに伺う前、午前中に国会に赴き、党衆院議員の山崎正恭氏と面談。この方も中学教師であり、現場のことを知悉しています。いつもこの「午前は学校で学び、午後は好きな、得意な技能を伸ばす時間にする」ことを提唱している一人。ぜひとも国と地方の両方向から、日本の教育の姿を変えたい、その思いで一致しています。
キッザニアで説明いただくテーブルについてすぐ、先方の方から「丸亀市では
すでに四国家さんが取り組んでおられますね」と切り出されました。HPで調べてくださったのでしょう。ですからこれとまったく別のことを立ち上げることは適切ではありません。むしろ、今年2回目を迎えたこの行事「Kids王国in丸亀」にキッザニアのノウハウを取り込めないか、それをこれから私なりに模索したいと、視察を終えて考えているところです。
機会を捉えて、この視察経験を四国家幹事会社の方々にお伝えし、今後の取り組みについて情報交換してまいりたいと思います。