○水戸ホーリーホック・ホームタウン推進事業 茨城県水戸市
1 視察意図
昨シーズン、カマタマーレ讃岐が待望のJ2昇格を成し遂げました。
水戸市には「J2水戸ホーリーホック」が活動しており、市としてこれから「新入生」として加わるJ2の世界でどのように支援を推進していくべきなのか、このタイミングでぜひ学びたいと思いました。
2 ホームタウン推進事業の概要
①水戸ホーリーホック・ホームタウン推進協議会
9市町村で構成。水戸市は120万円負担。「さぬきカマタマ」と異なり名称が「水戸」なので近隣市町村からの協力は積極的にもらえない。公費としての負担はこの120万円のみ。競技場の費用分担などで支援している。
②ホームゲーム集客支援事業
○ 春夏秋冬、あちこちでイベントが開かれている。
サッカー場はクルマで駅から30分と遠い。まちなかでやっているイベント
と同じことをやっていたのでは客は集まらない。
水戸市民観戦無料デーを開催し、イベントも企画したが、それでも6500人
程度しか集まらない。サッカーならではの考案する必要がある。
ヨーロッパにはサッカーならではのグルメがあると聞いた。そこで「茨城を
食べよう」と題し「サッカーめしフェス」を企画。
サッカー観戦をしながら食べるには「両手を使って食べる」ものは不可。さ
ぬきうどんは? これからカマタマでも全国あちこちで「ご当地サッカーめし」
が広がることを期待している。
○ 観戦ツアーをさまざまに企画
水戸市には高校が多い。この点に着目。高校生に呼びかけた。
市町村の日には応援バスツアーを組み、東海村へ個人負担1600円で企画。
別途チケット代が必要で、割高感から不評。東海村は地元構成市町村のひとつ。
村民は1000円負担とし、あとは公費助成とした。今年は各市町がやることに
なっている。
○ ふるさと物産大集合
9市町村が参加し実施
○ いばらきホーリーホック1万人まつり
収容キャパ12000席のうち1万の固定席を確保し展開。
○ いばらき!サッカーめしフェスティバル
茨城の農産・水産物を食材に使ったサッカー観戦にふさわしい料理を提供。
30店舗から応募あり。
○ 駅北口からシャトルバス。片道480円のところフリー切符なら900円で。
Pは1200台。「ビールを飲もう」キャンペーンでクルマを減らす。
③その他の集客支援事業
○ アウェイサポーターおもてなしブース
食べ物飲み物のブースはアウェイ応援席から遠い。ビールをこぼさないよ
うに、ゆっくりスタジアムを半周歩かなければならない。そこで観光協会やボ
ランティアスタッフの協力を得てアウェイ応援席に近いところでおもてなし
ブース。毎回趣向を変える。
○ ウェルカムボード
駅改札を出たところにある観光案内所に「○○の皆様 ようさんしゃった
ね」と歓迎ボードを掲示。地元の人へのアピール効果も。
○ 先進地視察
松本山雅FCを視察。ガンバ大阪に次ぐ1万人の集客力。松本市は公費で
クラブハウスを建設。市民支持も強いが、一方で監査請求など反対市民もいる、
とのこと。
○ 岡山からきびだんご
アウェイの人々にお馴染みの商品も取り寄せて売る。驚き喜んでくれる。そ
の傍らに「水戸マップ」を置く。
○ プロモーションビデオ制作
ゲームの映像権は「スカパー」が保有。その協力を得てゲームの動画を使う
ことができた。コマーシャル映像30秒を冒頭に置くことが条件。また画像の
隅に「映像協力 スカパー!」のテロップを入れることも条件。
静止画だけではスライドショーであり、インパクトに欠ける。短く3分も
のとし、銀行の待合コーナーのテレビでも流してもらえるようにした。
Uチューブにもアップ。初日3000アクセスがあった。郡を抜く注目度。
幸い、画像素材として昨秋11/17のホーム最終戦、京都に競り勝ち、8000
人の来場で盛り上がったものがあり、これを使用。
BGMは著作権フリーのものを使う予定だったがそれではインパクトがな
い。それならば私が担当する、と、申し出てくれたミュージシャンがいた。
スポンサーであるケーズデンキ6店舗のテレビ売り場でもたくさんの画面
でこのビデオを流してくれるよう、交渉して決定。(視察日の)今日、決定した
ばかりで、あさってから始まる。
市内の飲食店にもディスクにして配布し、放映をお願いする。
今後は映像を学ぶ人たちに呼びかけ、CM作りのコンペもやりたい。プロに
制作費用を投入するお金があるなら、こうしたコンペの賞金に使いたい。
④地域交流事業
○ 「市町村の日」を儲け、在住・在学者無料招待。ホームタウンデーとし、6133
人が来場。観光イベントなど実施した。
本来「ホームタウン」は水戸市だけだが、今回5/6の城里町を皮切りに9市
町村に拡大。上記数字は合計人数。
○ 各種イベントに選手やゆるキャラ「ホーリーくん」が参加。幼稚園、保育園
へ巡回指導。小学校でミニサッカー教室、市内33すべての小学校へ、あいさ
つ巡回運動。2/3からシーズンオフ中にすべて完了する計画。ファンとの距離
を縮める。
○ 高校生向けトークライブ「若手Jリーガーの夢」。クラブの社長やゼネラル
マネージャーが出向いての講演はこれまでもやっていたが、高校を出てほど
ない若手リーガーを高校に派遣。「身近なお兄ちゃん」のような存在がサッカ
ーの魅力を語り、「プロに進む決断」「夢を追いかける姿」を見てもらう。女子
からはキャーキャーと人気。選手も真摯な高校生の聴講姿に学ぶところがあ
る。ただしまだ若いので講演は面白くない。そこでトークショー形式で。苦労
人選手の話は魅力がある。
これによりゲームへの参加も募ったがこれ自体は奏功しなかった。けれど
も成長プログラムとしてこれからも取り組む。
○ 懸垂幕等。市民会館、駅北口、南口、通路に。次の試合の日程、相手、「現
在○位」と告知。そのつど日替わりで、マジックテープで掲示。職員が担当。
盗まれるとかいたずらは発生していない。
○ その他 ポスター、のぼり旗、看板等。
○ ケーズデンキ・キッズパスポート。
3 感想
視察当日は駅でお迎えいただき、駅の北口、南口、観光案内所におけるPRの状況を説明いただいたのち、30分をかけてスタジアムへ。フィールドや観戦席など施設内を案内いただいたあと、研修を開始。上記のビデオも見せていただきました。
「このまちには、Jリーグがある」
「テレビ観戦ではわからなかった、思いっきり叫べる場所がある」
「勝つのは俺たちだ」
など、動画にはさまれたフレーズは映画の予告編風で、気持ちが高まります。プロの業者に頼むなら普通の仕上がりでしょうが、そこには市民の支え、職員の努力と発案がにじんでいました。
“おみやげ”にディスクで頂戴しましたので、近日、どこかで“公開”させていただきたいものです。
実は水戸市は高松市と姉妹都市提携をしています。わがカマタマがJ2昇格を決めてすぐ、姉妹都市高松市から問い合わせがあったとのこと。水戸でさぬきうどんが食べられる日も近いようです。丸亀市はまさに開催地。次の戦略は待ったなしだと思います。
6月には丸亀の競技場に水戸ホーリーホックを迎えます。職員は「行きます。丸亀で“納豆ごはん”を出したい。品物を置いて売るだけでなく、さぬきの米の上に水戸納豆を乗せ、実演しながらアピールしたい」と意欲も盛ん。
選手やチーム以上に、この方も盛り上がっているのだ。そのことを痛感しました。「勝つか負けるかは私たちにどうにもできない。けれども応援を盛り上げるのは私たち」ときっぱり。
Jの宿命として、優秀な選手は「勝てる」チームに流れていく傾向。しかしわがホーリーホックは優秀で有名なチーム監督の存在が大きく、「勝てる」チームよりも「あの監督のもとで」と、留まってくれるメンバーが多いのはありがたい。
なるほどところ変わればさまざまな課題があります。
J2におけるランクや財政規模などあまり下調べしないで水戸市を視察地に決めましたが、結果は極めてよかったと思っています。得るところは大でした。確かに、私たちは勝負に参加はできません。けれどもいっしょに夢を描き、家族や友達と絆を強め、思い出を作り、未来のリーガーを生み、また地域や丸亀が活発になり、潤う。そうした限りない展望が、いまここに開けているのだ、それを勝ち取りにいこう、そんな気持ちを持ちました。
議員としての提言をまとめ、行動し、私もその“一員”として全力を尽くしてまいりたい。