○放課後児童クラブの運営 北海道登別市
1.視察意図
丸亀市でも放課後児童クラブが開設されているが、国の標準どおり、1〜3年生を対象としており、例外として、きょうだいのいる4年生も利用可能とされています。
登別市ではすでに4年生までを標準とし、さらに国の「子ども子育て新システム」で平成27年には整備される6年生までの見守り体制に先がけ、その整備を模索しているとのことです。
市民ニーズを先取りする登別市を訪問しました、。
2.放課後児童クラブの運営状況
○現在、全8校区中6校区で運営。1校区が24.10.1に開設予定。残り1校区の事情は後
述。
○小学校に隣接し、その運動場も使えるクラブ、児童館内にあり、ホールも使えるクラブ、
小学校内の空き教室利用のクラブ、老人憩いの家に「間借り」しているクラブなど形態
はさまざま。
○地域によっては「放課後子ども教室」を週2日程度開いている地域もあり、そこでは児
童クラブへのニーズは少ない。
○一方でそういうシステムがないところでニーズは極めて高く、スペース不足が生じてい
る。
○現在未設置の校区には、NPOが「地域食堂」として老人の集い遊べる場所があり、こ
こで子どももおやつ代だけの負担で自由にいられる。そのこともあってニーズが少ない
ままとなっている。基本的には、こういう場所が各所にあるのが望ましい。この校区で
の利用希望者は7人にとどまり、10人に満たないと国の補助が受けられない。委託も視
野に検討中。
○4年生も受け入れているが、低学年に比べれば児童数は少ない。これは、クラブが低学
年優先というルールが親に理解されているから。現在のところ、5、6年生も受け入れて
ほしいとの声は市民から寄せられていない。
○親の就労証明は厳密に徴収してはいない。善意を信じて運営している。
○保護者負担金は月額6000円(ひとり親世帯など減額制度あり)。負担は個人3割、市が
3割強、国が3割。
○今後国の新システム導入に際し、同趣旨で運営している団体、施設との整合性、不公平
感などの解消が課題。
○その他の課題として、障害児の受け入れの急増、職員加配の問題。夏休みなど通年でな
3.感想
登別市は人口5万人余、面積は丸亀市の2倍程度。市のキャッチフレーズは国際観光リクリエーション都市。もちろん温泉地として知らない人もいませんが、市役所は観光地とは遠い、列車を乗り継いだ静かな住宅地にありました。温泉保養地、大観光地のイメージとは全くちがう、生活現場の中にある印象でした。
働きに出る親をサポートするという行政の重要な課題。国では文科・厚労両省の調整に政治決着もつかず、やきもきしながら地方では幼保の一体化などそれぞれに取り組んでいるところ。登別市でも「4年生まで受け入れます」の方向性が、早くから採用されていました。
視察から帰り、この報告を書いているまでの間に、私にも市民から「来春、子どもが4年になり、両親ともに高松勤務で放課後の居場所がない」との心配の声が寄せられました。市教委では27年に向けての国の動きに呼応し、各施設でのキャパがあるのかやニーズ調査などが今始まろうとしているところ。とうてい、このお母さんの来春の心配には間に合いそうにありません。たまたま、近くのNPO法人が救いの手を差し伸べてくれました。まさしく本文の中に記したとおり、こういう民間パワーがフレクシブルに対応してくれる「民間力」こそが、これからの地域の中で威力を発揮するし、巨大艦船のような行政が全市一律で行動しなくてもすむようなシステムこそ、市民が待ちわびているものではないでしょうか。
話がそれましたが、これからは市民のためにフレックスに発想を転換し、そして施策を構築することが「市役所の真骨頂」とならねばなりません。