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〇集会所のバリアフリー化補助金            大阪府大阪狭山市

 

1.視察意図

大阪狭山市でさかんに取り組まれている市民活動支援の動き。これを視察するため同僚議員と同市を視察。そのおり、同僚議員からの視察希望項目としてこの件を併せて視察させていただきました。

丸亀市では現在、補助金の上限と共に下限が定められており、手すり設置など軽微な負担で実現するバリアフリー化に対して市からの補助金が使えません。

大阪狭山市での取り組みを学ばせていただきました。

 

2.制度の概要

「地域社会における活動を支援する諸制度」の中に位置づけ。

地域力活性化支援事業、自主防災組織防災資機材整備事業、防犯灯助成、資源ごみ回収奨励金、地区長報償費、防犯カメラ設置事業などとともに「地区集会所建設補助金」がある。

現状として、64自治会中59自治会が集会所を保有。複数保有の自治会もあるので集会所の数は6850戸以上の住宅開発がある場合には、その事業者の負担によって集会所を作らせ、市に寄付してもらう仕組み。その根拠は「開発指導要綱」。

「市地区集会所建設補助金交付要綱」での補助対象メニューとして、集会所の新築、増改築、改造、空調設備整備、備品購入とともに「バリアフリー事業」が組み込まれている。事業費下限は10万円。補助額は事業費の2分の1、上限50万円。

この制度の課題として、@高齢化で建物の維持ができない、A自治会員が減少、Bエアコン、防水など老朽化で自治会の貯金を使い果たし、改修の資金力が尽きている、などが挙げられていた。

 

3.感想

わずかな補助金の額ではありますが、地域の自立が叫ばれる昨今、身近な集会所の活用は本来、活発に行われるべきであり、その住環境の整備は重要かつ市の施策として極めて妥当なものであると思います。新築、増改築などはどこの自治体でも標準装備と思われますが、空調、備品購入、バリアフリー化にも補助しているところがこまやかな配慮であり、配慮がゆきとどいていると思います。

高齢化や施設の老朽化はこの市に限ったことではなく、支え合うご町内づくりの核施設として、これからは充実強化の方向に向かわなければならないのではないかと思いますが、住民からのニーズがそれほど多くないのは、逆に「これでいいのか」と心配されます。

いわゆる補助金の「下限」というものは、そもそもどうして設定されているのでしょうか。デフレの昨今、努力をすれば10万円未満でも、地域に大工さんがいれば材料費だけの5万円でできるとしても、市からもらうためには10万円にしないといけないから、という考えにはならないのでしょうか。丸亀市でもぜひ実現してほしいし、そして下限を1万円程度とするなど、使い勝手の良いものにしてはどうかと思います。ただ同市の場合、自治会の数が市全部で64と少なく、このことから丸亀市との単純な比較はできないことも事実と思います。

大阪狭山市を訪問し、50戸以上の住宅開発をする場合にはその事業者に集会所を建ててもらい、それを寄付してもらうという斬新な施策を学び、驚きました。同市近辺ではこれも「標準装備」なのか、関心のあるところです。

先日、東日本大震災で大きな被害を蒙った岩手県大槌町の仮設住宅で暮らす人びとが集い、「私たちにできること」と題してグループ討論をしているのがNHKのドキュメンタリーで放送されていました。阪神大震災でNPOを立ち上げた方が進行役。

話が進むうち、高校生は「支援が高齢者に偏っている。私たちの意見も聞いてほしい」と語れば、オトナは「じゃあ高齢者も若者も集える場所が要るよね」と答えていました。

それは自然に、この結論になると思います。進行役はきっぱりと、「命を守るのはコミュニティです」と訴えていました。

そこに手すりがないのでは…と、私は憂慮します。震災から学ぶことは多い。学ばなければ犠牲に対して申し訳ない、とも思います。

地域の自立を支援する、それこそ大切な市役所の役目であり、それがこまやかであればあるほど、今日的な市役所の満足度を達成していることになると、私は思います。

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