○札幌市民活動サポートセンター 北海道札幌市
1.視察意図
「市民が主役のまちづくり」、と題目を唱えていてもまちに市民の活動が自然発生するわけではありません。政治家が市民を抑圧しているような国で、ツイッターによる政権打倒などのニュースも伝えられますが、私の身近でそんな話も聞きません。「税金を払っているのになんで市民が汗を流さなければならないの?」という声は聞こえてきます。市民からの要望に対して市役所では「予算がありません」という返事が準備されています。
これからのまちづくりのあり方、市民のQOL(生活の質)向上。いずれの面からも、「カネが足りないから自治会を市役所の小手先に使う」「市民にタダ働きしてもらう」というイメージを払拭し、「貢献しよう」「仲間と楽しく」と、市民が立ち上がり、家を出て、活動する、集まる、そんな拠点がまず必要なのだと、これまで何回、本会議で私は主張してきたことでしょうか。市役所が今、取り組むべきは橋や道路の補強と共に、市民の集う場所作り、活動のしくみ作りだと信じています。
全国的レベルからは「何周も遅れ」「差がますます開いている」という感が深まる丸亀の市民活動支援の取り組み。最近では「活動サポートセンターを作ればいい」というこれまでの短絡的な観念を取り下げ、市役所職員の意識と意欲を高めるのが先、との考えから、センター建設への本会議での発言も数少なくなってしまいましたが、もちろん諦めたわけでも、勉強に飽きたわけでもありません。
札幌駅前に「これでもか」とそびえる市民活動の殿堂。玄関を入る前に「参りました!」という思いですが、ご親切に担当者の説明と館内の案内をいただき、「ようできとるなあ」でなく、「丸亀はどこまで遅れるのか」と口を閉ざさざるを得ない、そんな心境でありましたが、ともかく、私は訴え続けなければなりません。
「市民の意識が高まらないからセンターを作れない」というのは「体調が悪くて病院に行けない」というのと同じ。
今回、久しぶりに市民活動センターを訪問。施設も仕組みも本格的な、札幌市の取り組みをご覧下さい。
2.センターの概要
@沿革 平成11年、市民活動の総合的な促進を図る目的で、暫定施設として「市民活動プ
ラザ」を開設。15年、プラザを発展的に解消し、市民活動サポートセンターを開設。
A施設の概要 札幌駅地下通路で直結する「札幌エルプラザ」という公共施設の入るビル
の2階に開設。会議コーナー、パソコンコーナー、打ち合わせコーナー、事務ブース、
掲示コーナー、レターケース・ロッカーコーナー、印刷作業室がワンフロアにある。
なおこのビルには市民活動サポートセンターのほか男女共同参画センター、消費者セン
ター、環境プラザの計4施設が入居しており、これらを統合して財団法人札幌市青少年
女性活動協会が指定管理者となって運営している。複合施設の利点を活かし、業務の共
通化・一元化で有効活用と利便性を実現。ビル内にホール、大小各種の研修室、和室、
洋和裁室、工芸室、料理実習室、健康スタジオ、OA研修室、音楽スタジオ、消費者サ
ロンなどが整備され、活用できる。
B運営体制 職員9人。開館は8:45〜22:00(日・祝は20:00まで)
C活動団体数 2058団体、うち300団体がNPO登録
D業務
・情報提供、活動相談、研修機会の提供、ホームページ、情報誌、メルマガの発行
・団体交流支援、企業とのマッチング事業
・団体活動支援 スペースの提供、印刷作業室、PC、ロッカーなど
事務ブースは19エリア。4uで1万円/月、ロッカー大700円、小400円/月。
人材育成事業、NPOインターンシップ
・事業の実例 市民活動きっかけ作り事業、「資金調達術」講座、ポイント支援講座、市
民活動サロンなど
3.感想
視察時に撮影させていただいた施設内の写真をあらためて見ると、これまでいくつも全国各地で拝見した同様の施設と基本的には同じであることに気づきます。
当り前のことなのですが、あの複合ビルの全館を案内していただいたこともあり、圧倒的な先進ぶりという印象を持っていたのですが、基本はとてもオーソドックスでした。
ただ、財団法人がこのビル内の4施設だけでなく、札幌市内に点在する教育・文化施設を網羅して施設管理を担っていることから、運営はシャープであり合理的であるということであろうと思います。これは大都会ならではのメリットと言え、そのまま倣うことはできない点です。
丸亀市では、すでに老朽化した市民会館の今後の再編計画、市役所建物の改築、警察跡地、旧消防庁舎の扱い、さらに生涯学習センターもまた改築の対象に入る古さです。こうした官公庁界隈の再編について、合理的管理と運用という観点から私も提言をしています。いわゆる「公共施設のマネジメント」という観点からです。
市内の各地にある古い施設、農協の建物などを個々に物色し、これを市民活動センターに、と提言もしてまいりましたが、いまだに実現していないのが現状。ならばこれを逆手に取り、また市民からの基金募集で建設した塩尻市の例も参考に、斬新なプランを私は提言したいと思います。一方で、市民会館を文化の殿堂とし、単なるホール施設でなく文化発信アドバイザーを常駐させるハード・ソフト両面での文化の拠点とさせた例もあります。私は、そうした文化発信インフラの一角に、何としても市民活動の拠点を構築していかなければならないと、強く提言してまいります。
札幌市民活動サポートセンターからは今でもメルマガだけでなく郵便で情報誌も私にいただいており、まことに恐縮しつつ、時おりお礼のメールを出させていただいています。こうして市民活動のネットワークをさらに広げ、刺激をいただきつつ、丸亀市における文化の再構築、市民活動の拠点整備を一体的に構想する気運を、さらに盛り上げてまいりたい。「周回遅れ」を挽回し、市民がまちづくりの真の主役であるような、アップデートなまちの創出を、何としても実現しなければなりません。