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○小学校校庭芝生化事業                 長崎県島原市

 

1.視察意図

 私は現在、丸亀市内で活躍するNPO法人、総合型スポーツクラブに所属。この団体が進めているのが学校の芝生化です。「全国芝生サミット」もかつて丸亀で開催しました。それらの体験を通じ、招聘したニュージーランドからの先生のお話を聴くにつけ、学校での部活動での技能の上達に芝生が有意義か、また学校の環境として、さらに子どもと学校と家庭、地域とがひとつになれる運動として、貴重な場面を提供してくれることも学んでいました。

 丸亀市内では郡家小学校の校庭拡張に際し、新たに隣接農地を確保したことから芝生化が実現。幼稚園などの改築に際しても少しずつ、成果が出ています。しかし小学校、さらに中学ともなれば利用頻度が高く、芝生の生育が望めないとの事情もあり、市内での展開はここに足踏みしている状態です。

 そこで島原市立第四小学校を訪問。ここでの成功事例を学ばせていただきました。

 

 

2.取り組みの詳細

 生徒の健全育成と地域密着の小学校を目指すモデル校に第四小学校が指定。鳥取方式を取り入れ、芝生化へ予算も議決。消耗品費、水道代、芝刈り機1台購入で計76万円。

 第四小学校運動場芝生化実行委員会を設立。会長は青少年健全育成協議会会長。副会長にはスポーツ推進委員、同校育友会会長。顧問に町内会会長、老人クラブ会長。委員に消防団、民生児童委員、スポ少指導者、好調、市教委教育次長、公民館主事。事務局は教育委員会とした。

 他校を視察。散水実験などを経て4月、120名の参加でポット苗つくり。

 その後も視察を重ね、5月、移植の実験、PTAへの説明。

 6月、150名で運動場へポット苗を移植。施肥。これより当番制で毎日水やり始まる。

 7月、水やり方法を改善(後述)。

 8月、2度の草刈り。市民から中古の草刈り機の提供を受ける。

 10月、私たちが視察。写真のような状況であった。

 

3.感想

 現地で教えていただいたことを補足しながら書きます。

 学校を通して家庭、地域に作業への参加を呼びかけたものの、何人来てくれるか心配した。多くの方が参加してくれた。

 水やりについては、当初予定のとおりでは水圧が得られず困難に。消防団のメンバーからのアイデアで、中古の消防ホースを調達。これに穴を開けて使用すると12時間でできるようになった。なお水道口径を変更している。

 地元からの声が上がらないと、市から頼んだのでは実現が難しい。

 駐車場としての使用は、参観日くらいなら耐えられる。

 生育まで2ヶ月間が必要であり、この夏は運動場を使えなかった。代わりの場所として、隣接する河川敷を確保できた。

 効果として、外で遊ぶようになった、ケガが少なくなった、砂塵防止、地面の温度抑制が挙げられる。以上のように伺いました。

 やはり成功の秘訣は「地元発」ということ。

 これまでに私が見聞したところでも、水はけが悪くて失敗したもののほか、「誰が水やりをするのか」など、人の問題があるとのことです。しかし島原市でも中古の芝刈り機を提供してくれた市民がいるなど、子どもたちのために役立とうとする市民もいるはず。近隣の農家の方が水やりや芝刈りのアドバイスをしてくれたという例も聞いたことがあります。

 見方を変えれば、議会から行政や教委へいくら提言しても、すぐ枯らしてしまうのでは意味がありません。芝を育てる以上に、地域や家庭の機運を盛り上げることが前提と、改めて学びました。しかし機運を盛り上げるためにこそ、芝生の素晴らしさを、折に触れてアピールすることも欠かせません。

 子どもの教育環境、スポーツの上達、そして地域の盛り上がりというとても多様で大きな意義を持つ校庭の芝生化。これを参考に、これからも声を上げ続けてまいります。

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