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○学校教育における「食育」                       兵庫県宝塚市

※平成30年7月2日、教育民生委員会から視察

1.学校教育における食育

○自校調理方式。調理室から毎朝、ダシの良い匂いが教室に届き、朝から子どもたちの話題になる。
○給食メニューや食材の紹介など、掲示を行う。
○学校給食調理員との給食交流。配膳から返却まで指導。
○授業における食育。自身の食生活の振り返り。栄養教諭を市内に18名配置。彼らが食育の中心を担う。
・人形劇「くまちゃんのすききらい」
・旬の魚を知る、魚が体に良いことを知る。
・さつまいも、さといも、じゃがいもの違いと効能を知る。
・大豆を使った食品、栄養指導など。
○給食交流(幼小連携)。
・市内12全園5歳児が小学校の給食を体験。修学旅行で空いている日に小学校に出向いて実施。
・給食の準備や配膳、片付けなどを、5年生と5歳児が教えてもらいながらいっしょに。
・栄養教諭から食材についての話を聞く。
○食育劇。調理員を中心とした劇団「からっぽ大作戦」が市内の学校で上演。給食室でメニューが作られるまでの工程や仕事を伝える。食べることの大切さや感謝の気持ちを養う。
○レシピ集を刊行。
○ユーチューブにも載せ、皆で見てもらえるように。スタート時85万アクセス、現在113万アクセス。
○劇はすべて手作り。残菜を減らす効果あり。
○地域の方々の協力を得ての体験活動。畑や田んぼを借りての農業体験、ジャガイモ、お米。学校ではコンポストでミミズを育て、その尿を集めて液肥をつくり、お礼として地域の方々へ返礼。それでまた野菜が良く育つことを学ぶ。
○人口は市の1/3の地域に集中。残りの2/3、西谷地区に夏野菜を作らせてもらう。

2.学校給食

○アレルギー除去食。専属配置はない。前日までの打ち合わせで対応。アレルゲンが混じらないよう職員の動線に配慮。
○全体としては卵だけの除去だが、学校ごとに主食、牛乳にも対応。入学前のなるべく正確な情報入手。
○「地産地消給食の日」。県内産食材を多用。夏と冬の年2回実施。
○地産率を上げるために農協と提携。生産者がゲストティーチャーを務める。農業体験でムラサキイモ栽培、新メニューも考案。

3.食育推進活動「おいしいまち宝塚」

○商工勤労課が所管。「宝塚グルメアカデミー」としてシェフと職人が技を伝授するイベント。H29は8/2〜9/8、(夏休みに合わせる)市内16会場で順次実施。会場は個々の店舗や公民館の調理室など。受講無料。すでに始めて12年。「デコ巻きずしに挑戦」「親子でケーキを作ろう」「米粉deクッキング」など。これをきっかけに「お店のファン」獲得のねらいも。
○子どもも作れるメニュー。食育につながる。
○これまでにも「ケーキバイキング」「スタンプラリー」など好評。H29参加者は339名。
○補助金をつけてスタートしたが、今年から自前で。参加費を徴し自前で印刷する形も。
○夏休み前にチラシが学校で配布される。
○出張宝塚グルメアカデミー。完全ボランティアのメンバー、現在3名が市内小学校の家庭科の授業やクラブ活動で出前講座。パテシエが学校に出向いて「ホールケーキ作り」。秋の4日間、「なりたい職業」にケーキ屋、お菓子屋が上位ランク。

4.「夏休み子ども消費者出前講座」

○環境、金銭、食育の3ブログラム。小1〜6年生を対象。
○NPO法人に講師を依頼。
H29、14育成会、12児童クラブの計26か所で36講座。うち食育は5か所6講座。

5.感想

 いただいた資料には意欲満々のチラシ、プログラムの数々。また地元紙に報道された記事や市広報の表紙を飾った賑やかな給食の場面。宝塚市の食育への意欲が強く感じられます。
 その勢いが、学校を越えて、家庭、まちのパテシエから近郊の農業者の皆さんまでも巻き込む。「ミミズを育ててお返しする」には驚きましたが、食べ物の大切さといつくしみをこのようにして身につけさせる教育はある意味で学校の教科にも増して大切であると実感しました。
 やがてそのウェーブが立派なレシピ集発刊となり、100万を超える閲覧者を集めるユーチューブになるとは、本気度が熱く伝わり、最先端の工夫をいとわない姿勢が鮮やかです。
 これに刺激を受け、丸亀市でも自校方式は現実的には無理ながら、「住民を巻き込む」という姿勢をここでも行政が身につける、そのアプローチにもすればいいと思います。悪口になるかも知れませんが、丸亀市政の課題は「行政が自己完結していること」、つまり市民を巻き込む知恵や意欲に欠けることです。教育委員会マターではないでしょう。宝塚でも商工部門が乗り出しています。連携こそが、食育以上に必要な行政の課題です。

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