○学校課題解決支援チーム              横浜市

 

26.10.21教育民生委員会から視察

 

1.意義と導入経過

 

19導入検討開始。「保護者対策」をメインとしていた。当時いわゆる「モンスターペアレント」が問題となり、対策として専門家の知見を取り入れることから検討をスタート。

20初導入。21拡充。指導主事、学校支援員を配置。

22学校教育事務所を開設し、支援チームを本格稼動。

保護者対応だけでなく事件事故対応など、学校が抱える諸課題への対応力の向上、学校の課題解決を支援する体制を構築。

学校だけでの課題解決は難しい。各セクションが「手を取り合うことが子どものため」と認識。

 

2.事業の概要

 

いじめ、暴力行為、「学級崩壊」、事件や事故の未然防止、発生時の解決、理不尽な要求を繰り返す保護者・市民への対応、といった場合に動く。

学校だけでは解決が困難な事案に対して、各学校教育事務所指導主事室長の指揮監督のもとに「学校課題解決支援チーム」を編成。学校に派遣する。

支援チームの構成は、指導主事、学校支援員(校長OB)、スクールソーシャルワーカー、その他必要な者。

場合によって、専門家の意見を照会、助言を受ける。心理学、教育学、弁護士、医師。現在19名に委嘱。専門家による助言や指導のほか、対応力向上のための研修を行う。年610回依頼している。すべての教員を対象に実施。希望者を公募。12時間半。例えば前回は100人募集に対して120人が出席した。

横浜市では専門家を登録制にしているが、東京とはセンターに常駐。これは東京ならではの分厚い専門家層がいるから。

 

3.支援チーム派遣実績

25年度、小学校670回、中学校283回など。

解決した具体例など(省略)。

 

4.感想

 

 視察時に伺ったことも加えながら感想を述べます。

 保護者や市民から学校・教委に対し、訴訟や訴訟以前の手紙などもたくさん来る。以前はそのつど弁護士にアポを取り、聞くことを文書にまとめてから聞きに行くことで対応に数日を要していたが、専門家として委嘱することにより、いつでも、電話でも相談に乗ってもらえる。その日のうちにも回答が可能となった。

 ともかく「子どもを守る」ことを目的に、これまで〝壁〟だった個人情報保護も、各セクションの連携も、警察に入ってもらうことも、「子どものため」ということで突破してきた。

 今も「学校を開く週間」の行事は盛んに行われており、地域の人も学校を訪れている現状。

 支援チームの要請は学校が判断し、学校が要請するルール。

 視察時、2つの「解決事例」を紹介いただきました。詳細は差支えに配慮し、ここには書きませんが、そこで解決のための重要なプロセスとして「ケース会議」が持たれていることを特筆したいと思います。こうした連携こそがスピーディに、かつ継続的に課題解決をし、かつその経験値を共有できるというメリットを生んでいるのではないでしょうか。

 ちなみに「警察は日常的に学校に入っているのか」との質問に対し、「学警連」と呼ばれる警察OBの方々によるスクールサポーターが巡回を行っているとのことでした。

 学校という現場、塀の内側で、まるで社会の法律の枠外のような扱いで社会以上の非行や暴力が行われている、というとオーバーかも知れませんが、教育委員会制度という閉じられた制度のもと、ともすれば外部からの関与が閉ざされてきた嫌いがあるのは否めません。外側も、何か教育現場は何をやっているのか、という非難めいたスタンスなのが課題解決をさらに遠のかせていたという印象を持ちます。

 この横浜市の先進事例を参考に、丸亀市でも昨春、学校サポート室ができました。その活動がさらに実を挙げるよう、今回の市議会教育民生委員会からの視察を行ったものですが、その成果はめざましいものでした。

 この視察のあと、私のもとにいじめの相談が寄せられ、さっそくサポート室に持ちかけ、課題解決を図っていただきました。そしてその際、私が強く感じたのがその一員として活躍するスクールソーシャルワーカーの存在でした。このことを議会で強く提案し、それまで香川県の制度のもとで派遣してもらっていたSSWを今春より、市独自の制度として整備が実現しました。

 個々の課題に解決する支援体制と人の整備とともに、いまや日本の学校現場そのものが抱える問題にどう対処していくのかと言うマクロな課題が横たわり、今、市長が教育に関わっていくという、戦後これまでにない判断と、新・教育長の制度導入をはじめとした諸改革が緒に就いたところです。

 そうしたすべての機能がまさしく「子どものために手を取り合う」という理念で結び付き、大きな効果を挙げるよう願わずにいられません。

 激動のさなかにある教育委員会制度、わが国の教育そのものを、しっかりと見つめてまいります。

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