すべてのごみを循環資源化〜富山県福光町
○視察の概要
福光町及び周辺の2町3村で作る砺波広域圏で設立している「南砺リサイクルセンター」
を視察。
施設の概要は、
@ごみ固形燃料化プラント
廃プラスチックを含む可燃性生活ごみを、約30分の処理で固形燃料に再生する施設。
再生された固形燃料は、同センターのボイラーのほか、近隣の特別養護老人ホーム、
町民プール、小中学校、温泉施設、病院に配送され、燃料として利用されている。
Aリサイクルプラザプラント
可燃性粗大ごみ、不燃物、古紙やビンなどの回収物が集まり、ここで再生・資源化
される。
Bリフォームセンター
不用品の補修や再生作業、製品の展示を行うほか、会議室は住民のリサイクル活動
の研修などに利用されている。
視察では、主に上記@について、くわしくお話を伺った。
○視察内容
・ 当町では、平成5年から徹底的な分別作業に着手。役場職員が2、3班編成で自治会を
回り説明。周知徹底に努めた。内容は、指定のごみ袋を利用すること、びん・缶は洗って
出すことなど。行政が住民を「しつける」のでなく、自治会を「口説いた」。また「ごみの
出し方講習会」を何度も繰り返した。なお積雪のため、1、2月は分別ごみを出さない。
・ このプラントでは、水分は約2%までにすることができる。機種選定に際し、水分を
10%にする機種もあったが、それではだめ。
・ すべてのごみのうち、4割相当、火をつけて燃えるものはすべて、再資源化。
・ ただし、羽毛ふとん、スキーの板のみ例外。
・ プラスチック製品、苗箱は、塩素が高くダイオキシン発生の原因となるので、燃やさ
ない。
・ 生成された固形燃料を利用するためには、特定のボイラーが必要で、老人ホームは増床
のとき、中学校は改築時、小学校は耐震工事の時、それぞれボイラーの改良を行った。
・ 循環資源化率は95.7%。
・ 一日の処理能力 4t×7時間=28t/日
・ 現在は2町3村だけでなく、隣接して県境を越える岐阜県の2村分も処理る。
・ 厚生省(当時)の補助適用の全国第一号となった。
○視察感想
可燃ごみを焼却処分してしまうのでなく、RDF(Refuse Derived Fuel)化して再利用
する施設は、今では全国各地で行われていますが、ここ福光町は、その先駆をなした
自治体です。
当時、まだ国の補助金の制度はなく、暫定的な補助金を受け、起債も起こして自主的に
始めた事業で、正式には、福光町がスタートさせた後に、正式な厚生省の補助対象事業と
なりました。
この施設の稼動にいたるまでには、町挙げてのごみ分別化、環境意識の高まりがあり、
ごみリサイクルの究極の姿とも言える「固形燃料化」が実を結んだものです。町役場職員の
継続的な努力や町民の
理解があって、このプラント実現への素地ができあがっていたものと思います。そして
今回の視察に応じてくださった担当職員が開発当 初から取り組みに参加しており、やはり
役場担当者が熱意をもって関わっていることに感銘を受けました。
また単にプラントを設置しただけで完結するものではなく、生成されたRDFを使用する
システムまで構築しなければ、再生そのものがムダになります。学校、病院など管内の公共
施設を巻き込んだ施策となるもので、まさしく全町挙げてのプロジェクトというべきもの
です。これが住民がどこでどのような条件の下でも利用できる燃料であればこれ以上のことは
ありませんが、この点、導入までには大きな課題があるだろうと思います。
なお視察項目外ですが、当町では可燃ごみの収集は夜、18時から20時の間に行っている
そうです。住民の出しやすさと、出してから収集までの間に野犬、カラスなどに荒らされない
ようにとの配慮だそうです。住民の利便を考え、丸亀市にとっても参考になるのではないか
と思い、付記しておきます。

