AU-666の写真
SANSUI  AU-666
STEREO PRE-MAIN AMPLIFIER ¥52,800

1970年にサンスイが発売したプリメインアンプ。中級機ながら,サンスイがトランジス
ターアンプの分野で初めて評価を確立するきっかけとなった名機でした。

AU-666の最大の特徴はメインアンプ部にありました。メインアンプ部の回路構成は
2段差動増幅回路と出力トランジスターにもPNPとNPNを使用した出力コンデンサーレ
スのプラスマイナス2電源による,完全直結,完全コンプリメンタリー・ダーリントン回路
方式で,いわゆるピュアコンプリメンタリーアンプとなっていました。そして,国産初のピュ
アコンプリメンタリーで,PNPとNPNの組み合わせにより歪みを打ち消すことができるピ
ュアコンの威力を見せつけ,この後トランジスターアンプはすべてピュアコンになりました。
このピュアコンプリメンタリーのメインアンプ部は,実効出力40W+40W(4Ω),ダイナ
ミックパワー100W(4Ω)を低歪率(0.5%),広帯域(10〜40,000Hz)で実現して
いました。

プリアンプ部は,低ノイズ・シリコントランジスターが使用され,ノイズを大幅に低減してい
ました。
フォノ入力端子は2系統が設けられ,TUNER,AUX以外に,テープ端子は1系統ながら
PIN端子とDIN端子が設けられていました。スピーカー端子はA,B2系統で,B端子は
プリ・メイン切り離しが可能となっていました。
また,変わったところでは,標準プラグのMIC端子が設けられ,入力セレクターにもMIC
のポジションがありました。

初期のトランジスターアンプでは,回路インピーダンスが低いため,電解コンデンサーが
使われるのが普通でしたが,電解コンデンサーは位相歪みが大きく伝送特性が悪いた
め音声信号を通す場所には不向きであることが言われていました。AU-666では,極
力直結回路が用いられ,コンデンサーを少なくし,必要な部分は回路インピーダンスを
高くするなどしてマイラーコンデンサーを用い,電解コンデンサーが必要な部分にはマイ
ラーコンデンサーを並列で使うなどして,高域特性の改善が図られていました。
電源部は,メインアンプのプラスとマイナス電源,及びプリアンプ電源にはそれぞれ独立
したリップルフィルター回路が付けられ,安定した電源となっていました。

トーンコントロールは,BASS,TREBLE以外にMIDRANGEを加えたTRIPLE TONE
CONTROLが採用されていました。左右独立のクリックストップ付のツマミにより左右別々
に調整が可能となっていました。
その他,機能的には,NF型のローフィルター,ハイフィルター,ラウドネスコントロール,
20dBのミューティングスイッチなどが搭載されていました。

以上のように,AU-666は,ブラックパネルにウォルナットのウッドキャビネットという機能
美を感じさせるデザインに,国産初のピュアコンのメインアンプ部をはじめ,しっかりした中
身を盛り込んだ,サンスイの意欲作でした。そのクリアな音はピュアコンの威力を知らしめ
人気となり,サンスイのアンプの評価を大きく高めることとなりました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音質,機能,発展性はもとより,
機能美あふれるデザインで,
スピーカーシステムとの関連性を
徹底的に追求してうまれた
高級プリ・メインアンプです。


◎超低音域まで歪まない全段直結,完全
 コンプリメンタリーのメインアンプ部
◎小出力から大出力まで歪まない
 パワーステージ
◎超低ノイズのプリアンプ部
◎カップリング・コンデンサー(増幅段間結合用)
 には電解コンデンサーを極力追放
◎新しい構想によるトリプル・トーン・コントロール
 を採用
◎プリ・メインアンプを切離し使用も可能
◎スピーカー・システムは2系統の出力
◎完璧な保護回路
◎リップルフィルターつきの電源
◎2回路のPHONO入力端子
◎高級アンプに必要なすべての回路
◎新PBの機能美あふれるデザイン





●AU-666の規格●



■メインアンプ部■

定格出力
ミュージックパワー(IHF):100W(4Ω),80W(8Ω)
実効出力(左/右)    :45W+45W(4Ω)
                 35W+35W(8Ω)
全高調波歪率
0.5%以下(定格出力)
混変調歪率(SMPTE)
(60Hz:7,000Hz=4:1)
0.5%以下(定格出力)
パワーバンドウィズ(IHF)
10〜40,000Hz(8Ω)
周波数特性(常用出力)
10〜70,000±1dB
チャンネル・セパレーション
60dB以上(1,000Hz,定格出力)
ハム及び雑音(IHF)
100dB以上
入力感度
1V(定格出力)
入力インピーダンス
50kΩ以上
負荷インピーダンス
4〜16Ω
ダンピング・ファクター
40(8Ω負荷)



■プリアンプ部■

出力電圧
最大出力:5V
定格出力:1V
全高調波歪率
0.1%以下(定格出力電圧)
周波数特性
20〜40,000Hz±1dB
チャンネルセパレーション
PHONO−1,2:50dB以上
TUNER,AUX:50dB以上
ハム及び雑音(IHF)
PHONO−1,2:70dB以上
TUNER,AUX:80dB以上
入力感度
(1,000Hz,定格出力電圧)
PHONO−1,2   :2mV(50kΩ)
MIC          :3mV(50kΩ)
TUNER       :180mV(100kΩ)
AUX          :180mV(100kΩ)
TAPE PLAY(pin):180mV(100kΩ)
TAPE RECORDER(DIN):180mV(100kΩ)
録音出力
TAPE REC(pin):180mV
TAPE RECORDER(DIN):30mV
イコライザー
PHONO:RIAA NF型
MIC   :Flat NF型
コントロール
BASS    :30Hz±16dB
MIDRANGE:1,500Hz±5dB
TREBLE  :15,000Hz±15dB
スイッチ
ロー・フィルター:20Hz,−10dB
ハイ・フィルター:20,000Hz,−10dB

ミューティング −20dB,OFF
SOURCE SELECTOR
MIC,PHONO-2,PHONO-1,TUNER,AUX



■電源・その他■

電源電圧
100V 50/60Hz
消費電力
240VA
寸法
415W×127H×278Dmm
重量
9.75kg

※本ページに掲載したAU-666の写真,仕様表等は,1970年の
 SANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株 式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載
 ・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 

★メニューにもどる
  
 
★プリメインアンプPART4のページにもどる

 
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象の
ある方そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp