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ONKYO IntegraT-410DG
DIGITAL SYNTHESIZER FM STEREO TUNER
¥88,0001978年にオンキョーが発売したFM専用チューナー。オンキョーはすでに1975年にT-433NUという
デジタルシンセサイザーチューナーを出していた経験がありましたが,このT-410DGはデジタルシンセ
サイザーチューナーの機能性や受信精度のみでなく,さらに受信性能面や音質面においても最先端の
高性能を実現すべく開発された,オンキョー初の本格的な高性能デジタルシンセサイザーチューナーで
した。3MOS FETと6連のバラクターダイオードが搭載されたフロントエンドは,RF2段増幅,ダブル−ダブル
−シングル同調という贅沢な回路構成を採用し,高感度1.8μV(10.3dBF)と,イメージ妨害比120dB
スプリアス妨害比110dBなどの優れた妨害排除性能を持っていました。特に,FM多局化に備えて近接
局による相互変調妨害特性を高めていました。
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IFはWIDE,NARROWの2段切り替えで,初段(WIDE)には,雑音指数が低くダイナミックレンジの広い
MOS FETを採用し,第2ゲートにはAGCをかけて強入力時にも備えていました。
WIDE時には,群遅延直視装置によってフラットな帯域の中心を10.7MHzでおさえた新型4素子リニア
フェーズフィルターを採用していました。そのシビアな特性の選別・管理によって,わずかな位相のうねりを
も補正する,正確な逆特性の位相等化フィルターの使用を可能にし,広帯域にわたるリニアな特性を実現
していました。しかも,10.7MHzを中心に最もフラットな部分を効率よく使用できることで,0.06%(ST
・400Hz)の低歪率と50dB(±400kHz)の高い選択度を両立させていました。
一方NARROW時には,さらに6素子リニアフェーズフィルターが加わり,85dB(±400kHz)の高選択
度を実現していました。
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MPX部には,パイロットキャンセラー内蔵のMPX・PLLICを搭載し,ローパスフィルターのカットオフ周波数
を十分に延ばすことによって,周波数特性を18kHzまで拡大できていました。また,L・Rの音声信号によ
って変調されると歪みやビートの原因になる19kHZのパイロット信号を確実に取り出すために,ビートキャ
ンセラーを搭載し,19kHz以外の信号をすべてカットして純粋なパイロット信号のみを取り出し,精度の高
いL・R分離とビートの低減を実現していました。T-410DGでは,全回路を通じて,100%を越えるオーバー変調に強い設計になっていました。上記のよ
うなIF部に加え,広帯域レシオディテクタ,低歪率MPX部,ダイナミックマージンの大きい電源オーディオ
アンプ部を採用し,200%変調時にも0.09%以下(ST・400Hz)という低歪率でオーバー変調をクリア
していました。シンセサイザーチューナーとして,プリセットメモリーは6局が可能となってしました。また,選局はプリセット
以外に,オートスキャンで局を探して止まるオートと0.1MHzステップのマニュアル同調が搭載されていま
した。
その他,機能的には,パワースイッチのON・OFFに関係なく動作しているデジタルクロックが内蔵され,パ
ワースイッチOFF時には周波数表示部がデジタルクロックの表示になり,時計としての機能も持っていまし
た。チューナーとして使用中もスイッチによって受信周波数/時計の表示が切り換えられるようになってい
ました。
また,テープデッキの録音レベル設定に役立つ50%変調・440Hzの信号を発振するエアチェックキャリブ
レーター,アンテナセッティングに役立つマルチパス出力端子,テープデッキへダイレクトに録音できる録音
専用出力端子などが搭載されていました。以上のように,T-410DGは,デジタルシンセサイザーチューナーとしてトータルに性能が追求された高性
能チューナーでした。しっかりした受信性能とオンキョーらしいクリアな音を持ち,操作系もきちんと整理され
た実用的で使いやすい1台でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
その内容,そのクオリティに
着目していただきたい。
メモリー
インテグラの6局デジタルチューナー。
◎第1級のクオリティ=TQ(トータルクオリティ)思想の
実現こそ第1のテーマです。
◎完璧同調のクォーツ・デジタル・シンセサイザ方式
◎6局プリセット・デジタルメモリー内蔵
◎オート・スキャンによる快適な自動チューニング
◎デジタルクォーツのクロック機能内蔵
◎クオリティ・エアチェックに対応
マルチパス端子,録音専用出力を装備
◎3MOS・FET,6連バラクターダイオードの
フロントエンド。
IF段に大入力に強いMOS・FETを採用。
◎帯域幅2段切換,位相等化フィルター採用
0.06%(ST・400Hz)という極微の低歪率を実現
◎パイロットキャンセラーによる広帯域MPX部
周波数特性は20Hz〜18kHz+0.2−0.8dB
◎広帯域にわたって歪を低減した
新開発ビートキャンセラー
◎全回路を通じてオーバー変調を徹底
| 受信周波数 | 76〜90MHz |
| 実用感度 | IHF・300Ω 1.8μV 新IHF 10.3dBf |
| S/N50dB感度 | IHF 3.0μV 新IHF 14.8dBf |
| イメージ妨害比 | 120dB(83MHz) |
| IF妨害比 | 110dB(83MHz) |
| S/N比 | MONO 83dB STEREO 77dB |
| スプリアス妨害比 | 110dB |
| 2信号選択度 (±400kHz離調) |
50dB(WIDE),85dB(NARROW) |
| AM抑圧比 | 60dB(WIDE),57dB(NARROW) |
| キャプチュアレシオ | 1.0dB(WIDE),2.0dB(NARROW) |
| 歪率 | MONO 400Hz 0.05%(WIDE),0.1%(NARROW) MONO 50Hz〜10kHz 0.1%(WIDE),0.3%(NARROW) STEREO 400Hz 0.06%(WIDE),0.2%(NARROW) STEREO 50Hz〜10kHz 0.15%(WIDE),0.4%(NARROW) |
| 周波数特性 | 20〜18,000Hz(+0.2,−0.8dB) |
| アンテナインピーダンス | 75Ω・300Ω |
| ステレオセパレーション | 1kHz 50dB(WIDE),40dB(NARROW) 100Hz〜10kHz 40dB(WIDE),35dB(NARROW) |
| キャリアリーク | −70dB |
| 出力電圧 (400Hz100%変調) |
可変出力 0〜1200mV 録音出力 450mV |
| 出力インピーダンス | 可変出力 最大時1.8kΩ 録音出力 2.7kΩ |
| 使用半導体 | 20IC,52Tr(5FET),47Di |
| 電源 | AC100V,50/60Hz |
| 消費電力 | 9W(電気用品取締法) |
| 寸法 | 435W×108H×366Dmm |
| 重量 | 6kg |
※本ページに掲載したT−410DGの写真,仕様表等は1978年11月の
ONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは
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