SS「舞台裏の出来事」 〜幕が降りた後?〜 |
帝劇のトップスタア、神崎すみれ。 彼女の『青い鳥』での役どころは、1匹のネコであった。 高貴な名前がついているのだが、ここでは「タマ」(仮名)としておく。 さらに、 フック船長の乗る帆船を宙吊りにするロープを引くという役目もあった。 フック役のカンナと舞台裏でひと悶着した後、 舞台の幕が開きすみれはロープを引いたのだったが、 哀れ自分のしっぽにロープが引っかかり、そのまま上まで吊り上げられて カンナ曰く「パンツ丸見え」で逆さ吊りの状態になってしまったのだ。 お客さんの爆笑の最中、 終了間際までタマはずっと吊るされっ放しだったというわけである。 そして、舞台終了後…。 「少尉、あの…」 「何だい、すみれくん?」 「さっきの舞台で、わたくしの姿…あの、ずっとご覧になっていましたの?」 「ああ、見せてもらったよ」 「!」 「あのふちの所のデザインが変わっていて、いい感じだったよ」 「や、やはり、少尉は…私のパ、パ、パンツを…!」 すみれの体がわなわなと震え出す。 「いいっ!?パンツなんて一言も…俺はタマの衣装のデザインの話を…」 「見てないとおっしゃるの!?」 「いや、不可抗力で少し…って、 す、すみれくん、落ち着いて…ぐわぁぁっ!!」 ビシ!バキ! 大神は不幸にも災難の扉をあけてしまったようである。 |
初出:1999.3.14 サクラ大戦BBSより |
SS「舞台裏の出来事」へ 当時サクラ大戦BBSのSS発表ツリーに シルクの道様よりこちらの2作品をいただきました。 〜幕が上がる前〜 〜幕が降りた後?〜 サブタイトルはこちらでつけさせていただきましたがm(_ _)m HPへの再録を決めた時に こちらのお話も同時に発表させていただく予定にしていましたが ここまで発表が遅れてしまいましたこと タイミングをすっかり外してしまい せっかくいただいた作品を申し訳なく思ってます(陳謝) さて・・・ 作品解説になりますが 舞台裏の出来事っていう内容自体から 幕の中のお話なのですけれど その幕が上がる前にも それからその幕が下りた後にも さまざまなエピソードが隠されている。 そんな不思議な舞台の魅力を 感じ取っていただければと思います。 改めて シルクの道様。 素敵なお話をありがとうございました。 |