「狼が

  来た

    で〜〜〜〜す!!!!」




「お、織姫さん。
 声が大きいですよ。」


「だってさくらさん、
 このくらいの声で叫ばないと舞台全体に聞こえないでしょ。
 ね♪」



「え・・・でも。」




「織姫、ここは狼にボク達の存在を気づかれちゃいけない場面。
 だからもうちょっと小さな声で。」



「そ〜ですかぁ。
 レニがそう言うなら・・・
 え〜〜と。もう一度デスね♪」







「狼が来たで〜す」



「みなはん、準備はよろしいでっか。」



「って、紅蘭、それ・・・」


「これはな。」




ちゃちゃちゃちゃっちゃちゃ〜〜〜〜ん!!




「紅蘭発明、撃退くん1号やでぇ。」



「やでぇ。ってアイリス、
 どうしてそこで喋りが紅蘭になっちゃってるの。」



「ま、細かいことは気にせんといてぇなぁ。」



「そうやそうや。ほな、いってみまひょうか。
 撃退くん1号、発進・・・」





うぃ〜〜〜〜〜〜ん


うぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん



うぃ〜〜〜〜〜〜〜





・・・・・・・・・・・・・・










「な、なんか変でぇす、これ。」

「みんな、舞台から待避よ。」


「そうですね。」





ばたばたばたばたばたばたばたばた





「そなんことあらへん。
 大丈夫やって。
 な。アイリス。




 
って、アイリス!!」




「こうら〜〜〜〜ん、はやくぅ〜〜〜〜〜」



「そんなぁ、みなはん、うちのこと・・・」






・・


・・・


・・・・


・・・・・






どか〜〜〜〜〜〜〜ん
!!!






「ま、また、やってもうた。」





ばたっ。









「もう、どうしたって言うんですの。
 この神崎すみれ、久々の舞台だと言うのに
 まだ出番来ないんですの。

 ねぇ、中尉。」



「って、すみれくん。
 それ、オレの衣装なんだけど。」


「お〜ほっほっほっ
 やはりトッ〜〜〜〜ッップスタァ無くしては
 花組の舞台はまとまりませんわよねぇ。
 ねぇ、中尉。」









そう・・・・
なんだよなぁ・・・・












カンナ・・・


カンナ・・・・・


カンナ・・・・・・・・・




「ねぇ、カンナ。
 次の台詞、まだ?」




あ、次の台詞って




あ、あれ?
ここ・・・




「もう、カンナ。
 また何か考え事?」


「・・・七匹の子ヤギ・・・いやで〜す

 って、いつまでこの台詞言ってればいいんですかぁ?」


「あ、すまんすまん。ついぼっ〜〜〜っとしてしまってさ。

 いや、織姫の台詞
 あまりにもよかったものだからつい・・・」



「「また、妄想してたですか!!!」」






「ごめんなしゃい」



「もう、仕方ないわねぇ。

 じゃ、もう一度初めからやり直しね。


 カンナ。

 いろいろと考えることもあると思うけど
 もうすぐ本番なんだから
 ちょっとは気をいれてくれないと。」


「まかしとけって。
 本番ではぼ〜っとしないよ。」


「ほんとに?」


「ほんと、ほんと。
 じゃ、初めよっか。
 えっと、あたいの台詞台詞っと。


 織姫、もう一回最初っからな。」


「はぁい、分かりましたで〜す。」







すみれ。
いよいよだな。
すみれのいない舞台が始まるのは。

でもさ。
あたいは信じてる。

八犬伝のように



いつの日か



何処かに居るという



まだ見ぬ仲間達を探す



すみれもきっと



探してくれているよな




忘れないでいてくれるよな


な!



すみれ・・・








あ!

でも、この案なかなかおもしれぇんじゃねぇかな。
今度隊長に相談してみよぉっかなぁ。


「新春歌謡ショウ:七匹の子ヤギ」っての。

あ、でも。
来年はヤギじゃなくて羊年だから
花組なりのアレンジで

『七匹の子羊』にしてみよぉっかなぁ。



「な、どうだろう?」



「カンナ、そんな台詞はないわよ。」



「あ!・・・」







「ごめんなしゃい」



<おしまい>


 







昨年(2002年)夏のスーパー歌謡ショウ
「新編 八犬伝」
その舞台観劇中思いついたネタです。
その時は「来年」だったのですが
もう今年2003年ですね。
「羊年」なんだから
とお願いして描いていただいた智士様のイラストへ
大変遅ればせながら
<おまけ>
付けさせていただきました



2003年3月17日 公開





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