「・・ニ、レ・・・ニ・・・」




ん?




「も〜、レニってばぁ。ずっと呼んでたのに、返事しないんだからぁ。
って、もしかしてレニ、寝てたの?」
「あ・・・そう・・・みたい。ごめん、アイリス。」


午後の昼下がり
「遊ぼう」っと手を引かれて中庭にやってきたボク。
でも
フントとじゃれあうアイリスを見ながら
暖かく柔らかな日差しの下、木に体をもたれかけていると
とっても気持ちがよくって・・・
つい、眠ってしまっていたみたい。

そう言えば、ボクずっと呼ばれていたみたいだけど。
アイリス?
いや、違う。
誰・・・なんだろう。



「どうしたの?レニ。まだ眠いの?」
「ううん、もう大丈夫。ただ・・・」
「ただ・・・どうしたの?」
「夢・・・見てたようなんだ?」
「え?レニの夢?どんなの?」
「・・・あれ、思い出せない。」
「なぁ〜んだ、つまんないの〜。
ねぇ〜レニもこっちに来て遊ぼうよ〜。」
「・・・う、うん。」



ここに来てからだけどボクは眠っている時に「夢」を見るようになった。
ほとんどがここでのことばかり。
後ははっきりとは覚えていない。
そういう時は、目が覚めた時
ふと悲しく感じたり、たまに泣いていたりする時も
あったりする。


でも、今日は・・・



思い出せない。
けれど・・・

「アイリス、今日はとっても気持ちがいいね。」
「そうだね。」


そう思えるような「夢」・・・だったのかもしれない。


−2000.11.28 サクラ大戦BBS 美咲緑の返事ツリーより−


過ぎ去りし過去は、たとえ思い出せないことだとしても
「夢」の一言で終わらせることなどできないもの
だけど
その過去を嘆き悲しむよりも
今得た光を大切に育てていって欲しい
私はそう願う

ただ
私にはそれを言う資格はないのかもしれないが・・・



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