CLOUD 9
20、19、18、
、、まもなく、
、、水粒が落下します。
17、16、15、
ぼくの空からほんの5cmだけ離れた場処に、
ぽっかりと浮かんで、
のほほんと居眠りをしてゐるあの白いやつ。
ふかふかに見えて、
手ごたえのないあの白いやつ。
14、13、12、
いつか、
ぼくのアンテナに引っかかっていたから、
そっと引き離してやったのに、
ありがとうも云わずに行っちゃった。
11、10、 9、
ぼくが捕まえようと手をのばしても、
するりとすり抜けて、
まるで何もなかったかのように、すまし顔。
8、 7、 6、
ほら、また居眠りしてゐる。
5、
4、
3、
2、
1、
ぽつり。
、
涙雨。
「・・・・・・」
ぼくは無言。
黙、 黙、 黙。
そいつはぼくの上に水粒を落とすと、
するりとすり抜けて行った。
じんじんと沁みる悲しみ。
こころの中にまで沁みこんで、冷たい。
「行っちゃった、あの白いやつ。」
ぼくはそれ以来、
追いかけるのを止めた。
ぼくの空からほんの9cmだけ離れた場処に、
ぽっかりと浮かんで、
のほほんと居眠りをしてゐるように見えるあの白いやつ。
そいつの中には悲しみがあって、
それはぼくの悲しみと、とてもよく似てゐた。
ぼくは何だか、
少しだけ救われたような、、
ひとりじゃないような、、
そんな気がして、ほっとした。
『CLOUD 9』
ぼくはそれ以来、
そいつをそう呼んでゐる。