お古カメラ

 

 

「対象型への憧れ」


Nikon2.1cm

望遠レンズと言うものは必要な焦点距離のものが1本あれば事足りるのであるが

こと広角レンズとなるとどうも勝手が違う。なにが違うかと言えば、幾らでも欲

しくなるのである。一体ここに何本の広角レンズがあるのかは数えたためしがな

いから不明ではあるが、例えば小生の標準レンズ的 28mm についてだけでも、

10本以上はあるのかもしれない。そんな中で所謂レトロフォーカスタイプではな

い俗に対象型と言われるものに対する漠然とした憧れがある。当然それはレンズ

の構造上通常一眼レフカメラではミラーが干渉して使えないので自然とLマウン

トレンズとなる。その代表格はなんと言ってもドイツはシュナイダーのスーパー

アンギュロンであろうが、このレンズの実物を始めてみた時は果たして何年前で

あったか。当時専用ファインダー付きで小生の月給程の価格であった。もちろん

そんな余裕があるはずもなく、以来ずっと手にしないまま過ごして来てはいるが

やはりその価格は値上がりし、いまや月収程ではないけれども、相当なものであ

る。そんなある日、ふといつもの中古コーナーを覗くと昔見たようなレンズが目

に入った。よく見るとニコンの2.1cmであった。これはレンジファインダーカメ

ラから一眼レフカメラに移行する過程に生まれた徒花のようなレンズで、その対

象型から来るレンズの形状上、ニコンFやF2 にミラーをアップして装着しなけ

ればならないと言う、変わり種と言うか変態レンズである。これをF2 に装着し

ガンカプラーを介してロシアのルサール用の20mmファインダーを付けた姿はな

かなかに戦闘的ではある。このもう一つの楽しみはアダプターを介してライカに

装着しても使える点である。これでもうスーパーアンギュロンは不要となった。

この物件は専用ファインダーが無い分破格の値札がついていたのでゲットした。




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