ノルウェー帰りのCanon P
そもそも小生のカメラ狂いはこのカメラに端を発している。それまではオリンパス
OM2であれこれモノクロームの街スナップを撮っていたが、ある日某新聞社分局の
ロッカーに眠っていたと言って知り合いが持って来たのである。その時はなんとは
なくレンズ一式も含めてそれ程興味はなかったのであったが、使ってみるとすこぶ
る按配がよい。そこからライカのレンズに関心が向き、ライカのカメラそのものに
も当然の結果興味が向き、挙げ句の果てにロシアカメラやわけの解らぬありとあら
ゆるカメラに興味が行ったのである。その意味でこの個体は記念すべき物件ではあ
る。先般、事務所の若者が 6日間の長期休暇願いを出して来た。話を聞くとノルウ
ェーへオーロラ見物に行くと言う。それならお土産にオーロラ写真を写して来いと
の業務命令を出すも、彼はデジカメとコンパクトカメラしか使った事はなく、この
カメラの出動となった。これに決するまでには紆余曲折もあった。寒冷地で良い仕
事をするならそれはロシアカメラしかないかとも考えられるし、ここはやはり日本
が世界に誇る Nikon F2が正しい選択に違いないとか、要はシャッター幕が零下20
度に耐えられるかどうかが鍵ではないかとか、、彼の出発の前日まで悩みに悩んだ
結果、チタン幕を選択したのである。後で考えれば布幕が良かったかとも考えられ
るが、とりあえずそんな葛藤の後の決断ではあった。その彼が元気に無事帰還した
写真は?との質問に歯切れの悪い答えである。どうも失敗したらしい。気になるの
はカメラを受け取った時シャッターダイアルが1/250を示していた事である。兎に
角ネガを見なければなんとも言えない。はたしてどんな失敗なのか興味深々である。