なんとなくバリトン


先般、ハワイに行った際、記念に何かウクレレを一つと考えていた。

ウクレレは普段使用するには充分すぎる程既にここにはあるので、今

まで使った事のないバリトンウクレレを一度試してみようと、KALA

のお安いのを(事実1フェイマス程であった)を求めて帰った。はじ

めはclassの仲間にサンプルとして見せたらお終いで、演奏に使うつ

もりもなかったが、家でポロポロ鳴らしていると大きな発見をした。

一つは通常のウクレレよりサスティーンが長く、ヴォーカルの隙間を

埋めてくれてソロで唄う時等楽である事。もう一つは、音域が低く、

声の実音域に近くなる分、唄うのに楽である事。さらにもう一つは、

小生の声の音域は高く、唄本等のキーでは普通まず、唄えなくていつ

も移調をしているが、例えばCの曲等Gで唄ったりする。そんな時、こ

れを使えば、テキストの通りに押さえるだけでGになっているから楽な

のである。この3つの「楽」は一度味わうと人間だらしなく後戻り出

来なくなってしまう。つまりキーを変更しても頭の中であれこれ計算

しなくても、テキストにある押さえ方さえしていれば、自然にほにゃ

の声域で唄えてしまうのだ。これは手放せなくなった。マニアックな

話になるが、例えば今流行りのNA PALAPALAIの「No Pueokahi」

等、キーはAでないとあのイントロの風味は出せないが、とてもあの

声では唄えない。ところがこのバリトンを使って指使いを同じフォー

ムで弾くとキーはEとなり、唄えるようになる。KALAと言うのは

中国製で、あの名器LANIKAIを製造している工場が独自ブラン

ドを立ち上げた、つまり一卵生双生児なのであるから、その性能はハ

ワイの一流プロがステージで既に使っていて保障済みではあるが、し

ばらく弾いているとやっぱりベニヤ板の音が気になってくる。電化す

るのもあるかと思案しているが、そう言えばマーチンのテナーがここ

に来た時はバリトン弦が張られてバリトンチューンで良い音色であっ

たのを思い出した。これはマーチンテナーをバリトンチューンに変更

するのもあるかなと試してみる事にする。そういう重要な決意をさせ

てくれた、大切なウクレレに違い無いのだ。これが成功すればカマカ

のバリトンをオークションであれこれ探す苦しみからは解放される。







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