RON YASUDA6弦
2013.12.31
ロン・ヤスダ氏製作の6弦テナーpu仕様(以下ロン6)である。比較対称は
KAMAKA6弦(以下カマ6)。まず、見た目はトップ板のコアの虎目はなかな
か押し出しも良くゴージャスできれいだ。手で持って構えた違和感は、ヘッド
ヘビーなところか。グローバーのメッキのペグが装着されているがこれが重く
て全体の重心をカマ6の12Fに対しロン6は11Fへと押し上げられている。こ
うやって計ると僅か1F分(1cmちょい)の重心の違いではあるが、持って構え
たときの違いは歴然としている。最近国産のウクレレ用ペグで軽量の物がドン
ドン開発されているので交換をしたい所だ。また、ロン・ヤスダウクレレの大
きな特調であるネックであるが、スタンダードなサイズの物はそのネックが大
変薄く平たく仕上げられ、左手親指が吸い付く様でとても弾き易い。しかし、
テナーの6弦ともなるとそんなにネックを薄くする訳にも行かないだろうから
厚さそのものはカマ6とあまり変わらない。ただ断面形状がカマ6の逆三角形
に対して逆台形となっている分スタンダード程ではないが親指に優しい気がす
る。ただこのネックの形状も断面積が広い分、先に書いたヘッドヘビーに影響
している様な気もする。弾いてみて気になるのが、2弦と4弦開放の鳴りが少
し詰まっている。どこかに触っている可能性があるか、ブリッジの形状に問題
があるか、かも知れない。これは無論個体差によるところだろう。コード弾き
している分にはそれ程気になるレベルではないがこれも調整対象となる。双方
共同じKAMAKAの6弦を使用しているが、ロン6は全体には低音成分が豊か
で心地良い音色であるし、その鳴りも奏者にはデカく聞こえ気分は良い。トッ
プ板の厚さはカマ6とロン6とで随分と異なる。ロン6のトップ板の厚さはカ
マ6のそれに比して2/3ぐらいだから、その分仕事ウクレレとして考えるとそ
の耐久性に若干の不安がありそうだ。ジャカジャカと弾いているとカマ6のス
タンダードなウクレレらしい音色と比べて低音成分のせいで太い音色で心地良
い。次はpuの性格を見てみる。アンプはROLANDのAC 60を使用。カマ6
もロン6もパッシブ型ではあるが、カマ6のブリッジ埋込ピエゾに対してロン6
は恐らくサドルの後ろへの貼付けタイプのボリューム付きとなっている。カマ6
は少しシャリシャリ感のある音で低音と高音を少し持ち上げて中温を思いっき
りカットして使っているが、ロン6は低音をレベルにキープし、中音を少し下
げて高音を相当持ち上げるようにした方が良い(あくまでも好み)。これはアー
スの問題か、ハム音が結構出るのでその対策でもあるが、生音自体低音成分が
豊かで、それを貼付けタイプのピエゾで拾っているせいであろう。概して言え
ば日本で工事したpuはハム音はそんなに気にならないが、ハワイで工事された
puは大抵ハム音に悩まされる。サニーDテナーもいつもハム音に悩まされてい
るのだ。いったい現地のプレーヤーはどうしているのだろうか?まさか、シー
ルドの金具に導線を括り付けてもう一方を腹かどこかの皮膚に張り付けアース
しているなんて事は無いだろう。ボリュームつまみはサニーDの様にバンドの
中でコードプレイから時々ソロプレイをする時などはとても有用ではあるが、
6弦の場合はほとんどフラ伴でジャカジャカコードをならすだけだから無くて
も良い。気をつけなければならないのはピエゾが貼付けタイプのせいか、ハオ
リングが出やすい点にある。うっかりとモニターSPに持たせかけたりするとき
は必ずこのボリュームつまみをミニマムにしておく必要がある。いずれにせよ、
幾つかの改良点の宿題は残るものの心地良い音色は魅力があるので今年のメイ
ンウェポンとして使ってみても良いかなと考え始めている。