以前のマーチンは#0であるが、これは#1である。何が違うのかって
聞かれても大した違いはなくて、ネックの指板の印の7フレット目と、あ
とはボディーの周囲に若干飾りがあると言った具合なだけである。そんな
ことよりも、これもどうやら1930年代の物ではあるらしいが、なにさま
その朽ち方はすごいものがある。塗装はすでにひび割れ状態で、色もごみ
箱に落ちていたような風合いで、そんなことはまぁどうでもいいのだけれ
ど、大変な事は、最近になってトップの板が剥がれ始めて来ていると言う
一点につきる。ダダリオのゆるゆるの弦を張って、その柔らかく甘い音色
が最近また一番好きになって、門外不出扱いを解き、あちこち野外やステ
ージやと、引っ張りまわしたのが原因かと思われる。サウンドホールに鼻
を近付けて匂いを嗅ぐと、みんな「甘い匂い!」「懐かしい!」「子供の
頃の学校の匂い!」と言う。これが世に言うマホガニーの匂いらしいが、
そんなことより、そろそろリペアに出さなくてはならなくなってしまった。
<03.5.11加筆:この個体は前述の様に、トップ板剥がれ、ブリッジ剥がれ
の症状が広がり始めたので、神戸は灘区のアコースティックハーモニーに
リペアをお願いし、先般無事生還したところである。