CHAMPION'S VIOLET 訪問記


(この訪問は1987年と若干古いかもしれませんが、その後の情報も追記して作成しました。)


1987年の3月、ニューヨーク州シラキュース市にあるチャンピオンズバイオレットを
訪問しました。チャンピオンズバイオレットはエセル・チャンピオンさん(以下、チャン
ピオン夫人)による交配、特にクラウン斑(別名チャンピオン斑とも呼ばれる斑入り葉)の
品種が有名で1960年代から今に至るまで数々の銘品を発表しています。

チャンピオン夫人の最初の交配はフロスティとアイオワという品種をかけたもので
その交配以降、クラウン斑の入る品種にこだわり続けています。
1970年代からはミゼットシリーズ(ミニ)、トリンケットシリーズ(セミミニ)、
1980年代からはランブリンシリーズ(トレイラー)と現在でも多くの品種があります。

今でこそ斑入りのミニ、斑入りのトレイラーは珍しくありませんが、特にクラウン斑の
入ったトレイラーが発表された時は一躍人気が高まりました。

チャンピオン夫人の有名な品種としてはミゼットボンボン、ミゼットバレンタイン、
ミゼットリンガー、トリンケットマジック、トリンケットホワイトキャップ、
ランブリングピンク、ランブリングライラック、ランブリングピーチなどなど。
また普通サイズの品種としてネオンレインボー、ハーフアンドハーフなどなどがあります。

日本でもチャンピオン斑の品種は人気は有るのですが、夏の間に斑が消えるなど
高温や土の酸度に影響を受けやすい特徴があります。チャンピオン夫人によれば
やはり夏の温度、土が酸性に傾き過ぎないようにする。ミネラル分を充分に補うことが
必要と話をされていました。日本でも川上先生が以前より、斑入りには特にミネラルが
必要と仰って、斑入りの品種には必ずミリオンやカキガラを使っていましたが、まさに
「その通り!」とのお言葉をいただきました。

1987年にはリリアンジャレット斑(モザイク斑)の品種も発表しました。
通常、交配により、斑入りの品種を作るには母株に斑入りを用いますが、リリアン
ジャレット斑ではこの法則があてはまらないためあまり多くの品種が作られて
いません。また、花色もほとんどピンクのものしかありませんでした。
交配し、種から育成していても斑が出ない、成長が著しく悪い、花形が変形するなど
なかなか新しい品種が生まれていませんでした。これはモザイク斑がもともとウィルス
などの病気により生まれた品種であり、交配に使った時点で何らかの変異をもたらせて
しまうことが原因と言われています。

チャンピオン夫人はこの問題にも関わらず、紫の花色でリリアンジャレット斑を持った
品種を作り出そうと交配を繰り返し、ようやく3種を発表しました
(この3種は87年に訪問した際に購入し、日本に持ち帰りましたが、その後の育成が
 難しく、既になくなってしまいました。)

87年の3月にご自宅を訪問した際には自ら御自宅の地下室を利用
した栽培場に案内していただきひとつひとつの株を説明して下さいました。


まだ、日本には入っていないと思いますが、この数年にも新しい品種を発表されて
いますので是非とも、入手したいと考えています。

チャンピオン夫人は2002年のAVSA大会に40年育てたSUPERMANと
いう株を出品されました。この株は同じ株をずっと更新しながら育て続けたもので、
セントポーリアの寿命の長さとチャンピオン夫人の愛情の賜物として絶賛されました。

チャンピオン夫人の今後の活躍を益々期待したいものです。

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