セントポーリアに限らずどの植物にも共通していえることではありますが、上手に育てる 最大のポイントは「水と光」です。セントポーリアの場合もその癖さえマスターして しまえば手軽に1年中花を楽しむ事ができます。 ここで書く育成方法はあくまでも花を手軽に楽しむためのポイントをまとめたものです。 ちょっと長くて面倒かもしれませんが是非、最後まで読んで下さい。 1. 置き場所と光 セントポーリアは室内の窓際など明るい場所が大好きです。但し、直射日光は強すぎて 葉が焼けてしまいます。基本的にはガラスとレースのカーテン越しの日が少なくとも 3時間位は必要です。また、直接は日があたらなくても窓が大きかったり、外からの 反射光がたくさん入って来る、あるいは夏の外の日陰など間接光があれば充分に育つ 場合もあります。 セントポーリア自然光がまったく入らない場合でも蛍光灯のような人工の光でも育てる 事ができます。蛍光灯(あるいは育成灯)だけで育てる場合、1日12時間〜14時間 を目安にします。蛍光灯との距離は大体15〜20センチ離します。 光が足りない場合 →葉が上に向かって立ちます。(バンザイしたような感じ)また、葉色が明るい緑色 (薄く)なり花もなかなか上がりません。また、濃い緑の葉色の場合、光が足りない と葉裏の赤みが薄くなります。株を上から見ると葉と葉の間にすき間があり、葉茎が 長くなります。このような症状が現れていたら置き場所を変えるか蛍光灯など人工の 光線で補いましょう。 光が多い場合 →葉は横に広がります。葉色は濃く、濃い緑の葉色のものは裏側の赤みが濃くなります。 花つきは良くなります。株を上から見ると葉のすき間がなく全体的に固い(しっかり した)感じになります。光が多すぎる場合は外葉が黄色くなることもあります。 2. 水やり 「セントポーリアは難しい、すぐ枯れる」と言われる最大の原因は水のあげすぎによる 根腐れです。可愛いからといって毎日水をあげていればきっと1ヶ月もしない内に 葉がダラリと垂れて株元から枯れてくることでしょう。セントポーリアはもともとアフ リカで育つ雑草です。多少水が切れても枯れる事はありません。ただ、コンスタントに 花を楽しむ為には極端に乾かして根を傷めてしまうことも避けた方が良いことも事実で す。園芸雑誌などには一般的に水やりは1週間に1度と書かれていますが、実際には 環境によって頻度は異なります。 日が一日中当たる部屋に置いてある場合やマンションでエアコンなどを使っている場合 では2日位で乾いてしまう事もあれば、梅雨の時期などの様に湿度が高い場合や、冬場 の温度が低い場合などは1週間立っても乾かない事もあるからです。 ですから水やりのタイミングはあくまでも「乾いたらやる」と言うことです。 ここでいう「乾いたら」というのが簡単な様で難しいところですがイメージとしては 土の表面が乾いたら水をあげて下さい。(鉢の中程はまだ多少水分が残っている頃) セントポーリアの根は非常に細いのであまり乾かし過ぎると根の先の毛根が枯れてしま います。といってもそこにあまり気を使いすぎると疲れてしまいますのでご注意下さい。 乾かし過ぎても株が枯れることはありません。極端に言えば、水をまったくあげなくて も3ヶ月〜6ヶ月くらい株は生き延びる事ができます。つまり水をあげなくても枯れは しませんがあげすぎると簡単に腐って枯れてしまいます。 水をあげるときは室温と同じくらいの温度の水を下から出るくらいたっぷりとあげ、受 け皿に溜まった水は捨てて下さい。あくまでも目安ですが4〜5日に一度くらいです。 3.肥料 今は園芸店に行くと色々な肥料が売られていて中にはセントポーリア用と書かれた液体 肥料やあるいは置き肥などがあります。そういったものの中で「これでないと花が咲か ない」というものはありません。はっきり言えばどれでも良いです。但し、野菜用、 観葉植物用というものではなく花用(セントポーリア用、蘭用、バラ用、ベゴニア用 シクラメン用など)にした方がより良い花つきが得られます。あげる回数は月に1回〜 2回で充分。肥料が足りない事が原因で花がまったく咲かないということはありません。 また、薄めるのが面倒、たくさんあげた方が効きそうな気がすると思っても薄め方は 必ず守りましょう。どちらかと言えば規定の倍に薄めて使う方が失敗がありません。 (規定が1000倍なら2000倍)薄くても必ず効果があります。 肥料の効き方はおいてある環境によっても大きく違ってきます。特に光が強い様な 場合は良く効きますので株の様子を見ながら調整しましょう。 肥料が少ない場合 →長期間1度も肥料を与えてない場合には外葉が薄い色や黄色っぽくなることがありま す。 肥料が多い場合 →葉が固くなる。花が咲かずわき芽がたくさん出る。濃すぎる場合、中心が毛深くなる。 4.温度 セントポーリア18〜25度の気温が適温と言われています。つまり人間が過ごし やすい温度がセントポーリアも大好きといえます。日本では春と秋はあまり気にしなく ても良いのですが、冬と夏は工夫が必要です。夏は気温、湿度が高く、蒸れて傷んでし まうことがありますので、空気が常に動く様に扇風機を回す、あるいは外の日陰に出す ようにしましょう。冬は特に夜間の最低気温が大事で、12度以下の状態が続くと花が 咲かなくなり、5度を切ると株が枯れてしまいます。気温が低いと株の成長も鈍くなり、 根から吸収される水も減りますので乾きも遅くなったりします。温度が保てない場合は 無理に水をあげず、冬眠させるようなつもりの方が良いかもしれません。 5.植え替え 理想を言えば1年に2回ですが、鉢の底石としてミリオンAなどを使えば1年に1回 程度でも花を楽しむ事はできます。セントポーリアの原産地の土壌が弱酸性なのですが 長期間同じ植え替えをしないままでいると土が酸性に傾き過ぎて花が咲かなくなります。 一般の園芸店で購入した場合、ピートモスだけで植えられている事が多いですが、購入 して花が終わった時点で一度、植え替えることをおすすめします。 6.消毒 セントポーリアにつく虫や菌は目に見えず、また、人間にはまったく害がないため なかなか気づかない事が多いのですが、はっきりした症状として現れた時には結構、 期間が経ってしまっている場合が多いので定期的に予防(初期段階での殺虫・殺菌 の意味を含む)のつもりで消毒することをおすすめします。消毒というと面倒くさい ですが、簡単な方法としては月に1回、台所の食器用洗剤を1リットルの水に2〜3滴 落とし、その水を葉の上からかけて土の中まで流すだけで簡単な殺虫・殺菌ができます。 症状がひどい場合は市販の園芸用殺虫剤を使います。 シクラメンマイツ ダニの一種で目には見えませんが株の中心につき葉から養分を吸います。 症状としては葉が固くなる、中心の葉が白く毛羽立つ、花が咲かない、つぼみが 途中で枯れる、花が咲いても1週間位で枯れるといったものがあります。 スリップス 花の中心につき花粉を食べます。 症状としては花の雄しべ(黄色の部分)を食い破るので花びらの上に白い粉が散ってい たり、雌しべの根本が枯れます。花が早く枯れる様な場合、花を良く見ると花の中心や 花弁の上を動いているのが見える時があります。 ワタカイガラ 葉裏や葉柄、花茎に白い綿のようなものがこびりついた感じになります。 洗剤では効きませんので専用の薬剤が必要です。 ウドンコ病 花茎に白い粉がふいた様な感じになります。 「我が家は虫がいないから…」と仰る方も多いのですが、虫は風に乗って飛んできたり、 他の植物からうつったりしますから、花がなかなか咲かないというう場合には 2〜3回続けて洗剤をかけて見て下さい。10年位前までは花の咲かない原因の一番は 虫によるものでした。 (目次に戻る)