My Opinion〜より良く育てるために〜
ここで書くことはあくまでも私が個人的に重要と思うことを個人的な経験に基づいて いるものでご参考になることがあればいいなと思って書いていくものです。「これが 絶対」という事ではなく、ひょっとしたら「間違っていること」や「考え方が違う」と いう方もいらっしゃるかもしれません。あくまでも私見ということでお読み下さい。 1. 「光」 セントポーリアを育てるのにこれは欠かせないもので、私は基本的に育成灯を使って 育てています。もちろん自然光でも育て、花を咲かせる事はできるのですが、天候な どにより安定した成長が望めない場合もあり、毎日、一定の光量を与えられる育成灯 をタイマーでセットしています。使用している蛍光管はトゥルーライト、植物育成灯 で白熱灯は使っていません。アメリカなどでは育成灯と白熱灯を一本ずつ使ったりし ている様ですが、棚の段によっては蛍光管に触れるくらいの高さに株を置くことがあ るので葉が焼けてしまうことを避けています。 一段に基本的には2本(20Wの棚でも40Wの棚でも)設置していますが高さが 40センチ位の棚については3本設置しているものもあります。 品種によって光が好きな種類や嫌いな種類がありますが、あくまでも育ち具合を 見ながら置き場所を変えています。極論を言えば、葉が黄色くならない限り強い光を 与えた方が成長も花つきも良いと考えています。ですから展示会の直前の2ヶ月くら いは育成灯2本の下5センチの所に置き、集中的に光を当てる事もあります。ただし、 光が多いときに水切れを起こすと成長が止まることがあるので、注意しています。 照射時間は通常期は1日12時間〜13時間、展示会前は最長16時間です。 2. 「根を育てる」 根を育てる…これは極めて当たり前の事ですが、実は非常に重要な事です。 根がしっかりしていなければ当然、株は育たず、仮に花が咲いたとしてもそれは 一時的なものでしかありません。「セントポーリアは乾いてきた時に水を求めて根を 伸ばす」という事で ある程度は乾かす事が必要と考えています。これは結局、 水やりと大きく関係します。うっかりでも乾かしすぎれば必ず成長に障害が出ます。 また、水をあげすぎたといった場合も同様です。「水やり3年」という言葉があります が私の場合は27年経っても未だに試行錯誤を繰り返しているという状況です。 3. 「葉を取る」 充実した株を育てるために適度に葉の枚数を調整する事は非常に重要です。 外側の不要な葉や脇芽を取る事により一枚の葉を充実させ、大きくする。私にとって これが現在の最大の課題です。 植え替えの際に思い切って一回り葉を取ってその後にググッと大きくなることを期待 していたり、あるいは育成途中でも不要の葉(ベビーリーフや内側の方が外側より大 きくなった場合の外側の葉)を2,3枚と取っていましたが、そういった処置をして もその後の成長がなかなか期待通りに行かないという事で実は悩んでいました。今年 (2002年11月)の神代植物公園で開催された展示会に出品した株も同様で出来 としては不満足でした。そんな際、いつも素晴らしい株を出される方にお会いして葉 取りの事を伺った所、まさに目からウロコという様なショックを受けました。その方 が仰るには「1ヶ月に2枚以上の葉を取ってはダメ」というものでそれ以上一時に取 ると成長が止まってしまうというものでした。展示会以降、新たに挑戦している株に ついてはこの点を考慮して葉取りを進めて行きたいと思います。 4. 「つぼみ取り」 これは一般的な方法ではないかもしれませんが展示会などに出品する事を考えた場合 や夏の暑い時期は思い切って花を休ませています。株元から2〜3センチ上がって来 た時点で付け根からわずかに残し(根本に5ミリ位残すとその脇から2本のつぼみが 上がると言われている)、つまみ取ってしまいます。ただし全部取ってしま うとその後が咲きにくくなる(と言われている)ので1本は咲かせて、あとは展示会 の時期に合わせてとり続けます。つぼみ取りを止める時期は大体展示会の2〜3ヶ月 前でこのいつ止めるかというのは毎年、難しい問題です。早く止めてしまうとターゲット の時期に咲きすぎたりあるいは遅く止めると間に合わなかったりするからです。 もちろん品種によって開花や、花持ちの期間が異なりますのでどれもが同じスピード で行くわけでもありません。 以前聞いた話で展示会に出すと決めた株は苗の時から普通には咲かせず、ある程度の 大きさになってからも1本ずつしか咲かせず、株が展示会に出せる状態になってから初 めて全部咲かせるそうです。そこまで開花を抑制すると咲かせた時は一挙に爆発するかの 様な勢いで花が咲くそうです。苗から展示株になるまで約2年、気が遠くなるような 気もします。 5.「肥料について」 私は個人的に肥料をあげるのが大好きです。真夏以外は1年中、水やりの度に何か肥 料をあげているといっても過言ではありません。アメリカではコンスタントフィード と言って継続して肥料を与える方法が本などにも記載されており、一般的な方法です が、日本のどの家庭でもこの方法を取ることはおすすめしていません。肥料は成長の 補助にはなりますが、不足している要素(水やりや光など)の替わりになるものでは 無いからです。あくまでも栽培環境(光、温度、水など)が整っていてかつ株の様子を 常に見る事ができる場合にのみおすすめします。 肥料の効果というのは即座に現れませんのでなかなか分かりにくいのですが、どの肥料 でも必ず効果があると言えます。ただせっかく与えるなら少しでも効果が高いものが良い わけで私が肥料を選んでいるポイントを書いてみたいと思います。 有機肥料と化成肥料 この二つの違いは自然の物から作っているかあるいは科学的に作った物かといった程度 の認識しかありませんでしたが仮ににN−P−K(チッソ−リンサン−カリ)の配合が 同じだった場合どちらが効くのでしょうか?実際に実験をしたことも無ければ科学的な 根拠があるわけでも無いのですが、有機肥料の方が効くような気がしています。 もっとも室内で育てる場合には有機肥料は臭いがあるから…と敬遠される方も多いと思 います。最近では臭いの少ない物も出てきていますので試されてはいかがでしょうか? 液肥と置肥 私は両方を併用しています。液肥は株が好むと好まざるに関わらず、水やりの際に根か ら吸収されていきます。そういう意味では即効性があると言えます。置肥は土に混ぜた り、土の上に置いたりして一定の期間で徐々に吸収されていくといえます。 肥料によっては根から出るコンサンによて溶かしながら吸収されるものもあり、根が 元気な時は吸収も良く成長も良くなるというものもあります。 N−P−Kとミネラル チッソ、リンサン、カリが植物の成長に必要なのは今更いうまでもありませんが、 最近の肥料はビタミンやミネラル、カルシウム、オリゴ糖などが入ったものも多く 登場しています。私が使う肥料はほとんどの場合、N−P−K以外の物が入っている 肥料を選んでいますがそれは植物にとって「おいしそう」だからです。 日本の場合、水や土に含まれるミネラル分が少なく、そういった微量要素が多く含まれ た欧米の株とは葉の色が明らかに違っていますので、少しでもそうしたものを補う様に しています。 では実際にどんな肥料を与えているか?ということで我が家にある肥料を書いてみたいと 思います。当然ですが一度には使えませんので株の様子や気分で変えています。 液肥(順不同) ・ アルゴフラッシュ 一般草花用、ミネラル分が多く、肥料の純度が高いため、肥料負けが少ないと言われ、 規定希釈倍数で与えている。 ・ ピーターススペシャル アメリカで定番の肥料ビタミンも含まれている。 20−20−20 いわゆる苗用。ミニ、斑入り以外であれば成長株にもあげている。 12−36−14 常時花を咲かせる場合や、展示会前に続けて使う。 5−50−17 斑入り葉などに葉面散布で使うと良いと言われているが、その他展示会3ヶ月位前 に2回くらい続けて与える事で一挙に花をつけるためにも使う。 ・ ハイポネックス+α 名前の通り、+αとしてミネラルを含んでいる。 ・ シュルツ アメリカでは古くから使われ別名セブンドロップス(7滴でOK)と言われている。 近年、セントポーリア用も出ている。 ・ ダイナグロー(DYNA−GROW) 花用、観葉植物用など各種出ているがどの配合の場合でもミネラルが入っているのが特徴。日本では販売されていない。 置肥 ・ 多花 ミリオン、溶性リン肥、海鳥のグアノが入っている。 リンサン、ミネラルが多い。根が丈夫になり、花色、花つきが良くなる ・ タケダガーデニングエード(花用) N-P-Kの中ではリンサンが多く、他にカルシウムが多く入っている。一時に溶けず効果的。 ・ タケダベジタブルエード(野菜用) N-P-Kの中でチッソ、カリが多く株の育成に効果的。カルシウムが多く入っている。 * タケダのエードシリーズはそれを置いてから1,2ヶ月後の成長が著しく、抜いて みると置いた所に根が集中していて驚かされた。 ・バイオゴールド元肥 特に苗から成長期に置いている。上記タケダベジタブルエードとどちらかを 使っている。有機肥料であるが臭いが少ない。 その他 ・ メネデール 植え替え時など株が弱った時や葉差し、脇芽を差すときに使う他、成長期に 液肥に混ぜて使用。メ(芽)、ネ(根)デール(出る)というネーミングの通り 効果的。 ・ スーパースライブ ビタミンの他、植物ホルモンを含む。成長スピードが早くなる活力剤として使う。 但し、使いすぎると徒長したり、その後の花つきが悪くなったりするので注意が必要。 ・ HB−101 天然成分でできた活力剤。株を丈夫にし、虫や病気がつきにくくなると言われている 6. 「消毒」 消毒については賛否両論があることと思いますが私は基本的に月に1度、実施してい ます。というのも明らかな症状が現れた時には既に葉の形成に影響を与えてしまう ので予防というか初期の駆除という意味で定期的に実施しています。栽培者の中には 症状が出てからでも充分ということで、特に新しく株を入手したときなど以外はやら ないという方もいらっしゃると思いますし、継続してやることで耐性(薬が効かなく なる)がつく事を心配される方もいらっしゃいます。もちろんそういった事も考えら れますし一つの薬が全てに効くわけではないので結果として色々な薬剤を使う事にな ります。また、室内ですので薬剤の臭いが気になる場合もありますが、私の場合、 平日の昼間は誰もいないので朝、消毒をしてから出かけてしまうのであまり気にして いません。 薬剤も色々なものがあり、また天然素材のものもありますので順々に使っていると あまり耐性もつかないのでは?と思っています。現在、我が家で使用しているものを 書いておきます。 アクテリック ワタカイガラなどに効果がある殺虫剤。 サプロール 殺菌剤。バラなどに使われるもので範囲が広い プレビクール 殺菌剤 オルトラン スリップスに効果がある殺虫剤。たまに使う程度で粒剤を使用。 モスピラン 範囲が広い殺虫剤。粒剤を使用。 ダブル乳剤 ケルセン乳剤と同様の効果。シクラメンマイツに効果がある殺虫剤。 ファイサン 殺菌剤 碧露 漢方薬、天然のものから作られている。殺虫効果がある。 ニームオイル ニームツリーから作られた殺虫剤 スプレー式殺虫剤。マシン油 マラソン粒剤 アメリカ製なので入手が難しいが範囲が広い殺虫剤。 その他、食器用洗剤を使う時もあります。膜が虫を窒息させると言われている。また、 殺菌効果もある。 (目次に戻る)