「シャンタスプリング」(2003.11.9) シャンタスプリングはイギリスのRP.Hair氏作出の黄花の品種です。 この品種は1996年頃にイギリスのチェルシーショーで発表され、 当時、アメリカで「イギリスで凄い黄色い花ができたらしい」と噂に なりましたが、イギリスの誰が作った品種かは不明でした。 と、いうのはイギリスではセント熱はアメリカや日本ほど高くなく、 ほとんど交配家もいません。そのため新種ができてもAVSAに登録する と言った事はせず(イギリスとしては園芸本家としての自負があり、 アメリカに登録する必要性がないというお国柄も関係しています・・・)、 そのままイギリス国内での販売となっていました。 1997年に私がイギリスのキューガーデン、アフリカンバイオレット センターを訪ねた際に、シャンタスプリングの話を聞き、アフリカン バイオレットセンターの方がHair氏のナーセリーを教えて下さり、 そのまま訪ねたのですが、ちょうど日曜で定休日にあたり、実際に お会いする事ができませんでした。 ここ数年にようやくアメリカの生産者達の所に手に入り、入手が容易に なったため、日本にも入って来ました。 「エルトロシュープリューム」(2003.11.10) セントポーリアの染色体は通常は2倍体ですが、シュープリューム の品種は4倍体のことです。 4倍体の株の特徴は成長が遅い、葉が肉厚になるといった特徴があ りますが、同時に葉や花が大きくなります。葉挿しなどで増やす場合 でも時間がかかります。 セントの場合のシュープリュームは自然による突然変異でできたも のと言われていますが、絞りの花が一色になる、縞になる、フリル葉が プレーンになるといった変異=スポーツとは別に区分されています。 (スポーツは染色体が変わったわけではないので。) このため4倍体になったものは「エルトロスポーツ」ではなく 「エルトロシュープリューム」として「4倍体」と分かるようになって います。 シュープリュームになっても固定するものは少なく、その中でも エルトロシュープリュームは古い品種です。花は濃いピンクのダブル、 フリルでグリーンエッジの花ですが、成長が遅いためじっくり、育てる しかないと思います。 日本で他にシュープリュームとして有名なものは「ブリザードシュ ープリューム」がありましたが、今、お持ちの方は少ないかもしれま せん。 *2倍体と4倍体について(解説補足:れぷれさん) 2倍体:自然界における普通の生き物は遺伝学用語では2倍体。 通常、植物の細胞は両親に由来する2セット(例えばタバコ では24本の染色体を2セット持っているので48本)を持っています。 4倍体:植物が子孫を残すために配偶子(生殖細胞)を作る場合、 減数分裂を起こし、染色体の数が半分になります。この配偶子と 別の個体の配偶子が出会って、両親の性質を受け継いだ新しい個体が 生まれます。しかし稀に、減数分裂が起こらず染色体が2倍(2セット) のままの配偶子が出来ることがあります。この配偶子同士が出会うと、 通常の固体の2倍の染色体を持った4倍体が生まれます。 楽品(コルヒチン)処理によって倍数体を人工的に作ることも行われて います。 (セントポーリアの場合はは自然にできたんだろうと思われます。)エルトロシュープリューム(画像提供:s.Hirumaさん)