第三新東京市にある総合レジャーランド”ネリマワールド”
その中を、3人の女の子が歩いている。
「はぁ〜〜〜。何かヒマね〜〜〜」
「何言ってんのよ。あんたが暇だって言うからこうしてネリマワールドに遊びに
来てんじゃないのよ」
「そうよ。私たちも来年からこの街で暮らすんだし、下見を兼ねてみんなで遊びに
行こうって事になったからこうして遊びに来てんじゃないのよ。それなのになに
愚痴ばっか言ってんのよ」
「だってさ。せっかくの日曜日、しかもこんないい天気なのに女だけで
出掛けてもね〜〜〜」
「あんた、ケンカ売ってるわけ?」
「そんなに言うんだったら、言い寄ってくる男の中から適当に選べばいいじゃない
のよ。あんたもてるんだから」
「いいのがいないから選んでないのよ。どうでもいいヤツとなんか遊びに行きたく
ないもの」
「贅沢よ」
「そうそう」
「はぁ〜〜〜。どこかにいい男いないかしらね〜〜〜。
中学に入ったって望み薄そうだしね〜〜〜」
ドン!
「きゃっ!」
「うわっ!」
「いったいわね。ちゃんと前見て歩きなさいよ」
「あ、ご、ごめん」
「ちょっと、言いがかりは止めなさいよ! あんたがぼーっと歩いて
んのが悪いんじゃないのよ!!」
「碇くん、大丈夫? どこもケガしてない? 骨折れてない?」
「うん、僕は平気だよ。ありがとう綾波。それとアスカ、僕もうっかりしてたし
そんなに言わなくても……」
「甘い!! シンジは甘過ぎるのよ!! こういう傲慢な女は一度
痛い目にあわせないと駄目なのよ! それがこの女のためでもあるのよ。
シンジは少し黙ってて。いい? とにかく……ん? ちょっとあんた、
何ぼーーーっとしてんのよ! 私の話ちゃんと聞いてるの!?」
しかし、アスカが食ってかかっている少女は全くアスカの方を見ていなかった。
その目は、シンジをじーーーっと見つめている。
「……いい」
「はぁ〜〜〜?」 (アスカ)
「よし、合格!!」
「んな!?」 (アスカ)
「!! ……」 (レイ)
「え?」 (シンジ)
「ちょ、ちょ、ちょっとメグミ、何言ってんのよ?」
「すいません、私たちがうっかりしてたんです。すいません」
「な、何よ二人とも。離しなさいよ」
「いいからあんたは黙ってなさい!!」×2
少女AとBは二人掛かりでメグミと呼ばれた少女を取り押さえている。
「? ? ? ?」
シンジは何が何だか分からなかったが、レイとアスカは女のカンで危機を感じ取り、
(というかシンジ以外は普通分かる)シンジの手を取り引っ張っていく。
「え? ちょっと二人とも、どうしたの?」
「碇くん、行こ。次は何に乗る?」
「そうそう、せっかく遊びに来たんだから、こんなとこで油売ってる暇なんてない
でしょ」
「? ? あ、ほんと。ごめんね、じゃあ」
一度だけ振り返りそういうと、シンジは二人と共に去っていった。
「ちょっと二人とも、どうして私の邪魔するのよ! せっかくいい男
見つけたのに!」
「あんたね、ちょっとは常識ってもんを身に付けなさいよ。どう見たって今の三人、
デート中じゃないのよ。それに声掛けるつもりだったわけ?」
「そんなの分かんないじゃないの。単に仲の良い兄弟かも知んないじゃないのよ」
「……無理がありすぎるよそれ。でも今の二人……特徴的な赤い目に青い髪、
赤……金髪? のロングヘアーに青い目。あんな綺麗な人初めて見た……」
「私もそう思う。ほんとに綺麗な人っているのね〜〜〜。羨ましいな……」
「あんた達、そういう趣味があったわけ〜? 同性なんかに興味無いわ。私が興味
あるのはいい男のみ。さっきの二人の会話を総合すると、碇シンジって名前みたい
ね。ぜぇ〜〜〜ったいに私のモノにしてやるんだから!」
「……名前しか分かってないのにどうやって?」
「う……。な、何とかなるわよ」
「ストーカーにでもなるってーの?だいたい、この近所に住んでるかどうかだって
分からないじゃないの」
「う」
「そうそう、そもそもあんな綺麗な人が二人もいるんだし、どっちかと付き合ってる
と考えるのが自然よ。諦めなさい」
「うーーーーーー。だから、今の三人はきっと兄妹で……」
「だから、それは無理があるって……ん? 少女A、どうしたの?」
「うん、何か今の三人、どこかで見た事があるような気がしてるんだけど……」
「何? 何か知ってるの? さー知ってる事を洗いざらい吐きなさい。それがあなた
の身のためよ。さー吐け!」
「あのね、それが人に物を聞く態度なわけ?」
「やーねー、冗談に決まってるじゃないの」
「……目の奥に本気を見たんだけどな……」
「気のせいだってば。で、何を知ってるの? 教えて」
「……何か、喉が乾いちゃったなぁ〜〜〜」
「……いい度胸ね」
「やーねー、冗談に決まってるじゃないの」
「で、ほんとにどこで見たの? 教えてよ、お願い」
「最初からそう言えばいいのに……。えーと確か……」
そう言って少女Aは鞄の中を探す。
「あ、あったあった。ほら、今度私たちが入学する中学校のパンフ。その表紙が今の
三人の写真なのよ」
「ほんとだ。……で、何であんたがこんなもん持ってるわけ?」
「ほら、うちの父さん学校の先生だからこういうのは早く回ってくるのよ。で、私に
くれたの」
「なるほど。……で、何でそんなものわざわざここに持ってきてるわけ?」
「二人に見せようと思っただけよ。決してご都合主義じゃないわよ。信じて」
「……誰に向かって言ってんだか……。まぁとりあえず見せて。なになに、表紙
のモデルは第三新東京市立第二中学校二年A組、碇シンジ君(十四歳)とその他か。
良かった、今二年って事は一年は同じ学校にいられるんだ」
「露骨ね」
「表紙に載るくらいなんだから学校でも公認のカップルなんでしょ。諦めたら?」
「フッ……私の若さと美貌をもってすればあんな年増の二人くらい目じゃ
ないわ」
「年増って……二つしか違わないじゃないのよ」
「二歳の差は大きいわ」
「でも、この碇って人も二つ上よ。男は年増じゃないの?」
「問題ないわ」
「……自己中心的ね。ところで、私たちって少女AとBでしょ、名前無いの?」
「一話キャラの辛いとこよね」
「はぁ〜〜〜」×2
溜め息をつく少女AとBの横で、メグミは甘い中学生生活を思い浮かべていた。
「フッフッフッ……完璧な未来が見えてきたわ。待っててね碇さん、
私があの年増二人から救い出してあげるから。フッフッフッフッフッ……」
「はぁ〜〜〜」×2
結局この後、帰宅するまでメグミは一人燃え上がり、その横で二人が溜め息を
つき続けたという……。