注意! この小説は精神を汚染する可能性があります。ATフィールド全開でお読み下さい。











作:尾崎貞夫


後編



「シンジ、何やってんのよ、早く起きなさいよ」

「ん……おはよう、アスカ」

「珍しく目覚めがいいわね……私、今から朝シャンするから、朝御飯よろしくね」

アスカは階段を降りていった。

シンジは身体を起こし、下に降りていった。

「朝御飯……ね」シンジはたどたどしい手つきで、お湯を沸かし、固形状の味噌汁の元を放り込み、
冷蔵庫から、ネギを出して、刻み始めた。

「痛っ」シンジは人差し指の第二関節の下を切ってしまい、口の中に含んだ。

数分後には、味噌汁と、御飯と漬物が食卓に並んでいた。

「ふぅ〜さっぱりした」アスカはバスタオルを身体に巻き、ハンドタオルで頭を拭きながら風呂場から出て来た。

「ねぇ、アスカ……どうしてそんな格好で出て来るの?」

「そ、そんなの私の勝手でしょ……何よ」

「いや、何でも無いよ」

「シンジのえっち」アスカは舌を出した。

「奇麗になったね……」シンジはぼそっと呟いた。

「な、何よ……あんた何か悪い物でも食べたんじゃない?」アスカは顔を真っ赤にして言った。

「ほら、早く服着ないと風邪引くよ」

「わ、わかってるわよ」アスカは風呂場の横の脱衣所に戻っていった。

「可愛いね……アスカ」シンジは笑みを浮かべた。


その夜……

「シンジ、晩御飯出来たって」アスカが電話を置いて言った。

「取って来るよ」シンジは立ち上がって、家を出た。


「今晩は」シンジは玄関を開けて中に入った。

「ほれ……おまたせ」大き目の盆を持って老婆が現れた。

「それじゃ、頂いていきます。」シンジは老婆に背を向けた。

「ま、まさか……」老婆はシンジの首筋に僅かに残る傷痕を見て呟いた。


深夜……

バァーン

アスカは、響き渡った銃声で目を覚ました。

「ん……何よ」

「アスカ!大変だ!早く来てくれ!」
シンジの叫び声を聞いて、アスカは飛び起きた。

「ど、どういう事なの?」アスカは寝間着姿で階段を駆け降りた。

「確か、こっちから声が……」

アスカは玄関から裸足のまま飛び出した。


「早く!アスカ!もう、もたない!」シンジの掠れるような声が聞こえて来た。

「シンジ!どこよ」アスカは、シンジの声が聞こえた、老婆に入るなと忠告された棟に恐る恐る入っていった。

「早く!こっちだ!」シンジの声のしたほうを振り向くと、地下への階段が開いているのが見えた。

アスカは階段に向かって走っていった。

途中でガラスで足の裏を切ったが、アスカは階段にたどり着いた。

階段の下では、ランプが横倒しになっており、シンジが必至になにかを手で押さえているのが見えた。

「どうしたのよ、シンジ!」
アスカは階段を駆け降りた。

「ひっ」

足元に、老婆の死体が転がっているのに、気づいてアスカは悲鳴を上げた。

老婆は、猟銃を手にして事切れていた。
首筋は真っ赤になっており、首を絞められた跡が見えた。

地下に鉄格子があり、それを誰かが叩いているのに、気づいてアスカは戦慄した。

「この中に、廃棄した、実験動物がいるらしいんだけど、扉を壊して、その人を殺してしまったみたいなんだ!
 叫び声に気づいて追いかけたんだけど・・・首を絞められてて・・必死になって、扉の向こうに追い込んだんだけど・・」
 
「実験動物って何よ・・」アスカは声を上ずらせながらも、シンジの横に降りて来た。

「扉は僕が押さえておくから、アスカはその猟銃で鉄格子の間から、撃ってよ・・もうあまり持たないんだ」

「わ、わかったわ」アスカは老婆の手から猟銃をもぎ取って、鉄格子の間に差し込んだ。

すると、一段と強く、中にいる実験動物が格子を叩いた。

「嫌ぁ〜」
鉄格子の向こうの、笛が鳴るかのような唸り声を上げる、なにかを見て、アスカは恐慌を起こして、引き金を引いた。

格子の向こうにいた、顔を散弾でずたずたにされていた、人のような姿をしたなにかは、
アスカの撃った散弾を腹に受けて、仰向けに倒れた崩れ落ちた。

カチッカチっ アスカは続けざまに引き金を引いたが、すでに弾は無かった。

「アスカ……ありがとう……助かったよ」シンジはアスカを抱きしめて言った。

「シンジ……恐かったよぅ」アスカは猟銃を足元に落としてシンジの胸ですすり泣いた。

「もう……大丈夫だよ」シンジはアスカの耳元で囁いた。

「アスカ……僕は君のことを……」
「シンジぃ」

二人は唇を重ねた。

「嫌っ 何するの」アスカは驚いた。

何故なら、シンジの手が胸に伸びていたからである。

「アスカ……君はこうして欲しかったんだろ?」

「やだ……何言ってるのよ……シンジ」

「あんな格好で僕の前に現れたりして……誘ってたんだろ」

「ちっ違うわ」

アスカは扉の方に下がってシンジから逃れた。

「わかってるんだよ……アスカが素直じゃ無いって事も……僕を求めてたって事も」シンジはじりじりとアスカに詰め寄った。

「今日のシンジ……なんだか変よ」

「そんな事無いさ……さぁアスカ……おいで」

「嫌っ」アスカはいやがったが、シンジはアスカの身体に手を伸ばした。

「嫌ぁ〜」アスカはシンジの肩を両手で突き飛ばそうとした。

だが、アスカの背中を支えていた扉が音を立てて倒れていった。

「きゃっ」アスカは扉の上に倒れてしまった。

「え?」その時、アスカの視界の隅に、アスカの弾を受けて倒れた何かが、必死になって手を差し伸べた。

「嫌ぁぁぁ」アスカは思わずその手を払いのけた。

カチっ コンクリートの床に何かが落ちる音が聞こえた。

差し伸べた手に握っていたのだろうか、プラスチック製の指輪をアスカは見つめていた。

「嘘よ……なんで……あれはシンジと交換した指輪じゃない……まさか」

その時、倒れていた何かは、自分の血を使って、己の指で何かを描いた。

アスカ…… と書き終えた次の瞬間に、その手は動きを止めた。

「嘘!嘘でしょ」アスカは思わず倒れたなに者かの方に這って行った。

顔はぐしゃぐしゃになってはいたものの、首筋のホクロを見て、アスカは声にならない叫び声を上げた。

「おやおや、気づいてしまったのかい? 知らなければ、君は幸せでいられたのにね……」

シンジが・・いや、シンジの姿をした何者かが、部屋の中に入って来た。

「あ、あんた誰よっ!」アスカはシンジの姿をした者に向かって叫んだ。

「僕かい?僕は生まれてからずっと、この地下牢に閉じ込められていた、碇シンジの双子の兄弟さ……」

「え?」

「僕の父、碇ゲンドウが産まれたばかりの僕に何かをしたんだろうね……けど、その実験は失敗したらしいんだ」

「10年前……君とシンジが祖父の葬式に来た時……僕は抜け出して君たちを見にいったんだ……
けど、そこに転がってる、婆あにばれて薬を塗った鞭で、打たれたんだ……ひどい話だろ……まだ傷が残ってるんだ」

「そんな事より、何故私にシンジを殺させたのよっ」

「そんなの簡単だよ……シンジがいちゃ、君は僕のものにならないだろ? 
僕は君の望む、碇シンジになる事が出来るんだよ……アスカ……君を優しく包んでやる事が出来る……
だって……君のことを見つづけてきたんだから……身体はここに縛られてたけど……心までは縛れなかったんだ……
シンジはおまえの気持ちに気づかない……いや、気づいていてもそれを押し殺してるんだ……だから、苛立ってたんだろ?」

「そんな……そんな……嫌よ……シンジじゃなきゃだめなの」アスカは肩を震わせながら言った。

「僕と一緒になろうよ……僕の愛するアスカ……」

少しずつアスカに向かって歩いて来る、シンジの姿をしたものを見て、アスカは絶叫した。





「アスカ、アスカ!どうしたの?」アスカはシンジの声で目を覚ました。

「え?」アスカは布団の上で目を覚ました。

「叫び声がしたから、見に来たんだけど……すごく汗かいてるし……」

「夢……だったの?」アスカは身体を起こして言った。

「恐い夢でも見たの?」

うん……」

「ほら、タオル持って来たから、汗を拭けばいいよ」

「ありがと……ねぇ、あなたシンジよね」

「なに言ってるんだよ、アスカ……僕はシンジ……碇シンジだよ」

「シンジよね……そうよね……シンジ…シンジ」アスカは涙を流しながらシンジの名を呼びつづけた。

「どっどうしたの?……アスカ……」
その時、カラスの泣き声がして、アスカはびくっとした。

「お手伝いのおばあさん、昨夜心不全で亡くなったそうだよ……もしかしたら、それで恐い夢を見たのかも知れないね……それと……」

「なにがあったの?」

「父さんが、強盗にあって、殺されたそうなんだ……今朝電話があったよ」

「叔父様が?」

「うん……僕も天涯孤独になっちゃった……」

「シンジ……」

「けど……アスカがいるし……」

「シンジ!」

「卒業したら……結婚してくれるかい?」

「シンジぃ」

二人は抱き合い、そして……



二人は、ゲンドウの葬式の為に、駅に向かっていた。

「じゃ、券買って来るから……」アスカは券売機に向かって走っていった。

「……奇麗だったよ……アスカ」シンジは内ポケットから、なにかを取り出して、地面に落として、靴のかかとで踏みつけた。

「シンジ! ちょうど、列車が今着いたから、乗りましょ」アスカがシンジに叫んだ。


「うん、わかったよ」シンジはアスカの後を追って走り出した。

シンジの立っていた場所には、プラスチック製の指輪のカケラが散らばっていた。








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こんな訳わからん小説を最後まで読んで下さり、どうもありがとうございました!


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