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■朝日ジャーナルさんご苦労さんでした

朝日ジャーナル1990年12月28日号より抜粋しました。私は創刊号からの愛読者で

最近まで全号捨てずにいましたが、なぜ廃刊に追い込まれたか、最下段、天野祐吉さんの文章と読み比べればその理由が分かります。
かく言う私も12年もたって気がついたのですから、なさけない話です。
朝日新聞の記者と比べては申し訳ありませんが、天野祐吉さんがいかにスゴイか!再認識致しました。
(赤字は私のコメントです、記事とは無関係です)
「原発バイバイ」CM論争初の裁判へ

 電力会社の原発CMは放映するのに、原発に反対(オイオイいきなりそれはないだろ!ここが一番肝心な所だぞ、勝手に決めつけるなよ)する「原発バイバイ」を放映しないのは、「表現の自由」「法の下の平等」を保障した憲法に違反する-(左のハイフォンは記事本文では、もっと長い棒状の線でした、意味不明ですが・・・)瀬戸内海放送(KSB、本社・高松市、加藤芳宏社長)が今年(当時の今年です)七月、CMに「原発バイバイ」の文字が入っているのは日本民間放送連盟の放送基準に抵触するなどとして、高松市栗林町の自然食品販売会社「ちろりん村」=大西光明社長(当時42歳、2002.10.15現在は54歳)=のCMを二回放映したあと打ち切った問題で、「ちろりん村」は12月11日、「憲法違反」を前面に出して、放映再開を求める訴訟を起こした。テレビCMの表現の是非が法廷で争われるのは全国で初のケース。判断いかんではCMの放映基準に大きな影響を及ぼすだけに、全国の放送関係者から注目を集めている。

 問題のCMは15秒間。牛乳パックの回収を呼びかけるナレーションが流れる中、画面に大西社長が作ったビラが映し出される。下のほうに、「原発バイバイ」の六文字が書かれている。

 KSBが放映中止の根拠としたのは、「係争中の問題に対する一方的な主張は取り扱わない」ことを定めた民放連の放送基準九八項。「『原発バイバイ』という表現は明らかにこの項目に抵触するんです。確かに、CMは実際に放映されてしまったが、それはこちらのチェックミス。気づいた以上、そのまま放っておくわけにはいかなかった」と、KSBの内村清輝業務局長は話す。

 これに対し、「ちろりん村」は、「こんな理由では納得できない」と7月13日、CMを契約どおり流すことを求める仮処分を高松地裁に申請。しかし、同地裁は8月10日、「CMが放送基準に抵触するかどうかは、放送局の判断が尊重される」と、申請を却下した。

 この決定に対し、大西社長は「こんなことでは放送局に放送基準の恣意的運用(こんなコムツカシイ表現は出来ないし、したことないよウ!)を許すことになり、表現の自由が脅かされる」として、今回の提訴に踏み切った。「『原発バイバイ』だけを放映中止にしたのは、対立している社会的な問題はできるだけ多くの角度から論ずるよう求めた放送の『公正の原則』(民放連の放送基準四六項など)に違反する。そして、公正の原則は憲法の保障する『表現の自由』『法の下の平等』に基づくものだから、公正の原則に反する放映中止は憲法違反になる」という論理立てだ。

表現の許容範囲に幅

 今回の問題で争点となっているのは、「対立する意見の表現の幅を、それぞれどこまで認めるか」の判断。四国電力の「明日を支えるエネルギー原子力発電」というCMと「原発バイバイ」を比べ、「ちろりん村」側は「前者の表現を認めるなら、後者の表現も許されるはず」と主張。一方のKSBは「後者の表現は、前者の表現よりもきついからダメ」。つまりは「表現の程度」をどう解釈するかの問題で、それはすなわち放送基準の運用の問題ということになる。(天野祐吉さんを参考人として依頼すればよかった!)

 背景には、放送基準の運営に統一的な見解がなく、各放送局がそれぞれに判断しているという実情がある。だから、どこまで表現を許すかの幅に違いが出てくる。実際、ある在阪放送局のCM担当者は、「うちの場合、関西電力に『原子力が電気のベースを支えます』という表現を許している。そうなると、『原発バイバイ』程度の表現は受け入れざるをえない。KSBがこれを受け入れないのは、四国電力のCM表現と比較しての判断ということでしょう。でもこの判断は各局が常に苦心するところなんです」と、放映判断の実情を明かす。

 在京民放のCM担当者は「放送基準の運用が各局で違うのは仕方がない。統一的な見解がないんだから。今回のような問題になったら、放送基準に抵触するかどうかの判断は裁判所でするしかないのでは」。

 いずれにせよ、今回の訴訟が放送関係者だけでなく、表現活動にかかわるすべての人に何らかの影響を与えるのは確か。初の「CM裁判」から目が離せなくなりそうだ。

朝日新聞■■記者 1990.12.28

天野祐吉のCM天気図「原発バイバイ台風」より

暑いからと言って、ダレていてはいけない。

受験生諸君は、今日も熱いナベ焼きうどんを食べながら、明日をめざしてがんばっているのだ。

で、あなたにも、問題を出してしまおう。

[問]次の二つのコピーの違いについて述べよ。

1原発は明日を支えるエネルギー

2原発バンザイ

わっかるかナ。わっかんねえだろうなア。

で、さっそく正解を発表すると、

1は電力会社の姿勢の表明、2は原発賛成の意見の表明なのである。

と言っても、その正解を考えたのは、ぼくではない。

高松市にある「ちろりん村」という自然食品会社と瀬戸内海放送の間で起きているモメゴトから判断すると、

そういうことになってしまうのである。

この事件はもう知っている人が多いと思うけれど、

「ちろりん村」のテレビCMの中に「原発バイバイ」という文字が入っていたことに対して、

放送局側が「この種の一方的な意見広告は放送基準にひっかかる」として放映を途中で中止し、

それを怒ったちろりん村が、「だったら電力会社のCMだっておかしい」と、

CM再開の仮処分申請を裁判所に出して争ってきた事件である。

で、この8月10日に、高松地裁は、「CMが放送基準に触れるとして放映を中止した放送局の判断は尊重される」として、

ちろりん村の仮処分申請を却下した。

「原発バイバイ」が放送基準に触れる意見広告かどうか、その判断をするのは放送局であって、

放送局がそうだと言うならそうなのだ、というのが、裁判所が下した決定である。

ま、この争いは、これから裁判にまで持ち込まれそうだから、最後にどうなるかは、まだわからない。

が、「原発バイバイ」が意見広告なら、「原発バンザイ」も意見広告である。

で、「原発は明日を支えるエネルギー」というのは「原発バンザイ」と同じイミじゃないかと思うのだが、

「原発は明日を支えるエネルギー」なら意見広告にならないという「意見」は、ぼくにはとても奇妙な意見に思えてしまう。

でもまア、エライ人が言うことは、いつだって正しいのである。

だから、これは余計なお世話だけれど、ちろりん村も「原発バイバイ」というコピーを、

「原発は明日をおびやかすエネルギー」と書きかえたらいいと思う。

で、「原発バイバイ」というのを、ちろりん村で売っている商品の名前にすればいいのだ。

そうすれば、まさかCMに商品名を出しちゃいけないとは、だれも言わないと思うけどね。

1990.8.18 天野祐吉

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