グリーンピース交流会レポート


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ちろりん広場とはオーガニック自然書品、無農薬野菜、有機野菜の宅配ちろりん村のボランティア組織です

今回のグリンピース号来訪の始まりは突然でした。まず最初にグリンピースジャパンのキャンペーナーの関根さんという方が高松にやって来て、グリンピースではゼロダイオキシンの世界ツアーの最初の訪問先として豊島を選びました。グリンピース号が豊島の沖合いに停泊して、翌日香川県庁に意見書を提出する予定です。この機会に地元NGO関係者の方達と交流をしたいのですがご一緒しませんか?という様な説明だったと思います。関根さんは年は27才、若干線は細いが頭脳明晰そうな女性です(将来は逞しい女性闘士になるかもしれません)。ちなみにグリンピースでは入社試験があって語学堪能でないと入れないそうです。私みたいな中学生の英語に毛の生えたくらいの語学力ではとても入れそうに無いようです。

地元NGOといっても四国側にはきちんとした受入れ団体はありません。今までは大学の研究室とか、ゼミの生徒、小豆島の協力者、ちろりん広場がそれぞれバラバラな形で支援、あるいは見学に行ったことがあるくらいのものです。地元での支援はほとんどないに等しい状況で豊島住民会議の人達は10数年に渡って孤独な闘いを続けてきました。そんな中で初めて有力な団体のラブコールが海を渡ってやってきたのです。

ところが豊島住民会議の方は事情は複雑です。嬉しいの半分困ったの半分、例え話をしたら不謹慎かもしれませんがこんな情景が頭に浮かびます。長年こつこつと作品を作り続けていた独身の中年芸術家の家に若い娘が結婚をしたいと上り込んでしまった、はて男はどうしたものか困ってしまった。この娘は少々乱暴そうだが明るく希望に輝い見える、しかしかといって男としては今までの人生哲学上簡単に手を出すわけにもいかない。

ダイオキシンの豊島が世間に広まれば島の産業にとっては死活問題になるというのが住民会議の方のご意見です。しかしグリンピースの支援はこの問題の解決に大きなインパクトとなるのは間違いない。そこでちろりん広場では、はるばる海を渡って来る客人達を地元NGOとしての立場から歓迎しようということになりました。

色々仕掛けを考えて予算は15万、お金はありませんが智恵をしぼって作戦を練りました。まず最初に「クジラ」というのがひとつのキーワードになりました。これは結構意味が深いんです。欧米ではクジラ保護が環境保護の代名詞になっていますが、日本ではそういう意見ばかりではないと思います。

グリンピースはクジラ捕鯨にたいしては猛烈に抗議しています。しかし私は個人的にはクジラを食べるのが大好きです。うちの奥さんは高知県の室戸市出身で、実家へ里帰りに連れて帰る時には良く食べさしてもらいます。室戸では年末には魚屋さんでクジラの頭を飾ったりするそうです。小学生の学校給食で定番メニューだったクジラのタツタ揚げはいまでも忘れられない味です。一つの文化としてクジラを体験している私にとってクジラ捕鯨にメクジラ立てるのは納得がいきません。でもゼロダイオキシンというところでは彼らは同じ仲間です。最初はそういう欧米の過剰なクジラ保護に対するアンチテーゼの意味合いで白骨のクジラをという意見がありましたが、最終的にはかわいい親子クジラになって登場しました。このクジラは7/4日グリンピース号が高松沖に現れたときに浜辺で出向かえるオブジェという設定です。全長30メートルでビニールシートを5枚つないだものにペンキで絵を描いたものです。制作は会員さんで日本画家でもある銅童氏に依頼しました。沖合い400Mほどに停泊したグリンピース号のクルー達にははっきり見えたことだと思います。

もう一つの仕掛けは「那須シズノ」さんによる「天のウズメ舞い」です。クルー達の顔ぶれを見るとまさにインターナショナルです。スゥエーデン、ユーゴスラビア、ロシヤ、イギリス、アメリカ等こんな多国籍軍にはやはり一番ジャパニーズなものが喜ばれるだろうということで、巫女舞いを船上でプレゼントすることになりました。これは受けましたクルー達も大喜びでした。那須さんに「西原さんも前座で一踊りして頂戴!」といわれたので私もその気になって伴奏の太鼓までたたいてしまいました。グリンピース号のクルー達の中には女性スタッフも何人かいました。私が2才になる息子を連れていってたんですが非常に喜んでいました。子供のアクションに対する彼女達のリアクションを見ながら、この人達は本当に大きな母性を持った人達だなあと強く感じました。

7/4日はグリンピースが意見書を香川県庁に提出するので私達も一緒に行進しました。浜辺から県庁までの道のりを徒歩で約1時間高松の商店街を抜けて県庁までのコースです。参加者はちろりん村の会員さん達、四国学院大学のアフリカンリズム発展プログラムの三宅くん、パフォーマーの村井君はアフリカン太鼓のザンベを叩いてます。香川大学の安達君、小豆島の富田先生、「女性を県議会に出す会」の真鍋婦人、オリーブコープの小倉さん達は自分達の作ったチラシを道行くひとに手渡しています。古本家の太田さんはきれいに書いた横断幕を二つも用意しています、会員のヒゲの山下さんは拡声機でアピールしています(この二人を私は古い人達と呼んでいます、昔はバリバリ鳴らした人達なのでこういう時は非常に心強い)。のべ50名とグリンピースジャパンのキャンペーナー3人。後ろの方には事務長の大西佐和子さんと娘の晴子ちゃんの顔も見えます。ああそれから遅れて駆けつけたのはちろりん村へ入社希望の女子大生矢野さん、高校生のお兄ちゃんまでついてきました、まあなんという組み合わせでしょうか、面白いなあ!

県庁に意見書を提出したグリンピース一行はそのあと県庁記者クラブで記者会見をして、次の寄港地大阪へと旅立ちました。非常に喜んで帰って行きました。彼らはこの豊島のゴミを撤去することを厚生省や、世界に呼びかけることを約束してくれました。世界的な流れは今、サステナブル(持続可能)な社会の創造へと向かっています。その一方の先端にいるグリンピースの人達が豊島のゴミ問題について取り組むことは問題の解決に大きな力になることは間違いないと思います。しかし結局は自分も当事者のポイントに立ち、日々ダイオキシンを海に垂れ流す行為を本気で止めささないことには問題の解決にはならないと私は感じました。それは私自身の存在基盤を守ることとイコールだからです。 (文責 西原恭次)

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