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島外撤去譲れぬ

病室で文案
京都市上京区の病院。1995年12月20日、糖尿病治療のため入院していた五階の病室で、弁護団長・中坊公平はペンを走らせていた。翌日に迫った第7回調停で、公調委に提出する解決に向けた住民側の要請書の文案だった。

見舞をかねて事前に打ち合わせに来た申請人代表、安岐正三と浜中幸三(土庄町議)に「こんな感じやけど」と示された主な内容はこうだった。

現場に放置されている全ての産業廃棄物を速やかに島外へ完全撤去し、処理業者「豊島総合観光開発」(豊島総合)が投棄を始めた75年以前の状況に復元すること。この要請は公調委の示した七つの解決案のうち、第二案(島外撤去し、島外の管理型処分場に中間処理して埋め立て)と第三案(島外撤去し、島外の遮断型処分場に埋め立て)を含む趣旨である。

さらに撤去と原状回復は国の指導のもと、非申請人ら(県、排出業者、豊島総合)の共同責任で行い、費用は全て非申請人の負担とする。公調委は権威と存在価値が問われている。全力を尽くして関係者を説得し、早期に調停が成立するよう努力してほしい。

浜中は「入院しながら、私たちのために一生懸命書いてくれた。感謝、感激、気の毒という三つの言葉が浮かんだ」と振り返る。

要請書にはこの本文のほか、注釈もつけた。

<完全撤去と原状回復は平和で美しい島を取り戻すのに必要不可欠。住民には全く過失がない>

<捨てる発想ではいかに高くつくかを全国民が実感し、リサイクル社会へ転換するためには多額の費用がかかってもやむを得ない>

<都市から過疎地へのゴミの一方通行を打破し、過疎地から都市へゴミを運び出す方向を真剣に検討すべき>

<産廃行政は国の機関委任事務。国も無関係でなく、費用負担を考慮すべき>

弁護団の岩城裕は「それまでは1〜6案が検討に値するといっていた。事前の弁護団会議では、そこまで明確な方針を出すべきか、意見が分かれた」と打ち明ける。

だが、77年の豊島総合を相手取った産廃処理場建設差し止め訴訟以来、安岐とコンビで戦い続けてきた浜中は「撤去と言えばいいんじゃないですか」と言い切った。大原則を崩すと、収拾がつかなくなると思って出た言葉だった。

中坊も同月10日に豊島で開いたシンポジウムで、過疎地の住民やパネリストの声を聞き「豊島の訴えは住民エゴではない。国民的課題である」との確信が生まれていた。始めて、国の責任にも踏みこむことにした。

意思統一
意思統一は出来た。中坊は「筋を通し、歴史的批判に耐えうる解決を目指して、当初の主張通り、島外への完全撤去を要請書に書き込み、病院から総理府へ「出勤」、第七階調停で表明した。

県側は「主体となって撤去計画を示すことは困難」という姿勢は変えず、公調委との事前折衝では一行に進まない排出業者の意見聴取などを強く要請。引き続き、連帯して解決する方策を探った。

第七回調停では、県としての意見は述べず、住民側には公調委から「環境行政を担当する立場から真摯な態度で臨みたい」という県の見解が伝えられた。

県の要請を受けた形で、公調委はこの日、21社の排出業者がそれぞれどのくらいの産廃を捨てたかの資料提出を住民、県、豊島総合に求めた。その後、各業者を個別に呼び、問題に関与した度合を五段階位に分けて、責任の割合を探っていく方針を明らかにした。

調停は最終局面に向け、大きく動くかに見えた。 (敬称略)

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このページは、 1996.7.20 にアップデートされました。
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2002.7.22