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県、自ら動かず

第一回調停で「廃棄物対策豊島住民会議」の弁護団長、中坊公平(66)が感じた壁とは「県のかたくなな態度と公害等調整委員会(公調委)の説得活動不足」だった。

調停の非公開原則から、県関係者の口は重い。この日のやり取りを前環境保健部長山下賢一(58)(現環境保全公社副理事長)は「答弁書に沿い、事実を中心にありのまま、県の立場を申しあげた」と説明する。独自に入手した答弁書によると、その趣旨はこうだ。

住民らは豊島総合観光開発(豊島総合)の、シュレッダーダスト(車の破砕くず)からの金属回収が違法な産業廃彙物の処理で、それを県が知っていたと主張するが、一画的な決めつけだ。

その根拠は「廃棄物とは占有者が自ら利用するか、他人に有料で売ることができないため、不要になったものをいう。これに該当するかどうかは占有者の意思やその性質、状態などを総合的に考え合わせるべき」との厚生省の通知。同社が現実に金属回収を行い、売却もしているとの説明を受けたため、廃棄物には当たらないと判断した。

撤去必要なし
県は定期的に立ち人り調査をし、必費な指導、監督をしており、業者に加坦などしていない。1990年12月、シュレッダーダストが他の産廃と混在、処理のめどが立たない状況になっていることが判明、廃棄物と認定し、撤去を求める措置命令を出した。

その結果、周辺の生活環境に支障を及ぼす恐れば格段に減少したが、93年11月にはさらに万全を期すため、汚水流出防止の止水壁などの設置を求める二回目の措置命令を出した。

措置命令は廃棄物処理法の目的を実現する手段で、それが守られないからといって、県が直ちに撤去する必要はない。県が一時的に肩代わりする行政代執行も、法の趣旨から周辺海域を汚染するなど著しく公益に反する場合に限られる。

県は調停前日、公調委の要請で調停委員らと進行方法などを意見交換。「県が主体となって何かやって欲しい」との求めに、異論を唱えていた。

一方、シュレッダーダストの排出業者の答弁書には「豊島総合が違法な処理をしていたのは知らなかった」「県に問い合わせたところ、合法との回答だった。県が行政責任を全うすべき」などと記されている。

兵庫県のある業者は今でも「香川県が許可したから、豊島に持っていったんや。撤去費用を出す気は全くない。出せと言うなら裁判をせんといかん」と言い切る。

豊島総合から答弁書は出ず、取締役松浦圧助(60)は調停室の外で取り囲んだ報道陣に対し、「撤去する金はないし、産廃を持っていく場所もない」といった。

各々が自分の考えをばらばらに主張。接点のない中、調停委員長、海老原義彦(67)は「互助の精神で調停を進めたい」と切り出したという。

中坊はそれでは調停は前に進まないと思った。海老原に対し「住民に過失はない。実質的な当事者は県。県が親としての態度を示すよう、説得して欲しい」と切々と訴えた。

これに対し、海老原は「時間をかけて、県を説得していきたい」、県からは「撤去の可否も含めて検討したい」との回答があっただけ。

立ちっぱなし
93年11月の調停申請翌月から、住民らは県庁前へ5人ずつ出て、抗議の「立ちっぱなし」を続けていたほか、小豆島へキャンペーン隊を派遣、44人の県議とは一人ひとり面談して、訴えに理解を求めた。

こうした準備に忙殺され、石井亨(36)が夢見た有機農法による養鶏は、管理が行き届かず、ばたばたと鶏が死んで失敗。4月に住民会議議長を引き受ける安岐登志一(66)は、体調が悪いのを押して、調停に出席したが、その後の検査で初期の胃癌とわかり、8月に手術を受けた。

住民らが県から実質的な回答を引き出そうと重ねた行動でも思いが伝わらず、中坊の感想は「全くのセレモニー。あっけにとられた」調停終了後、住民らに向かって「本日の空気は非常に厳しい。楽観は許さない。予想通り、県の態度は硬い」と柔和な表情を引き締めた。(敬称略)

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2002.7.22