「県が撤去に向けて方向転換した」(公調委)「そうは読めない」(豊島住民)
1994.7.1、総理府で開かれた第3回調停は住民、県、処理業者「豊島総合観光開発」取締役の松浦庄助の三者が出席。冒頭、住民らに配られた県の意見書の評価をめぐって紛糾した。その要旨は以下の通りである。
県の基本的な考え方は、県が主体となった撤去計画を示すことは困難。だが、公調委が関係する排出業者などを含め、解決策の検討をしてくれるなら、県として協力できることがあれば、最大限の努力をしたい。
第二回調停で提案のあった専門委員の調査、現状評価は、今後、公調委が解決に向けた具体策を検討し、関係する排出業者、府県などに(処理費用負担などの)関与を求める根拠ともなりうるものと考える。調査実施をお願いしたい。その結果、(放置された産業廃棄物が)周辺の生活環境に重大な影響を及ぼし、それを防止する必要があることが判明すれば、調停の中で撤去の問題も視野に入れながら、今後の対応策を協議していってはどうか。
前環境保健部長山下賢一によると、知事平井城一ら首脳陣との協議でもっとも議論となったのは「主体となった」と「撤去の問題も視野にいれながら」の文言を入れるかどうか。
山下は反対した。「(不起訴になった)シュレッダー業者の扱いを法制面で明らかにしない限り、責任の所在がわからなくなる。意見書は第三者が読めば、県がある条件が整えば撤去すると、とられかねない。責任が持てないなら、入れるべきではない。しかし、調停を進め、環境保全の立ち場で解決しようという趣旨から入った。そのいみでは平井知事の政治決断だった」と説明する。
個別取材お断り
平井は秘書課を通じて「調停の最中なので、個別取材はご遠慮願いたい」住民側は控室に戻って協議した。結論は調停申請人代表の山本彰治や長坂三治の「県の姿勢は基本的に変わっていない」という意見表明。弁護団の大川真郎は「調査は撤去を前提としたものか。重大な影響を判断するのは誰か」と質問した。
これに対し、もと総理府官僚の調停委員長、海老原義彦は「調査は全く新しいもので、撤去費用も含まれる。判断は公調委がする。今回の県の意見書は影に隠れた方向転換と読むべきだ。お役人が書く文章はこういうもの。非常に前向き」と回答したという。
さらに、住民側の要請で県に真意を確かめたという海老原は再度、住民側弁護団長、中坊公平らを呼び、「自分が言った見解について、県は大体それで結構だと答えた」と強調した。
中坊は「私たちにはそうは読めない。読めるというなら、読めるという発表をして欲しい」と食い下がった。弁護団の岩城裕は「中坊先生は第二回調停のように、激してはいない。公調委に文章をださせるための必死の説得だった」と振り返る。
異例のコメント
最後に全員が集まった席で、海老原は異例といえる公調委のコメントを発表。マスコミへの公表も認めたという文章にはこう書かれていた。「県が従来の枠を超えて豊島の産業廃棄物について『過去の問題も視野にいれて検討する』という方向に踏み切ったことを評価する。そこで調停委員としては、本件の適切な解決方策を得るため、専門委員を任命して、科学的、専門的な立ち場から調査、検討を進めたいと考える。豊島をきれいな島にするべく、関係者の説得に最大限努力するので、この方針に申請人、被申請人ともよろしくご協力をお願いしたい」
これまでで最長の4時間以上に及んだ調停終了後の記者会見。
中坊は「県の態度はそれなりの苦渋はあった。いったん出した方針をかえるのは大変。ある意味で撤去の方向が出たのは一歩前進」
山下は「豊島総合、排出業者が同じ土俵に上がり、公調委がご尽力いただけるならありがたい」 平行線だった調停は動いた。しかし、山下は「公調委に意見書の説明は一切していない」という。
海老原はその後まもなく委員を辞任、昨年行われた参院選の比例選で自民党から立候補、当選した。 発表したコメントの真意を確かめようと再三取材を申し込んだが、秘書を通じて「お話しすることはない」と口をつぐむ。(敬称略)
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2002.7.22