ONKYO A-2001
INTEGRATED STEREO AMPLIFIER ¥280,000

1987年にオンキョーが発売したプリメインアンプ。この当時各社から出されていたD/Aコンバーター内蔵型アンプ
で,その中でも最重量級だったと思います。CDプレーヤーのC-2001,スピーカーのMONITOR-2001とともに
重量級モデル揃いのオンキョー自慢の「2001シリーズ」の1台でした。

A-2001の1つ目の特徴は,「光駆動方式パワーアンプ」でした。これは,初段差動増幅器の基準電流を,光起電
力素子の作り出す光エネルギーによって供給するというものでした。通常,差動増幅器は特性の揃ったFETのペア
で構成されており,定電流回路によって一定の動作点で動作しています。この重要な定電流回路は基準電圧が安
定していないと正確な定電流が得られないため,この基準電圧源の安定性が大切になってきます。「光駆動方式」
では,音楽信号による変動成分やリップルの影響を受けやすい基準電圧源にかえて光を照射すると一定の電圧を
発生する光起電力素子から得られる基準電圧を高精度のV→I変換によって定電流化するという方式をとることによ
り,通常の電源から切り離され,電源変動の影響を受けない安定した一定電流を得られ,アンプの安定動作が行わ
れるようになっていました。
パワー部の最終段は,コレクタ損失150Wの大出力トランジスタ4個で構成されたパラレルプッシュプル方式が採
用され,8Ω定格出力150W+150W,2Ωダイナミックパワー490W+490Wという強力なものでした。

電源部は,デジタル回路,アナログ回路それぞれ専用に電源トランスを使用し,相互の干渉を抑えていました。特
に,アナログ回路用には,2次側5系統別巻線の大型のトランスを搭載し,整流回路には,一般的なものに比較し
て抵抗値が3分の1というローインピーダンスなツインロールケミコン8本(計96,000μF)とリカバリータイムの速
い高速整流ダイオードを採用して,強力で安定した電源供給能力を持った電源部を形成していました。

ハイカーボンスティール・リジッドシャーシ

シャーシ部は高剛性・高質量で振動減衰特性に優れたカーボンスティールを使用したハイカーボンスティール・リジ
ッドシャーシを採用し,この強固なシャーシ構造上に電源トランスや増幅回路の基板などを搭載し,外部からの振動
の影響を抑えていました。このシャーシは6点接地構造をとり,アンプ全体の大きな重量をバランスよく分配して,均
等な荷重で安定してセッティングができるようになっていました。さらに,天板にはアルミ押し出し成型の6.5mm厚
のパネルを使用し,上部からの振動の影響も抑えていました。

アンプ内の各ブロック間の干渉を抑えるためのセパレートも入念に行われていました。電源ブロックは筐体内の端部
に配置され,シールド板によって完全に分離,さらに光駆動D/Aコンバーターとデジタル処理回路をそれぞれ電磁シ
ールドされた銅メッキケースに封入して電源部と逆のサイドのセパレートして搭載されていました。そして,パワーブ
ロックは,共振解消構造を持つヒートシンクと一体化してL/R独立してセンターに配置されていました。以上のように
それぞれのブロックは完全分離コンストラクションとされていました。

A-2001は,D/Aコンバーター内蔵型プリメインアンプで,「リアル18ビット・光駆動ツインD/Aコンバーター」を搭載
していました。当時,各社マルチビット主流の時代において,量子化ビット数を16ビットより上位に置くようになり,そ
のような中で,当時,オンキョーは「リアル18ビットテクノロジー」ということで18ビットを実現していました。この18ビ
ットD/Aコンバーターを左右独立で2つ搭載し,位相差の問題を解消していました。フィルター部には,18ビット・4倍
オーバサンプリングデジタルフィルターと高性能オペアンプによるディスクリート構成・5次GIC型アナログフィルターを
搭載していました。オンキョーは,さらに,D/Aコンバーターへのエネルギー供給純度に注目し,定電圧電源から送ら
れてくる電流をデジタルデータで変化させてアナログ信号を作り出すD/Aコンバーターの変換の精度を決める大きな
要素である定電流のクオリティを高める方式をとりました。これを「光駆動D/Aコンバーター」と名付けていました。「光
駆動D/Aコンバーター」では,光を照射すると一定の電圧を発生する光起電力素子から得られるピュアな電気エネル
ギーで定電流源を構成し,他の回路から完全に分離して,電源回路からのデジタルノイズの侵入だけでなく,アース
回路から伝わってくるコモンモードノイズも含めて,妨害成分から徹底して遮断された電源回路としていました。この
ように電気的に他から独立した電源回路から供給される安定した電流をもとに高精度なD/A変換を行う方式でした。
デジタル入力は同軸3,光2の5系統を搭載し,44.1kHz,48.0kHz,32.0kHzに対応していました。サンプリ
ング周波数はフロントパネルのデジタルロック・インジケーターの色によって分かるようになっていました。また,デジ
タル入力されたソースの位相を反転できるアブソリュート・フェイズ・スイッチを装備していました。

リアル18ビット・光駆動ツインD/Aコンバーター

全体の回路構成は信号経路のシンプル化と多機能の両立が図られ,D/Aコンバーターでアナログ変換されるデジ
タル入力とイコライザーアンプを通したフォノ入力,その他のライン入力はすべて同等に「ソースダイレクトスイッチ」に
送られ,(ソースダイレクトスイッチがONならば)ソースダイレクト専用ボリュームを経由してパワーアンプに直結され
るようになっていました。シーリングポケット内には操作多彩な機能が搭載されており,オンキョー自慢のパッシブ素
子のみにより音質への影響を抑えたダイレクトトーンコントロールはTREBLE,BASSに加えCONTRABASSの
3系統が装備されていました。
5系統のデジタル入力,デジタルREC OUT1系統,デジタル・プロセッサー入出力端子,フォノ1系統,ライン4系
統(CD-1,CD-2,TUNER,VIDEO),録再入出力3系統(DAT,TAPE,VCR),アナログプロセッサー入出力
端子,PRE OUT端子,映像入出力各2系統と多彩な機器の接続や多様な機能が実現されるコントロールセンタ
ーとしての設計もなされていました。

以上のように,A-2001は,当時のアンプとして考え得る機能をほとんど搭載した多彩なコントロール部,強力なパ
ワー部,当時最先端のD/Aコンバーターを合体させた強力なアンプでした。オンキョーらしい力強く明るい音を持った
重量級アンプとして印象に残っています。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。 




簡潔な高性能を極めて,
デジタルの可能性を予見する。
◎ダイナミックレンジの広い表現とディティール
 再現能力を両立した光駆動方式パワーアンプ。
◎高水準のスピーカードライブ能力を発揮する
 ローインピーダンスな大型強力電源ブロック。
◎高剛性・制振コンストラクションを実現した
 ハイカーボンスティール・リジッドシャーシ
◎電源部/パワーブロック/アナログ/デジタル部
 を完全独立レイアウトして相互干渉を排除した
 4ブロック完全セパレート・コンストラクション
◎デジタル信号を高精度にアナログ変換する
 リアル18ビット・光駆動ツインD/Aコンバーター
◎全ての音楽ソースをダイレクトに伝送する
 シンプル回路構成とソースダイレクトスイッチ
◎アナログレコードからの信号を高純度増幅する
 MC/MM対応・ハイゲイン方式ハイクオリティ・
 フォノイコライザー
◎リモコンでマスターボリューム遠隔操作可能
 


●主要定格●


定格出力(20Hz〜20kHz) 150W+150W(CD→SP OUT 8Ω両ch駆動)
170W+170W(CD→SP OUT 6Ω両ch駆動)
ダイナミックパワー 6Ω 220W+220W
4Ω 350W+350W
2Ω 490W+490W
全高調波歪率(20Hz〜20kHz) 0.004%(CD→SP OUT 定格出力時) 
0.003%(PHONO MM→REC OUT 3V出力時) 
0.015%(PHONO MC→REC OUT 3V出力時)
混変調歪率(20Hz〜20kHz) 0.004%(CD→SP OUT)
パワーバンドウィズス 5Hz〜100kHz(IHF-3dB  THD0.2% 8Ω)
ダンピングファクター 100(1kHz 8Ω)
周波数特性 20Hz〜20kHz/±0.2dB(PHONO→REC OUT/RIAA偏差) 
2Hz〜100kHz+0dB,−3dB(CD→SP OUT)
入力感度/インピーダンス PHONO MM=2.5mV/47kΩ
PHONO MC=160μV/220Ω 
CD他=150mV/47kΩ
PHONO最大許容入力(0.005%) PHONO MM=210mV(1kHz)/1000mV(10kHz) 
PHONO MC=15mV(1kHz)/75mV(10kHz)
定格出力電圧/インピーダンス 150mV/2.2kΩ(TAPE REC他) 
1V/600Ω(PRE OUT)
映像入出力 1Vp-p/75Ω(VCR他)
デジタル入出力 ELECTRICAL 0.51Vp-p/75Ω
OPTICAL    TOSLINK規準
デジタルサンプリング周波数 32,44.1,48kHz
D/Aコンバーター全高調波歪率 0.002%(1kHz,0dB時)
D/Aコンバーターダイナミックレンジ 100dB
SN比(IHF-A ショート) PHONO MM 95dB(5mV入力)
PHONO MC 77dB(0.5mV入力)
CD他     107dB
トーンコントロール最大変化量 TREBLE  ±8dB(Vol−16dB)
BASS   ±10dB(Vol−16dB) 
CONTRABASS(MUTING OFF/ON時)±10dB(Vol−16dB) 
ミューティング −20dB(VOLUMEセンター以下)
電源 AC100V 50/60Hz
消費電力(電気用品取締法規格) 270W
ACアウトレット UNSWITCHED 2個 合計200W 
SWITCHED    2個 合計200W
寸法/重量 477W×183H×453Dmm/32.0kg
※本ページに掲載したA-2001の写真,仕様表等は,1987年10月の
ONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは
法律で禁じられていますのでご注意ください。                                         
 

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