ONKYO IntegraC-2001
COMPACT DISC PLAYER ¥300,000
オンキョーが1987年に発売したCDプレーヤー。オンキョーのCDプレーヤー史上,最強の1台であるとともに,一体型CD
プレーヤーとして最も重い1台だったと思います。当時,オンキョーが展開していた高級シリーズ「2001シリーズ」の中の
CDプレーヤーとして発売されていましたが,他に発売されたプリメインアンプA-2001,スピーカーMONITOR2001とい
ずれも中身の詰まった重量級の横綱ぞろいでした。

C-2001の最大の特徴は,一体型ながら27kgにも及ぶ重量にありましたが,それは徹底した振動対策のために採用さ
れた「ハイカーボンスティール・リジッドシャーシ」という頑丈なシャーシによるものでした。「TAOC(タオック)」というスピー
カー台でも有名な「ハイカーボンスティール」という材質を使った高剛性で強靱なシャーシの上に,ピックアップメカニズムと
全ての回路をリジッドに固定したもので,外部からの振動を遮断することはもちろん,ディスク用モーターや電源トランスなど
の内部部品からの振動も効果的に吸収する働きをしました。さらに,シャーシの下部は6点設置構造として重量バランスの
均一なセッティングを保証するようになっていました。ここで用いられた「ハイカーボンスティール」は,組成が片状結晶が重
なった構造をしていて,振動エネルギーを内部エネルギーに変換して吸収してしまうという特性を持つため,金属としては異
例の大きな制振能力を持った合金で,振動排除に適したシャーシを構成することになりました。


 

C-2001のD/Aコンバーターは,オンキョー自慢の「リアル18ビット・光駆動ツインD/Aコンバーター」を搭載していました。
変換精度を高め,半導体ノイズ等によるマスキングのため失われがちだった下位ビットを取り戻そうと,当時,各社マルチビ
ット主流の時代において,量子化ビット数を16ビットより上位に置くようになり,そのような中で,当時,オンキョーは「リアル
18ビットテクノロジー」ということで18ビットを実現していました。この18ビットD/Aコンバーターを左右独立で2つ搭載し,位
相差の問題を解消していました。フィルター部には,18ビット・4倍オーバサンプリングデジタルフィルターと高性能オペアン
プによるディスクリート構成・5次GIC型アナログフィルターを搭載していました。
オンキョーは,さらに,D/Aコンバーターへのエネルギー供給純度に注目し,定電圧電源から送られてくる電流をデジタルデ
ータで変化させてアナログ信号を作り出すD/Aコンバーターの変換の精度を決める大きな要素である定電流のクオリティを
高める方式をとりました。これを「光駆動D/Aコンバーター」と名付けていました。「光駆動D/Aコンバーター」では,光を照射
すると一定の電圧を発生する光起電力素子から得られるピュアな電気エネルギーで定電流源を構成し,他の回路から完全
に分離して,電源回路からのデジタルノイズの侵入だけでなく,アース回路から伝わってくるコモンモードノイズも含めて,妨
害成分から徹底して遮断された電源回路としていました。このように電気的に他から独立した電源回路から供給される安定
した電流をもとに高精度なD/A変換を行う方式でした。

D/Aコンバ−ター以降のアナログ部には,オンキョー自慢のアンプでの技術が投入され,高性能パーツや強力電源部の搭載
スーパーサーボ方式によるカップリングコンデンサーの排除などが行われていました。
デジタル信号によるアナログ部への干渉を防ぐため,C-700以来のデジタル部とアナログ部を電気的に遮断する光伝送方式
を採用し,300mm長の光ファイバーケーブル5本7系統でデジタル回路とアナログ回路をつないでいました。電源部も徹底した
干渉の排除が行われていました。デジタル/アナログそれぞれに専用の大型電源トランスと低インピーダンスのツインロール
ケミコンを配するとともに,アナログ回路用電源ブロックとデジタル回路用電源ブロック間にシールド板を設けて独立レイアウトし
電源ラインから入る高周波帯域のデジタルノイズも遮断していました。さらに,空間からフラックスとしてアナログ信号に干渉す
る微少なデジタル成分を取り除くために,デジタル回路部はアルミでケーシングされ,アナログ回路部は,アルミケースと電磁
波吸収材による二重のシールドが行われていました。

ピックアップブロックには,合計4個のモーターを使用した高性能メカニズムを搭載していました。特に,ピックアップ駆動部には
リニアモーターを搭載し,高速でスムーズなアクセスを実現していました。曲のサーチにはCDプレーヤーでは珍しくシャトルノブ
を用いたシャトルサーチ機能を搭載し,ノブ一つで前後の曲に自由自在に移動し,サーチスピードをノブの角度で自由にコントロ
ールできる高度な操作性を実現していました。
出力端子としては,ジッター成分を取り除いてデジタル信号を出力するラッチドデジタルアウトプット回路採用の光/電気2系統
のデジタル出力と,可変と固定の2系統のアナログ出力を搭載していました。

以上のようにC-2001は,オンキョー史上最強の1台として,また,一体型としては最重量級のCDプレーヤーとして印象に残
る1台でした。その外観や作り同様にがっしりした岩のような安定感のある音を聴かせてくれました。
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



 
空間のリファレンス
緻密な音場の時空間情報を
羽毛の感触で再現する。

◎最高純度のD/A変換を目標として新開発した
  リアル18ビット・光駆動ツインD/Aコンバーター
◎シンプルな回路構成の高品位アナログ部
◎本格的光伝送と徹底した分離シールドによる
  デジタル/アナログ完全セパレート構造
◎高剛性・制振コンストラクションを実現した
  ハイカーボンスティール・リジッドシャーシ
◎正確な操作性と高い信頼性・耐久性を保証する
  ハイスピードアクセス・リニアモーター搭載
◎光/電気の2系統のデジタルアウトプット採用
◎高度な操作性を獲得したシャトルサーチ機能
◎ピックアップの位置を時間で指定する
 タイムサーチ機能を装備

◎デジタル処理プロセス中でソースの位相を反転
  する”アブソリュート・フェイズ”スイッチ搭載
◎ディスプレイ輝度3段切換
◎出力レベル10段階表示
◎トラックナンバー・インデックスナンバー表示
◎演奏時間(1曲・経過),残量時間表示
◎20曲メモリー,3モードリピート
◎電動式ヘッドホンボリューム

●主要定格●



 
 

型式 コンパクトディスク・デジタルオーディオプレーヤー
読み取り方式 非接触光学式
標本化周波数 176.4kHz(4倍オーバ−サンプリング)
復号化ビット数 18ビット直線
周波数特性 2Hz〜20,000Hz
高調波歪率 0.0015%以下
ダイナミックレンジ 103dB
SN比 110dB
チャンネルセパレーション 103dB
ワウフラッター 測定限界以下(水晶精度)
出力レベル 2Vrms(アナログ 固定,可変)
0.5Vp-p(デジタル 同軸)
−18dBm(デジタル 光)
ピックアップ 3ビーム方式・半導体レーザーピックアップ
外形寸法 477W×142H×427Dmm
重量 27.0kg
※本ページに掲載したC-2001の写真・仕様表等は1987年10月の
 ONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作
 権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をす
 ることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 

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