CDプレーヤーのコーナー

CDプレーヤーは比較的新しいコンポーネントです。
といっても
1982年に初めて商品化され,すでに
その歴史も40年近くに
なります。CDプレーヤー
が登場したときのあの大騒動もずいぶ
ん昔のこと
になってしまいました。技術の進歩の早い分野で
すが
印象に残る名機・銘機も数多くあるように
思います。

 
 
CDP-101のページへ
SONY CDP-101

CDプレーヤーのオリジネーターであるソニーの商品化第1号機です。
そして
多くのオーディオファンが初めて聴いたCDプレーヤーがこれで
はなかった
かと思います。初めて聴いたときは,それまでのアナログ
ディスクと違い,ス
クラッチノイズに悩まされない,立ち上がりの鋭い
音にとにかく驚いたもので
す。今聴くといわゆるデジタルっぽい堅い
音だったのかもしれませんが,とに
かくその衝撃は大きいものがあり
ました。無音からいきなり大音量が出て思
わずスピーカーを見上げて
しまったことを思い出します。
第1号機にして,さすがソニー。今のCD
プレーヤーに負けない洗練された操
作性とすっきりしたデザインには
感心したものです。

CD-803のページへ
NEC CD-803

第1世代のCDプレーヤーの中でソニーとともに非常に話題をさらって
いた1台
です。第1世代にしてNDフィルターと称するデジタルフィルター
を搭載していた
ことが何よりの特徴でした。(デジタルフィルターは当時
珍しかった)音の方も
私が当時聴いた印象では,広がりのある音場感
が特徴で,当時としてはレン
ジも広かったように記憶しています。当時
このCDプレーヤーが欲しくて,県
外の販売店まで試聴しに行ったのを
覚えています。
しかし,何より強い印象を与えたのはそのデザインだっ
たように思います。
第1世代のCDプレーヤーはこのようにディスクを縦
にセットするものが多か
ったのですが,銀色のディスクがくるくる回り,
まるでコンピュータの操作部の
ようなパネルとあわせ,オーディオ機器
離れしたデザインで,さすが,コンピュ
ーターのNECの製品だなあ,と
妙に感心したものです。(確かに現在パソコン
にCD-ROMが搭載され
ていることからもわかるように,CDプレーヤーはも
はやコンピューター
なのかもしれませんが・・・・・)

DCD-1800のページへ
DENON DCD-1800

ソニーと並ぶ国産デジタルオーディオ界の雄デンオンが,1983年,
初めてオール自社開発で発売したCDプレーヤーです。今見ても,
そのクラシカルながら優雅なデザインは美しいと思います。音の方
も,マルチビット型の弱点,ゼロクロス歪みをなくす工夫をしたスー
パーリニアコンバーターを登載するなど,随所にデンオンの デジタ
ルオーディオ技術を感じさせてくれたものです。音の方も,その優美
な外観同様,それまでのCDプレーヤーに比べ,歪み感の少ない音
だったことを記憶しています。

CDP-553ESD+DAS-703ESのページへ
SONY CDP-553ESD+DAS-703ES

ソニーは1984年にセパレート型CDプレーヤーともいえる
CDP-552ESD+DAS-702ESというシステムを発売しました。国産
の中でも,Lo−Dに続いて2番目だったと思います。ここで取り上げた
CDP-553ESD+DAS-703ESはそのマイナーチェンジ機でした。
CDP-553ESDは単体でもCDプレーヤーとして使え,それにD/Aコン
バーターDAS-703ESを加えてグレードアップするという形になってい
ました。ソニーのCDプレーヤーもこの世代からデジタルフィルターを採
用し,メカニズムも新開発されて,音も操作性もぐんと良くなった記憶が
あります。リニアモーターを使ったそのメカニズムは,選曲の早さ,動作
音の静かさとも,当時抜群のものがあり,現在でも高水準にあると思い
ます。セパレート化することにより,レンジがぐっと広がり,特に低音の
支えが別物のようにしっかりしたものになりました。当時,CDプレーヤー
の再生音の枠を大きく広げたと感じました。                                      

DP-80・DC-81のページへ
Accuphase DP-80+DC-81

アキュフェーズ初のCDプレーヤーで,本格的なセパレート型CDプレー
ヤーの幕開けを告げた製品でした。CDトランスポートのDP-80は,上
記のソニーのメカニズムを改良して使用し,選曲のスムーズさと静かさ
はすばらしいものでした。D/AコンバーターのDC-81は何と,従来ICで
済ませていたD/Aコンバーターを,部品一つ一つの精度を追求してディ
スクリートで組んだ凝ったものでした。トランスポートとD/Aコンバーター
の接続には,初の光リンクを採用していました。音の方は,透明感のあ
るしかもバランスのとれた堂々としたもので,当時,そのすばらしさに感
動したのを覚えています。CD5年目の1986年の発売でした。

CDP−R1,DAS−R1のページへ
SONY CDP-R1+DAS-R1

ソニー初のセパレート型専用のCDプレーヤーで,上記のアキュフェー
ズ機発売の1年後の1987年の発売でした。アルミダイカスト製の重
厚なメカニズムを採用し,高精度な読みとり性能を誇っていました。
D/Aコンバーターは,2つのD/Aコンバーターを並列使用した凝った
もので(現在アキュフェーズが採用している方式)あまり知られてはい
ませんが,内部には現在の最新CDプレーヤーに見られるDSPも登
載されていたそうです。両者の接続には光リンクをより進めたツィンリ
ンクを採用し,D/Aコンバーターのクロック精度をプレーヤーに及ぼし,
完全な同期をはかるようになっていました。これら当時のソニーの先
進技術を採用したすばらしいCDプレーヤーでした。音の方は,その
別世界のにじみのない透明感に驚いた記憶があります。
                                             
CD-34のページへ
MARANTZ CD-34

マランツが1985年に発売した普及クラスのCDプレーヤーです。
59,800円という普及価格帯でありながらきわめて音楽的なす
ばらしい音を聴かせ,オーディオファンを驚かせた1台でした。マ
ランツは,ソニーと並ぶCDのオリジネーターであるフィリップス社
との共同開発でCDプレーヤーを出していました。そのフィリップス
の優れた技術が生かされた正に戦略モデルとも言える存在で,
他社をあっと言わせたものでした。このクラスでありながら,4倍
オーバーサンプリングのデジタルフィルターを備え,フィリップス自
慢のスイングアームメカニズムを登載していました。さらに高剛性
のアルミダイキャストシャーシを採用し,この大きさ(320W×90H
×300Dmm)で7kgもの自重を誇り,振動対策もしっかりした,当
時のこの価格帯では考えられないほどの充実した内容を 持った
モデルでした。

ZD−5000のページへ
TEAC ZD-5000

ティアックが1985年に発売した同社初の自社開発のCDプレー
ヤーです。ティアックは今でこそ,エソテリックブランドを筆頭にティ
アックブランドでも優れたCDプレーヤーを発表し大活躍ですが,
本機がその第1歩でした。デッキで優れた技術を発揮していたティ
アックですから,そのメカニズムはノウハウにあふれたものでした。
しかし,何より本機を特徴づけていたのはディザ信号を使った「ZD
サーキット」でした。そのD/A変換部における新技術は,当時,音
のよさと共に話題になったものです。現在でも,この技術は,同社
の高級機にも生きています。

OMS-70のページへ
Nakamichi OMS-70

ナカミチが1984年に発売したCDプレーヤーです。ナカミチの第1
号機でした。カセットデッキの分野で優れたメカニズム技術と録音
再生アンプ技術を誇っていた同社のCDプレーヤは非常に期待の
目を持って迎えられたことを記憶しています。実際,その音は,同
社のデッキに通じる色づけの少ない,鮮明なもので,より高価格の
CDプレーヤーにも負けないものでした。後のカーステレオやコン
ピューターのCDドライブなどの分野での活躍はこの1台から始まっ
たと言えます。しかし,現在ではDRAGON-CD以降,あまり目立っ
た活躍がホームオーディオの分野で見られないことは残念なこと
です。

DAD-001のページへ
−D DAD-001

ローディー(日立)が,1984年に発売した国産初のセパレート型
CDプレーヤー。恐らく世界初でもあったはずです。60万円という
価格にも驚きましたが、当時の水準を超えた自然な音は今でも印
象に残っています。外観と通じるようなどこか暖かい音は、当時好
印象を持って迎えられました。このころの日立はオーディオに気合
いが入っていました。DAD-003などの廉価版のセパレート型を発
売したり、CDプレーヤーのパーツに至るまで自社生産にするなど
意欲満々でした。CD時代を一つの契機にしようとしていたのかも
しれません。その優れた技術は誰もが認めることだったのですが
撤退してしまったのは残念なことです。

CD-1aのページへ
YAMAHA CD-1a

1983年,ヤマハが発売した当時の同社の最上級機でした。ヤマ
ハのCDプレーヤーの第1号機であるCD-1の改良型として発売さ
れ,3年以上のロングランをしたヤマハCDプレーヤーの原器とも
いえる存在でした。その力強く気品のある外観デザインとしっかり
した音は,発売後3年たってもあまり古さを感じさせなかったことを
覚えています。CDにおけるヤマハサウンドを確立した名機といえ
ると思います。

C-1Eのページへ
ONKYO C-1E

1992年にオンキョ−が発売したCDプレーヤー。「QUESTシリー
ズ」と名付けられた一連の製品の一つで,本機以外にプリメインア
ンプとスピーカーがありました。いずれもオーディオ機器然としてい
ないインテリアにマッチしそうなシンプルなデザインと繊細で上品な
音が特徴でした。中でも,このCDプレーヤーの美しいデザインは
ちょっと国産製品とは思えないしゃれたもので印象的でした。あまり
古い製品ではありませんが,気になる1台です。

SL-P1200のページへ
Technics SL-P1200

テクニクスが1986年に発売したCDプレーヤー。アナログプレー
ヤーの名機SL-1200の型番を継承していることからも,このCD
プレーヤーに対する力の入れようがうかがえます。従来のアナロ
グプレーヤーと同様にラックの頂点の位置に置くことを要求する
デスクトップ型のそのデザインは,チューナーかカセットデッキの
ようなデザインのCDプレーヤーが多かった当時,とても新鮮でし
た。プロ機のようなかっこいいデザインと多機能な操作性は好評
をもって迎えられていたことを思い出します。2年後に,D/Aコン
バーターが18ビット化された上級機SL-P1300が発売されまし
た。テクニクスのアナログプレーヤーで培った技術とデジタル技
術が融合した名機だったと思います。

CD-830DSのページへ
NEC CD−830DS

NECが1988年に発売したCDプレーヤー。外観は至って平凡で
目立たないものでしたが ,世界初の16倍オーバーサンプリングデ
ジタルフィルターやデジタルサーボ回路など,デジタル技術のNEC
ならではの極めて先進的な中身を持ち,その音も非凡なものがあり
ました。このころのNECのCDにかける熱意は相当なものがありま
した。知る人ぞ知る隠れた名機だったと思います。

C-700のページへ
ONKYO IntegraC−700

オンキョーが1985年に発売したCDプレーヤー。世界初の「光伝送
方式」を取り入れたCDプレーヤーとして話題になりました。デジタル
フィルターとD/Aコンバーターの間を光ファイバーケーブルで接続す
ることにより,電気的にデジタル部とアナログ部を遮断し,相互干渉
による音質の劣化を抑えようとするもので,当時,その透明感のある
中高域が「光伝送」の威力かということで多くの追随者を生みました。

L-03DPのページへ
KENWOOD L-03DP

ケンウッドが1982年に発売した同社のCDプレーヤー商品化第1号
機です。当時オーレックスと緊密な関係を持っていたことから,共同
開発による製品で,オーレックスのXR-Z90との共通点が多い製品
でした。第1世代機ながらバランスのとれた音質と正確で高速な選曲
が可能な洗練された操作性とデザインなどで高い評価を得ていました。
実は私自身が所有した初めてのCDプレーヤーがこのL-03DPでし
た。何度も試聴を重ねた末選んだ1台でした。その意味でも個人的な
思い入れも強い1台です。

DCD-3500Gのページへ
DCD-3500G

1988年にデンオンが発売した当時の同社のCDプレーヤーの最高
級機。ブラックパネルもありましたが,このウッドキャビ付きゴールド
パネルの高級タイプの本機の方が人気がありました。22kgもの重
量級モデルで,しっかりした振動対策とデンオン自慢のスーパーリニ
アコンバーターによる輝かしく力強い金粉をまき散らすような音は外
観とも一致し,高い評価を得ていました。

C-2001のページへ
ONKYO C-2001

オンキョーが1987年に発売したCDプレーヤー。オンキョーはセパ
レート型CDプレーヤーは作っていませんでしたが,光伝送を早くか
ら取り入れ,内部の電気的セパレート化を押し進めるなど優れた一
体型CDプレーヤーを作っていました。このC-2001は,一体型CD
プレーヤーながら30kg近くあり,史上最も重い1台ではなかったか
と思います。カーボンスティールを用いた頑丈なシャーシと強力な電
源部から送り出される音は,頑丈な岩のようながっしりした音でした。

PD-T09のページへ
PIONEER PD-T09
パイオニアが1991年に発売した一体型の最高級機。1987年に
「ターンテーブルメカニズム」をRD-T07に搭載して発表したパイオ
ニアが,高域限界を引き上げる「レガートリンクコンバージョン」をさ
らに搭載し,各部に贅を尽くして作り上げた高級機でした。しっかり
した構造と電源部などにささえられた堂々とした響きは洗練された
外観とあわせ,同社の最高級機にふさわしいものであったよ うに
思います。

 
DA-07,DP-07のページへ
LUXMAN DA-07,DP-07

ラックスが1987年に発売した超弩級CDプレーヤーシステム。セ
パレート化された筐体は巨大で特にD/Aコンバーターはパワー
アンプかと思うほどでした。これは,各部に物量を投入した贅を
尽くした作りであったことや,独自のD/Aコンバーターを開発して
搭載したことなどによるものでした。ときどきとんでもない超弩級
機を出すさすがのラックスも,これ以降,これほどの凝ったCDプ
レーヤーは出していません。ラックス史上,最強のCDプレーヤー
だったと思います。

※ここに掲載された写真は,各製品のカタログからの
抜粋で,その版権・
著作権等は,各オーディオメーカー
にあります。したがって,これらの写真
を無断で転載等
することは,法律で禁じられている行為ですのでご注意
ださい。
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い
出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp
 
 

メニューにもどる