C-1Eの内部
C-1Eの写真
ONKYO integraC−1E
COMPACT DISC PLAYER ¥180,000
1992年に,オンキョーが発売したトップローディング型のCDプレーヤー。オンキョーはこの年,新しい
コンセプトを持たせた「QUEST(クエスト)」シリーズを相次いで発売しました。従来のオーディオ機器
然とした製品とは一線を画し,インテリアとも調和するような薄型のシンプルなデザインと,音楽を聴く
のに必要な機能に絞り,質を磨いた設計は高い評価を得たことを記憶しています。1992年ですから
あまり古くはありませんが,これからも記憶に残っていく1台ではないかと思っています。

C−1EのDAコンバーター部は当時の最高レベルのD/A変換を追求したものでした。FPCS(Fine 
Pulse Conversion System)と名付けられたD/A変換部は,ONKYOカスタムの高性能デジタル
フィルターであるSM5843Pを核として,フィリップス製のSSA7350とTDA1547(DAC7)×2を組
み合わせた贅沢な構成でした。オンキョーが開発したデジタルフィルターSM5843Pは,20bit入出力
に対応し,演算手法に画像処理技術を導入して滑らかな補間を実現し,音楽信号の過渡的な信号に
対応したものでした。マスタークロックは,振動に強い棒状水晶発振子を,ポリソ−ブクッションにマウ
ントしたAccu Pulse Quartzにより高い安定性を確保していました。

C−1Eは,薄型の筐体ながら,強力な電源部を搭載していました。電源トランスは,アナログ系,デジ
タル系それぞれ独立して搭載し,電源部はアナログ2系統,D/A変換部2系統,デジタル部,メカ部
ミューティングのそれぞれに1系統ずつの計7系統独立の電源部を搭載し,電源部からのノイズの回り
込みや干渉を防止していました。トランスはオンキョー自慢の超低リーケージフラックス(磁気誘導によ
る干渉が通常のEI型トランスの30分の1という)のLASERトランスで音質への電源部の影響を低減し
ていました。このように,極太ACコードから始まる,余裕を持たせた大型の電源部により,低ノイズ,低
インピーダンスの電源供給が実現されていました。また,表示部にはLEDを使用したスタティック点灯
方式を採用して,表示部からのノイズを防ぎ,ミューティング及びエンファシス信号は,フォトアイソレー
ターによりアナログ信号から分離する設計になっていました。全体として,ノイズによる音楽信号への
悪影響を徹底的に排除する設計になっていたようです。

CDドライブメカは,オープントップでセンターに配置され,複数の共振周波数を持つインシュレーターに
よって高剛性のシャーシに取り付けて不要な共振や外部からの振動をカットする構造になっていました。
また,真鍮削り出しのディスクスタビライザーを兼ねたウェイトーチャッキング方式でCDが固定される仕
組みになっていました。センターのメカを取り囲むようにデジタル信号処理,DA変換部,アナログ信号
処理部を順序よく配置したレイアウトは,見た目にも整然として安定感を感じさせました。

ドイツ・レーダーシュタイン社の高音質フィルムコンデンサ,超低インピーダンス・ハイグレードケミコン,4A
タイプブリッジ整流ダイオードなどパーツにも厳選されたものを使用し,筐体も,フロントパネル部9mm厚
のオールアルミ押し出し成形モノコックシャーシを採用していました。内部に複雑なリブを設けて剛性を上
げ不要な共振を低減した,アルミ一体成形の高剛性,非磁性体構造という凝った作りになっていました。                

このC−1Eは,1992年発売とそれほど古くはありませんが,それまでのオンキョーのみならず国産オ
ーディオ機器らしくないコンセプトとデザインの美しさに惹かれ,心に残っている1台です。音の方も,その
デザインに違わず繊細で美しい上品なものであったことが印象として残っています。同じ「クエストシリー
ズ」のアンプA−1Eといっしょに使ってみたいなと思わせる逸品だったと思います。


 
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 


ピュアという名の音が聴こえる。
・・・インテグラC−1E


◎設計思想は,どこまでも音質最優先。
  CDプレーヤーは,もうここまで到達しました。
◎世界最高レベルのD/A変換を実現したFPCS。
◎ノイズによる音楽信号のよごれを徹底的に排除。
◎センター配置の高音質オープントップ・メカ。
◎信号の流れを重視したコンストラクション。
◎高音質のために厳選されたパーツ。
◎高剛性・非磁性体オールアルミ・モノコックシャーシ
◎極太ACコードの採用。
◎光デジタルアウト
◎2系統のアナログ出力端子
  

●主要定格●


出力 ANALOG 2系統(FIXED,VARIABLE),DOGITAL 1系統(OPTICAL)
出力電圧 2Vrms
高調波歪率 0.002%以下(1kHz)
ダイナミックレンジ 100dB(4kHz)
SN比 106dB
セパレーション 102dB(1kHz)
電源 AC100V(50/60Hz)
消費電力 20W(電気用品取締法)
外形寸法 435W×91H×355Dmm
重量 7.6kg
※本ページに掲載したC−1Eの写真・仕様表等は1992年10月の
ONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作
権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等を
することは法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 

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