ＤＣＤ-３５００Ｇ
ＣＯＭＰＡＣＴ ＤＩＳＣ ＰＬＡＹＥＲ ￥２２８，０００
（２０モード１０キーリモコン付き）１９８８年にデンオンが発売した高級ＣＤプレーヤー。当時のデンオンの最高級機として君臨し，金粉を散乱
させるような華麗な音で人気を得ました。２万円安いブラックタイプＤＣＤ-３５００もありましたが，ウッドパネ
ルで上面まで覆いゴールドパネルとした高級タイプの本機ＤＣＤ-３５００Ｇの方が人気がありました。ＤＣＤ-３５００ＧはＤＣＤ-１８００以来の「スーパー・リニアコンバーター」を搭載し，Ｄ／Ａ変換時の歪みを低
減する「変換誤差補正回路」を搭載し，補正用信号を加えることによってゼロクロス歪みを排除していました。
また，Ｌ・ＲそれぞれにＤ／Ａコンバーターを搭載してＬ・Ｒの変換の時間差を解消するダブルＤ／Ａコンバー
ター方式を採用していました。業務用デジタル録音機の技術を早くから開発していたデンオンの自慢の方式
でした。Ｄ／Ａコンバーターの前段のデジタルフィルターには８倍オーバーサンプリングタイプを搭載してより滑らかな
波形を実現し，アナログフィルターの負担を軽くしていました。Ｄ／Ａコンバーターは，「リアル２０ビット Ｎｅｗ
スーパーリニアコンバーター」と称した高精度な２０ビットのマルチビットタイプを搭載していました。このＤ／Ａ
コンバーターはアッテネーターやスイッチング回路を用いた動的ビットシフト方式とは異なり，非直線歪みの
要因を持たない優れたものでした。内部構造は様々な干渉を防ぐための配慮がなされたものでした。デジタル部とアナログ部の干渉を防ぐため
に，「デジタル専用トランス」「アナログ専用トランス」の大容量の大型トランスをそれぞれ独立して搭載してい
ました。回路基板そのものも徹底して分離独立させ，デジタル系ノイズのアナログ回路への回り込みを排除
していました。またアナログ回路には，バスバーラインを採用し，インピーダンスを下げ，高周波の飛び込みを
抑えていました。空間の電波性雑音や磁気歪みに対しては，総銅メッキシャーシを採用することでガードし，
１００Ｖラインからのノイズは，ラインフィルター，極性表示付極太ＡＣコードで徹底して排除していました。
振動対策も徹底したものになっていました。振動発生のおそれがあるメカ部及び電源部と，振動の影響が音
質を左右する回路系を，中央で強固な銅メッキの隔壁で二分し，内部振動の音質への影響を排除していまし
た。ピックアップ部の防振には高い剛性と優れた振動減衰特性を持つ素材ＢＭＣ（バルク・モールディング・コ
ンパウンド）を使用したＢＭＣメカベースに取り付け，さらにそれを大型のＢＭＣメカシャーシに取り付けた「ダブ
ルＢＭＣベース」構造を採用していました。さらにメカベースは，低反発ゴムとスプリングでメカシャーシから２
重フローティングされていました。また，天板はリアルウッドと鋼板の２重構造，底板は鋼板２枚を張り合わせ
たバイブレスプレート，１．６mm厚鋼板，銅メッキシャーシの４重構造で，さらに直径６．５cm，４個で１．８ｋｇと
いう黄銅削り出しの大型インシュレーターで全体を支えるという徹底した防振対策がなされていました。機能的には，デジタル３系統（同軸２，光１）・アナログ３系統（固定出力，可変出力，平衡出力）の多彩な出力
端子の搭載，音質対策のために全消灯，ミュージックカレンダー消灯，標準点灯の３段切換可能なディスプレ
イ，最大２０曲まで可能なプログラムプレイ機能，時間指定による頭出しや２点間リピート可能なサーチ機能な
どを搭載していました。以上のように，当時のデンオンの最高級機として音質対策のために贅を尽くしたＤＣＤ-３５００Ｇは結果として
２２ｋｇもの重量をもつ重量級のＣＤプレーヤーとなり，ゴールドパネル，リアルウッドの外観どおりの力強く，厚
く，輝かしい音を持っていました。そして，このＤＣＤ-３５００Ｇは，ＤＣＤ-３５００ＲＧ，ＤＣＤ-３５００ＧＬと改良を
受けてロングセラーを続けました。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
