1983年12月にヤマハが発売した高級機。同社のセパレートアンプにも通じる力強く気品のYAMAHA CD−1a
COMPACT DISC PLAYER ¥260,000
あるデザインと力強い音で高い評価を得ました。ヤマハは、1982年に第1号機として発売した
CD−1でも高い評価を獲得し、その改良型ともいえるモデルでした。同社の最上級機として、
世代交代の早いCDプレーヤーとしては異例の3年以上ものロングランを続けました。回転系メカニズム全体がスライドアウトするローディング機構を持ち、独特の重厚感を与えてい
ました。このような方式は、マランツやルボックスなど海外生産のCDプレーヤーに見られたくら
いで珍しい機構だったと思います。ピックアップ部は、1ビーム方式で、位相検出型のトラッキ
ングサーボとヤマハ独自の利得切換フォーカスサーボにより正確なトレースを実現していまし
た。万一アウトフォーカスしても±2μm以内で自動復帰するオートロック機構も付いていたそう
です。DAコンバーターは16ビット直線型をL・R独立で搭載するツインコンバーターで、L・R信号の振
り分けはデジタル段階で終了し、アナログ信号段階でのスイッチングを不要とし音質の劣化を
防いでいました。ローパスフィルターは、高品質のポリプロピレンフィルムコンデンサを用いた折
り返しノイズの少ない11次構成のものを搭載し、位相補正回路も装備して高度な音質と特性の
両立を図っていました。手作り的な手法で精密さを誇る高性能フィルターでした。電源回路は、大容量・低インピーダンスの強力なものとし、アナログ・デジタル独立のセパレート
電源として、相互の干渉を抑えていました。また、構成のラインフィルターを採用し、デジタルノイ
ズが本機自身や周辺機器に影響を与えないようにしていました。ヤマハのCDプレーヤは、この後CDX−2000、CDX−2200,CDX−10000,CD−GT1な
ど優れた高級機を次々と発売し、高い評価を得ますが、そのヤマハCDプレーヤーの原器ともいえ
る存在だったと思います。CDプレーヤーの中でもヤマハデザインとヤマハサウンドの健在ぶりを示
したCD−1aは、今でも強く印象に残る名機の一つだったと思います。
以下に、当時のカタログの一部をご紹介します。
すべてに最高度の贅沢と良心を
注いだ、ヤマハの最高峰。
◎デジタルの極致を求めた鮮烈・高品位の音。
◎ツインD/A構成でLR同位相のリニア復調。
◎精密そのものの高性能ローパスフィルター。
◎セパレート電源で,ラインフィルターも装備。
◎高域特性の良好な高性能1ビーム光ヘッド。
◎存分の多機能も自由度の大きな高操作性。
●主な定格
光ヘッド | 1ビームレーザー |
周波数特性 | 5〜20,000Hz+0.3,−0.5dB |
高調波歪+雑音 | 0.0025%(1kHz) |
ダイナミックレンジ | 95dB |
SN比 | 100dB(IECフラット) |
機能 | 15曲プログラム再生,フレーズ再生
スキップ,モニターサーチ,スペースセット リピート再生(1曲。プログラム曲,全曲,フレーズ) ヘッドホン端子,サブコード出力端子他 |
電源・消費電力 | AC 100V 50/60Hz・36W |
寸法・重量 | 435W×117H×357Dmm・11.7kg |
※本ページに掲載したCD−1aの写真・仕様表等は1985年6月の
YAMAHAのカタログより抜粋したもので,日本楽器製造株式会社に
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