CD-34の写真
marantz CD-34

THE MOST ADVANCED CD PLAYER ¥59,800
1985年にマランツから発売されたまさに戦略的モデルと言えるCDプレーヤでした。59,800円とい
う普及モデルの価格帯でありながら,あっと驚くほどの内容と音質を実現していました。そのため,当
時,非常に話題になったモデルでした。当時,マランツはCDの開発メーカの一つフィリップス社と共同
でCDプレーヤーを開発していました。そのためフィリップスの技術が随所に生かされた(というよりフィ
リップスの製品そのものに近い?)すばらしいCDプレーヤでした。



第1の特徴は,Zフィルターと呼ばれる,デジタルフィルターの採用でした。4倍オーバーサンプリングを
採用したデジタルフィルターと3次ベッセルローパスフィルターの組み合わせでクラスを超えた優れた特
性を実現していました。デジタルフィルターは,4倍オーバーサンプリング,2次ノイズシェイピングという,
当時として非常に先進的なフィリップス製SAA7030が採用され,D/Aコンバーターには,これもフィリッ
プス製のTDA1540が採用されていました。TDA1540は,16ビット規格のCDでありながら14ビットタ
イプで,当時のフィリップスが半導体の生産技術の水準を考慮し,14ビットを精度良く変換という考えで
設計されたもので,SAA7030の4倍オーバーサンプリング+2次ノイズシェイピングと組み合わせるこ
とで,理論上不利になるS/N比やダイナミックレンジにおいても,当時主流の16ビット+アナログローパ
スフィルターや16ビット+2倍オーバーサンプリングデジタルフィルターのCDプレーヤーに負けないもの
となっていました。D/Aコンバーターの後のローパスフィルターは,低次でしかも位相特性にすぐれる3次
ベッセルフィルターが採用され,高域まで良好な位相特性を確保すると同時に,Lch Rchそれぞれに独
立してDAコンバーターを採用した,このクラスとしては珍しかった2D/Aコンバーター構成になっていて,
位相特性を高い水準に保っていました。

    

第2に,フィリップス製のスイングアームメカニズムCDM-1を搭載していたことです。このメカニズムは,
フィリップスの手作りのスイングーアームメカニズム・CDM-0をベースにアルミダイカスト製として,量産
可能なメカニズムとして開発されたもので,後に海外の高級機に数多く採用され,高い評価を得ていた
(現在もファンがいますね。)のは記憶に新しいことだと思います。

第3に,その重量級のシャーシによる振動対策です。コンパクトなミニコンポにでも合いそうな外観をし
ていますが,自重は何と7kgもあり,見かけによらないその重さに驚いた人も多かったと思います。こ
のクラスでは当時考えられないほど贅沢な作りになっていました。アンプなみのアルミダイキャスト製
の重量シャーシ(同じクラスのCDプレーヤーはほとんど5kg前後しかなくこれほどのシャーシは採用
していなかった。)の採用は異例のものでした。そして,凝れ以降,他の国産のCDプレーヤーにもこう
した物量投入の重量級のものが出てくるようになりました。

機能的には,10キーもなく,シンプルでしたが,最大99曲までのダイレクトアクセス,20曲までのラン
ダムプログラム,リピート機能などが可能な使いやすいものでした。日本製とは異なったシンプルでハ
イセンスなデザインも魅力的だったことを覚えています。

音の方は,重量級の設計によるものか,クラスを超えた,厚みのあるどっしりとした落ち着いた音だった
ように記憶しています。落ち着いた外観と通じるようなやや渋めのヨーロピアントーンで,人気を集めて
いました。まさにマランツ(実はフィリップス?)の戦略的モデルでした。
 
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 

マランツの提案

グレードの違いをすべての人に体験してほしい。



 
 
 
 

◎高音質Zフィルター搭載
◎L/R独立2D/Aコンバーター
◎独自のスイングアームピックアップ
◎自重7kg,超重量級アルミダイキャストシャーシ
◎最大99曲までダイレクト選曲
◎最大20曲までランダム・アクセス・プログラム
◎スキッププレイ,リピート機能
◎デジタルディスプレイ
◎演奏を集中操作する大型スクエアスイッチ
    
 

●SPECIFICATIONS●    
 

●ディスク                                   


外径 120mm
チャンネル数
トラックピッチ 1.6μm
スキャンニング速度 1.2〜1.4m/sec

●信号フォーマット                             


サンプリング周波数 44.1kHz
量子化数 16ビット・リニア
変調方式 EFM
チャンネルビットレート 4.3218Mb/sec
誤り訂正方式 CIRC
エンコード方式 2’Sコンプリメント

●光学ピックアップ                            


半導体レーザー波長 0.78μm
開口数(NA) 100Ω
焦点深度 ±2μm
ビームスポット径(ディスク表面) 直径約1mm

 

●電気特性                                


出力 2.0V
出力インピーダンス 100Ω
再生周波数帯域 2Hz〜20kHz
SN比 96dB以上
ダイナミックレンジ 96dB以上
チャンネルセパレーション 90dB以上
高調波歪率 0.003%以下
ワウ・フラッター 水晶精度
ディエンファシス オートマチックスイッチング

●その他                                 


電源 100V 50/60Hz
消費電力 30W
外形寸法 320W×90H×300Dmm
重量 7kg
※本ページに掲載したCD-34の写真・仕様表等は1985年1月の
マランツのカタログより抜粋したもので,日本マランツ株式会社に著作
権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をす
ることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

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